テラーノベル
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じゃむじゃむあっぽー🍏
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最終話
涼架が旅立ってから、季節は巡り、俺たちは高校を卒業した。
かつてあれほど嫌いだった自分の顔を、俺は今、毎朝しっかりと鏡で見るようになっている。
すっと切れ上がった鋭いツリ目。この目は、俺の大好きな人が「キリッとしてて、凛としてて、本当にカッコいい」と全力で肯定してくれた、世界に一つだけの誇りだからだ。
現在の俺は、街の喧騒から少し離れた図書館の片隅で、うず高く積まれた分厚い参考書と格闘している。
医療系大学の、看護学部。それが俺の進んだ道だった。
「….あー、クソ、解剖生理学、意味わかんねえ…..」
思わずペンを置き、こめかみを指で揉む。
もともと、勉強なんて大嫌いだった。高校の頃は授業をサボって保健室に逃げ込むのが日課だったくらいだ。
ノートを取るのも面倒で、テスト前だけ要領よく赤点を回避するような、そんな不真面目な学生だった。
そんな俺が、今や人間の骨や筋肉の名前、複雑な循環器の仕組み、果ては薬理学のカタカナだらけの名称を、寝る間も惜しんで頭に叩き込んでいる。友人たちからは「お前が看護師?天変地異でも起きるんじゃねえか」と大笑いされた。
それでも、俺の意志が揺らぐことは一度だってなかった。
あの日、白い病室のベッドの上で、小さく、冷たくなっていった涼架の身体。
カフェの床で彼を抱きしめた時、周囲の悲鳴に圧倒され、ただ救急車を待つことしかできなかった自分の圧倒的な無力さ。
知識がなかったから、あいつのわずかな呼吸の変化に気づいてやれなかった。技術がなかったから、あいつの手を握りしめて泣くことしかできなかった。
(もう二度と、あんな思いはしたくない)
誰かが大切な人の手を握りしめて絶望している時、その手を引っ張り上げてやれるだけの強さと、知識と、技術が欲しい。
涼架が命をかけて俺に教えてくれた「誰かを想う痛み」を、俺はこれからの人生で、誰かを救うための力に変えると決めたんだ。
筆箱を開けると、そこにはあの日からずっと大切に入れている、あの『黒猫のカバー』がついた消しゴムがあった。
カバーの裏に書かれた『若井滉斗』の文字は、俺の涙で少しだけんでいる。
結局、持ち主だった涼架の手で使い切られることはなかったけれど、この消しゴムは今、俺の勉強用として、少しずつ、少しずつ角が削れて小さくなっていた。
「….ジンクスは破れちゃったけどさ」
消しゴムの黒猫の目を、指先でそっと撫でる。
「お前が俺を好きになってくれたみたいに、俺も、お前以外誰も好きにならないから。だから、実質両想いってことで、願いは叶ってんだよな」
静かな図書館に、カリカリとシャーペンの芯が走る音が再び響き出す。
心臓の仕組みのページを開く。図解されたその精巧な臓器のイラストを見つめながら、俺はあの日、この場所で必死に脈打っていた、涼架の健気な命の音を思い出す。
実習は想像以上にキツいし、自分のキツい目つきのせいで、最初は患者さんに怖がられるかもしれない。
だけど俺は、涼架が教えてくれたみたいに、この目で真っ直ぐに患者さんと向き合うつもりだ。
お前が倒れそうになったら、絶対に俺が気づくからと、あの時心に誓ったように。
窓の外には、あの保健室から見上げたのと同じ、どこまでも澄んだ青空が広がっていた。
「待っててよ、涼架」
俺のペンは、止まらない。
お前が遺してくれたこの命の続きを、俺は誰かのための光に変えて、真っ直ぐに歩いていく。
最終話です!ここまで読んでいただきありがとうございます♪
実はこの物語にはもう一つ物語の続きがありまして…
そこまでお付き合い頂けたら嬉しいなって思います☺️
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コメント
6件
うぁぁ……最後の最後に、二度とあんな思いをしたくないって思って看護師を目指すの素敵すぎ、!三日月ってのは💙の猫みたいなお目目の形を意味しているのかな、?それとも…三日月の「新な恋の始まり」とか「成長する愛」の意味があるのかなぁ、?続き楽しみです~…🙌
泣いて泣いて。そして前をむく💙くんに、また泣けます。 素敵なお話ありがとうございます。
感動した🥹 続き楽しみすぎるんだが!!