ピンクの子

渡辺ーいいじゃん！そんなに怒っちゃって、別れる！

目黒ーこらこら、何を言うかな。

渡辺ーだって、だって、気に入らないんだろ？

目黒ー可愛すぎて困るって言ったんだけど。

渡辺ーはぁ？何それ？

目黒ーあの、ピンクのスーツ可愛いし。

渡辺ーば、ばか。何言ってんだ。何が、「可愛い子見つけたから好きになっちゃった」だ！

目黒ーついでに、怒ったのは、俺じゃなくて、翔太くんね。

渡辺ー話を戻そう。

目黒が可愛い子見つけたから好きになっちゃったと言った。

渡辺は自分のことと思ってないから、浮気か！と怒った。

で、よく聞くと、可愛い子というのは、渡辺のことだった。

可愛くなりすぎて困ると言う目黒。

渡辺ーあのな、ピンクのスーツが可愛い子なら、普段は可愛くないんだな？

目黒ー翔太くん、可愛いって言って欲しいの？

渡辺ー何で？

目黒ーピンクの翔太くんが可愛くて、普段の黒の服着てる翔太くんを可愛くないとは言ってないけど？

渡辺ー何か分からなくなってきた、もういい。

目黒ー普段も、ピンクも好きだってこと。

渡辺ー何だ、そんなこと。

目黒ーお洒落に、興味ないでしょ？

渡辺ーよく分からん。

何か、チグハグな言い合いをした後、渡辺は、目黒のひざに向き合って座り、抱きついている。

目黒は、お洒落だから、服を見てもらおうかと思う。今日は、撮影オフで2人ゆっくりしている。

渡辺ー服買いに行く。

目黒ーどうした？急に。

渡辺ー冬服は安くなってるし、春物も出始めてるし。

目黒ー黒は買わない、なら行く。

渡辺ーん〜努力はする。練習着は、黒でいいか？

目黒ー白もいいね。

大きなショッピングモールにやって来た。洋服店だけでどれだけあるか、2人は、小さな声で話しながら、店を回って行く。

渡辺は、練習着に、黒・白・白にブルーでプリントしてあるTシャツ、目黒は黒・グレー・白を買った。

渡辺ー何だよ、もっと派手なの買えばいいのに。

目黒ーいいの、いいの。FENDI寄っていい？

渡辺ーどこから出れる？

目黒ーちょっと人混み逆に行くけど、俺の後ろからついて来てね。

渡辺ーなんかあった？

目黒ー女の子2人がずっと、付いて来る。逆走するから、しっかり付いてきて。

人混みをかき分け、謝りながら早足で歩く。女の子たちは、途中から見えなくなった。

車に乗って、ホッとひと息。家から持ってきた、コーヒーを飲み、車は、FENDIの店に向かっている。

ここでも、目黒は落ち着いた感じの服を買おうとする。

流れで、渡辺も、FENDIの服を買うことになった。2人は明るい色を買おうと言う。選んで試着して、こういうときが楽しい。

店から道路側を見て、目黒はため息を吐く。

渡辺ーどうした？

目黒ー女の子2人の乗ったタクシーが停まってる。

渡辺ー付けて来た？

目黒ーいや、ここに来ると思って先回りしてたと思う。

渡辺ーどうする？

店員ーすみません、上で休まれますか？

目黒ーいいですか？

店員ー新作を着てもらえたら嬉しいです。

渡辺ーアンバサダーの仕事してこい。

まだ、店舗には出してない服を数点、着て、写真撮って、着替えてまた写真撮っての繰り返し。でも、春らしくて綺麗な色だった。買えるのは3月半ば。取り置きしてもらうくらい、気に入ったのがあったみたいだった。渡辺は、アクセサリーを見ていた。

目黒ー気に入ったのあった？

渡辺ーん、これとこれ。

目黒ー買う？

渡辺ーん〜。

目黒ー買ってあげる。

渡辺ーばか！しーっ！

目黒ー大丈夫。

店員ーファンらしい女の子2人が店に入ってきて探してます。下に下りるのはちょっと待ってください。

目黒ーありがとうございます。

渡辺ーご迷惑おかけしてすみません。

店員ー渡辺さんは、これ似合うと思いますが、どうですか？

目黒ーうん、似合う！

渡辺ー可愛くなりすぎません？

目黒ー凄く似合う！

渡辺ーん〜。

目黒ー翔太くんが買わないなら、俺が買う。プレゼントする。

店員ーいいですね。ご用意します。

渡辺ー目黒！

店員が、紙袋を持ってやって来て、女の子たちはもういないと言う。