春輔が帰った。まさかこんな寂しい気持ちになるとか思うわけがなかったのに。てかこれ、普通に俺最低なことしてるよな。
俺にはバドミントン部に梨沙(りさ)という彼女がいる。梨沙のためならなんだってできるし、梨沙も俺のことを1番に思ってくれている。はずだけど、俺と梨沙には大きな壁があった。性の不一致。
梨沙はアセクシャルという、性的な気持ちや行動に対して嫌悪感を抱く人だった。アセクシャルの中でも、ロマンティック・アセクシャルという部類で、とても薄くだが恋愛感情はあるみたいだ。俺だって、セックスがしたい訳じゃないし、最初は別になんとも思っていなかった。でも、梨沙は俺と手を繋ぐのも嫌みたいだ。手に触れればさりげなく避けられるし、抱きしめても腕を避けてどこかにいってしまう。言葉だけ見れば簡単に思う人もいると思うが、実際そんなうまく行くわけがない。
だから俺は、春輔に甘えてしまっているんだ。彼が手を握ってくれた時、嬉しくて嬉しくて思わず泣いてしまいそうだった。男に対して恋愛感情を持ったことはない。だけど、春輔はなんだか違うんだ。キスをしたのも嫌じゃなかった。むしろもっと欲しいと思ってしまった。早くけじめをつけなくちゃ。梨沙のことも春輔のことも傷つけないように。この気持ちにすぐ蓋をしてしまおう。でも……
コメント
1件
伏線がここで回収…だと、?? やっぱりすごいや…ッ!✨ 私も頑張らないとぉ!✨