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*.꒰ঌ𝕐𝕦𝕚𝕜𝕒໒꒱.*
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#オリジナルキャラ含む
Luna Emma
110
文化祭当日。
朝から校内は大騒ぎだった。
「石川ー!」
「この飾りどこにつける!?」
「神崎ー!」
「机運ぶの手伝って!」
教室中を走り回る奏斗。
一方の冴は、入口で飾り付けの最終確認をしていた。
「……ここ、少し曲がってる。」
そう言って、ほんの数ミリだけポスターを直す。
「さすが石川!」
「細かい!」
「気づかなかった!」
冴は照れくさそうに目をそらした。
「……別に。」
-–
お昼。
教室はお客さんでいっぱいになっていた。
「いらっしゃいませ!」
「こちらへどうぞ!」
奏斗は笑顔で接客を続ける。
ふと教室の奥を見る。
(……あれ。)
冴が壁に手をついていた。
ほんの一瞬。
すぐに何事もなかったように歩き出した。
(気のせい……?)
そう思った。
でも。
奏斗の胸には、小さな違和感だけが残った。
-–
午後。
忙しさはさらに増す。
「石川!」
「これお願い!」
「……うん。」
「石川くん!」
「こっちも!」
「……今行く。」
返事はする。
動いている。
でも。
少しだけ、動きが遅い。
「……。」
奏斗は遠くからその様子を見つめていた。
(絶対、おかしい。)
-–
「石川。」
休憩時間。
人の少ない廊下で声をかける。
「……なに。」
「今日、朝から何も食べてない?」
「え。」
「図星?」
冴は黙った。
「……寝坊した。」
小さな声。
「時間なくて。」
「……。」
奏斗はため息をつく。
「だから朝からふらついてたんだ。」
「大丈夫。」
「大丈夫じゃない。」
「……。」
「ちょっと待って。」
奏斗は自販機へ走っていく。
数分後。
戻ってきた手には、小さな紙パックの野菜ジュースと、クリームパン。
「はい。」
「……。」
「食べて。」
「でも。」
「いいから。」
「……。」
冴は少し迷ってから、パンを受け取った。
袋を開ける。
一口。
もぐ。
二口。
もぐ。
「……おいしい。」
その一言で。
奏斗は安心したように笑う。
「よかった。」
「……。」
冴はパンを見つめる。
「なんで。」
「ん?」
「気づいたの。」
「……。」
奏斗は少しだけ笑った。
「石川。」
「?」
「最近、お前のこと見てるから。」
「……。」
「だから分かった。」
その言葉に。
冴は何も返せなかった。
ただ。
胸の奥が、少しだけ熱くなる。
-–
夕方。
文化祭は無事に終了した。
「終わったーー!!」
教室中に拍手が響く。
みんなが笑っている。
その輪の少し外で。
冴は窓の外を見ていた。
(最近。)
(神崎が笑うと。)
(……安心する。)
(なんで。)
まだ答えは分からない。
でも。
少しずつ。
本当に少しずつ。
その気持ちは、大きくなっていた。
-–
教室を出ようとしたとき。
「石川。」
「……なに。」
「今日はちゃんと夕飯食べろ。」
「……。」
「約束。」
冴は少しだけ照れたように目を伏せる。
「……うん。」
その「うん」は、とても小さかった。
でも奏斗には、ちゃんと聞こえていた。
「よし。」
自然と笑みがこぼれる。
その笑顔を見た湊も、つられるように少しだけ笑った。
誰にも気づかれないくらい、小さな笑顔。
でも二人にとっては、それだけで十分だった。
コメント
1件
みぅです🥀 第9話、すごくよかった……。 奏斗が冴の「ちょっとした違和感」を見逃さなかったところ、本当に優しいなって思った。 「最近、お前のこと見てるから」って台詞、重くないのにすごく響く。 冴の小さな「うん」と、最後の笑顔、じんわり来たよ。 二人の距離が少しずつ縮まってる感じ、大好きです🌙