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#溺愛
桜咲かな
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桜咲かな
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#百合
第十一話 少し先の未来
会う日が決まってから、少しだけ日常が変わった。
学校へ行って、授業を受けて、友達と話して。
何も変わっていないはずなのに、
ふとした瞬間に思い出す。
あと何日だろう。
そんなことを考えるようになった。
その日の夜。
いつものようにサイトを開く。
『今日もいた』
『いるよ』
『最近、来るの早くない?』
『そっちもね』
『俺はいつも通り』
『嘘だ』
『なんで(笑)』
『なんとなく』
『それ便利だね』
二人で笑う。
しばらくいつもの話をしていると、
相手からメッセージが届いた。
『会ったら何したい?』
彼女は少し考えた。
『普通に話したい』
『今と同じじゃん』
『でも、直接話すのは違うでしょ』
『たしかに』
『あと、何か食べたい』
『それは俺も』
『じゃあ決まり』
『何がいい?』
そこから、食べたいものの話になった。
結局、二人とも意見がまとまらない。
『じゃあ当日決めよう』
『それでいいね』
そんな何気ない会話をしているだけなのに、
彼女は楽しかった。
会ったら、今みたいに話せるだろうか。
そんな不安も少しある。
でも、それ以上に楽しみだった。
『ねえ』
『ん?』
『もし会って、思ってたのと違ったらどうする?』
送ったあと、少しだけ後悔した。
返事が来るまで、画面から目を離せない。
やがて、
『そのときはそのとき』
と返ってきた。
『適当(笑)』
『じゃあ、もう一個』
『うん』
『会っても、今までと同じように話せたらいいなって思う』
彼女はその文章をじっと見た。
飾った言葉じゃない。
でも、その方が嬉しかった。
『私も』
それだけ返した。
少しして、相手が話題を変えた。
『そういえば、明日って休み?』
『うん』
『いいな』
『そっちは?』
『学校』
『頑張って(笑)』
『ひどい』
『じゃあ応援する』
『何それ』
『頑張れー』
『棒読みっぽい(笑)』
『失礼』
いつものように笑って、夜が過ぎていく。
やがて、眠る時間になった。
『おやすみ』
『おやすみ』
サイトを閉じる。
彼女はスマートフォンを置いて、天井を見上げた。
会うまで、まだ少し時間がある。
だから、今はまだ焦らなくていい。
明日も話せる。
明後日も。
その先も。
そう思って目を閉じた。
まだ知らないことばかりの二人。
けれど、その距離は確実に近づいていた。
そして二人はまだ知らなかった。
これから先、
今までよりもっと相手を知ることになるなんて。
コメント
4件
なら良かったです! そうなんですよ、、、 今を壊したくない、でも会いたいっていう葛藤を書きたかったので、伝わってたなら良かったです! そうなんですよ! ありがとうございます! いえいえー! 皆さんが読んでくれてるおかげでかけてるのでこちらこそありがとうございます!
みぅです🖤 第11話、読んだよ……。 「会ったら何したい?」って、すごく普通の会話なのに、なんだかじわじわくるんだよね。画面越しに「今までと同じように話せたらいいな」って言葉が届く瞬間、胸がぎゅってなった。直接会うことへの不安と楽しみが混ざってて、それでいて二人の距離が確実に縮まってるのが伝わってくる。 最後の「これから先、今までよりもっと相手を知ることになる」って一文、すごく好き。まだ知らないことばかりの二人だからこそ、これからが楽しみになる。M.Sさんの描く日常の温かさ、ちゃんと心に届いてるよ🌙