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・無害な嫌われ者
今思えば、僕は生まれた頃から嫌われていたのだと思う。
僕には、母、父、そして兄がいて、4人家族だった。
兄は両親にとても可愛がられていて、僕は嫌われていた。何故かは分からない。嫌われている事に気づいたのは3歳の頃だったかな。
毎日罵詈雑言を浴びせられ、時には虐待され、僕の心はボロボロだった。
小学生になった。やっと嫌な家族から離れられると、期待に胸を膨らませて初日を迎えた。兄のように友達を沢山作って、放課後に遊んだりすることを夢見ていた。
でもそんな妄想は呆気なく打ち砕かれた。
「おまえ、きめぇんだよ!!」
僕はクラスメートに受け入れられなかった。
兄が予め皆に僕の悪口を言っていたことが原因だと後から分かった。
小学校初日、理由もなく殴られた傷の付いた頬をおさえながら、ずぶ濡れの服で家に帰った。両親は兄の話を笑顔で聞いていて、僕には見向きもしなかった。
ある日、いつものように公園で友達と遊んでいる兄を見て、ふと思った。
“ 僕はいつ報われるんだろう “
その時、一気に今まで抱えてきた色々な感情が溢れてきた。
僕は嫌われることは何もしていない。なのになんでこんなに僕は嫌われているんだろう…。僕は神様に嫌われているのか、だからこんな酷い仕打ちをするのか…?
「なにもしてないのに…。」
ふいに涙がこぼれた。きっとこの涙でさえ、皆にとっては憎いのだろう。
…報われる日なんてないのかもしれない。
愛されたい。幸せになりたい。そんな我儘なことは思ってない。ただこの最悪な日々から解放されたかった。
この頭ではもう楽になることしか考えられなかった。
気付いたら、沢山の破られた教科書が入っているランドセルを背負ったまま、柵を飛び越えて目の前の川に飛び込んでいた。
孤独で可哀想な少年は、幼いながら、8歳にして、絶望に溢れたこの世を去った。