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甘々日常お風呂編
キルアの家に戻ってきてから、×××の生活は少しずつ「日常」に戻り始めていた。
けれど、足はまだ完全じゃない。
松葉杖が必要で、階段も、お風呂も、一人では少し不安だった。
そんな×××を、キルアは常に気にかけていた。
「……風呂、入れるか?」
夕食後、少し照れたように聞くキルア。
「うん……でも、ちょっと不安かも」
「……じゃ、俺……手伝う」
そう言った瞬間、キルアの耳が赤くなる。
脱衣所の前で、×××はタオルを体に巻きながら言った。
「ちゃんと巻いてるから、大丈夫だよ?」
「……っ!だ、大丈夫じゃねーよ!」
「え?」
「いや、見ないし!!絶対!!」
キルアは顔を真っ赤にして、壁のほうを向く。
まるで一点を見つめる修行僧のようだった。
「……そんなに見ないでって意識しなくても……」
「無理!!意識する!!」
×××はくすっと笑う。
「キルア、かわいい……」
「うるせぇ……」
⸻
浴室では、キルアは終始、目をそらしながらサポートする。
「……滑るなよ」
「うん……ありがと」
湯船に入るときも、タオルを渡すときも、すべて目線は天井。
「……俺、天井詳しくなったかもしれない」
「ふふ……」
×××はその様子に、胸がじんわり温かくなる。
こんなに大事にしてくれる人がいることが、嬉しくて仕方なかった。
⸻
そして、お風呂を終えて脱衣所へ戻る時。
足をそっと床についた瞬間——
「……あっ」
つるっ。
バランスを崩した×××の体が、前に傾く。
「え、×××!?」
とっさに支えようとしたキルア。
しかし——
どんっ。
二人はそのまま、床に倒れ込んだ。
キルアの背中が畳に当たり、
その上に——
タオル一枚の×××が覆いかぶさる形に。
「…………」
「…………」
時間が止まったようだった。
至近距離。
吐息がかかるほど近い。
タオルはギリギリ、ちゃんと巻かれている。
けれど——
近すぎる。
近すぎる。
「……っ!?!?」
キルアの顔が一瞬で真っ赤になる。
「ご、ごごごごめん!!」
×××は慌てて起き上がろうとするが、足に力が入らない。
「ま、待て!!無理すんな!!」
「で、でも……!」
「いいから!!そのまま!!」
結果、二人はしばらくその体勢のまま固まる。
キルアは必死に視線を横に逸らしながら叫ぶ。
「み、見るわけねーだろ!!!」
「見てないのはわかってるけど……近い……!」
×××の顔も真っ赤だった。
やっとキルアが体を起こし、×××をそっと支えて立たせる。
「……怪我してなくてよかった」
「……うん……ごめんね」
「いや……俺が悪い……」
二人同時に俯く。
沈黙。
そして——
「……ドキドキした……」
小さく呟く×××。
「な!?!?言うな!!!」
キルアは耳まで真っ赤になる。
×××はくすっと笑って、キルアの袖をつまむ。
「……でも、ちゃんと守ってくれてありがとう」
「……当たり前だろ」
キルアは照れながらも、そっと頭を撫でる。
「……これからも、俺が全部支えるから」
「うん……よろしくね、キルア」
こうして、退院後の家での生活は、
ちょっとドキドキで、
とても優しくて、
幸せな時間になっていくのだった。
to be continued…