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翌日から花咲さんは喋りかけてくれなかった。それだけじゃない。
クラスで近寄ってきた女子達は皆離れていった。
また1人になる…
焦り、寂しさ、そんな暗闇も変わらず太陽は照らしてくれる。明るく温かな誠を見ているとそれだけでいいと思えるほどだった。
ある日の放課後
「悠君なんか最近悩んでることあるでしょ?」
「ん〜まぁね」
「俺に言ってくれればいいのに…」
「そう?じゃあ〜話しちゃおっかな?」
「いいねぇ〜その意気だよ!」
少しの笑いが挟まり終えると
「最近さ〜僕、友達が減ってきちゃって…」
「なにかあったのか?」
「いや?何もしていないと思うんだけど…」
「まぁ悠君は何かするとかないだろ〜」
「そうなんだよね…」
「そうなんだよねってww自分で言うか?」
「自分で言ってないとメンタルやばいんだも〜ん」
「も〜んって…」
「真面目に相談乗ってよ〜」
「ん〜でもさ……俺だけいればよくね?」
「え?いや//…あのどういうこと?」
「だってさ〜こんな風に笑ってくれるの俺といると
きだけじゃね?…他の人と居るときにガチで笑う悠君の姿見たことねえもん」
「ま、まぁそうだけど…」
「だろ?まぁ俺だけじゃなくても、他の男子とかと喋れるようになればいいしな!」
「だね!」
帰りながら2人の少年は笑い合う
橙色の太陽を背に、甘く酸っぱい想いを抱え。
それは青い春そのものを映し出していたのかもしれない。
ー翌日ー
(昨日は嬉しいこと言われちゃった!)
悠は想い出す。昨日の帰り際誠に言われたことを
『俺だけいればよくない?』
自分でも分かる、あのときの照れは
態度に出ていた。
「でもなぁ…あれってそういう…?」
「いやぁ…違うだろ…」
「でもなぁ…う〜ん…いやぁ〜」
「何ゴチャゴチャ言ってるの?お兄ちゃん!」
悠「あぁ…いやなんでもないけど…」
弟の浜野夜が夕ご飯のペペロンチーノをフォークでクルクルと巻きながら話しかけてくる。
悠「…って僕なんか喋ってた?」
夜「めちゃくちゃ喋ってたよ!
というか、昨日帰ってきてからずっとだよ!
なに?彼女でもできた?」
悠「いやぁ彼女できたとかではないけど…」
まぁ彼女ではないし…
あれはそういうことじゃないかもだし?
夜「まぁなんか嫌なことがあったみたいな感じじゃないから良いけどさ」
悠「お前は僕のお父さんか!って」
夜「まぁね〜!」
悠「はぁ…」
と溜息をつく。
夜「何々?まだお父さんとお母さんの離婚の原因がお兄ちゃんだと思ってるの?」
悠「だってそうでしょ?
お父さんもお母さんも俺の子じゃない私の子じゃないって言って僕の事捨てたんだもん…」
悠の目に涙が浮かぶ。
誠の母「誠〜おつかい頼んでもいい?」
誠「何買ってくりゃ良い?」
誠の母「今日はカレーだから卵と…人参と、
じゃがいも!」
誠「どこの家庭にカレーの中に
卵入れるところがあんだよ!」
誠の母「ここにあるじゃない!」
はぁとため息をつきながら誠はスーパーに向かう。
「高校生にもなっておつかいとかガキだと
思ってんのかよ?」
スーパーで頼まれたものを買い帰っていると…
悠が居た。。。
それもただ歩いてるんじゃない。
泣きながら…知らない男と歩いていた。
誠「なんでこんな時間に?しかも男連れて…それに…悠…泣いてる」
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
1回諦めたのに奇跡がおきた!
悠が俺を追いかけてきてくれたかもしれない
諦めることが悔しかったから!
近づく女は全部剥がして
そこの空いた穴全部に俺が入った!
あとちょっとだったのに…
なんでなんだよぉ…
誠は自分の家まで走り出した…
その目には涙を浮かべていたが、雨が降り始め、
涙と雨がみぞれのように混ざり合って分からなくなる。
家のドアを強く開き…買ったものをキッチンに投げ捨てるように置き、
二階の自分の部屋に駆け込む…
ビチョビチョに濡れた服も顔も体も気にせず座り込み…ナニカが誠を襲う
それは後悔なのか…哀しみなのか…悔しみなのか
言語に直すことができなかった…
憎悪、嫉妬、後悔、厭悪、喪失
そんな真っ黒な感情の集合体を誠は知っている。
中学の頃、ある男が同じクラスの男に告白をした
だが結果は惨敗では済まなかった。
その事実はクラスだけではなく
学校中、地域中に瞬く間に広がった。
そのせいである男は自殺した。
飛び降り自殺だった…
誠は飛び降りている最中のその男の眼を見てしまった…眼が……あってしまった…
その経験は脳みそにべっったりとガムのように
くっつき離れず、液体のように浸透していく。
何かに関連付けてあの眼が出てくる。
あの全世界の黒を煮詰めたみたいな真っ黒な眼、
その眼から感じる感情と同じものを感じる。
そして一つの考えが頭をよぎった、よぎってしまった…
ー普通じゃない恋なんてもう…諦めよう…ー