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🌙高校生しんのすけ×かざまくん
『視線が合うたび、呼吸が止まる』
高校の放課後。
教室に残ってノートをまとめているかざまくん。
そこへ、窓際にもたれかかっているしんのすけが
じっと、──まるで“観察するみたいに”視線を向けていた。
かざまくんは気づかないふりをしながら、
ページをめくる手がほんの少し震えている。
(……またこっち見てる。なんなの、あいつ。)
しんのすけは昔と変わらず、
でも背は伸びて、声も落ち着き、
どこか掴めない色気が増していた。
教室の静けさの中で、しんのすけが口を開く。
「ねぇ、かざまくん。」
「……なに。」
「オラが見てると、そんなに緊張するの?」
その言い方があまりにも自然で、
かざまくんの心臓は跳ねる。
「き、緊張なんて……してないし。」
「ふ〜ん?」
しんのすけはゆっくりと、机を回り込んでくる。
近づく足音がやけに大きく聞こえて、
かざまくんは思わず顔を上げた。
その瞬間、
しんのすけの視線とぶつかる。
まっすぐで、逃さない。
“見透かしてくる”ような、少し大人の目だった。
「かざまくんってさ、前から思ってたけど……」
しんのすけがにやっと笑う。
「照れるとすぐ顔に出るんだよね。」
「で、出てないし……っ」
しんのすけはかざまくんの頬に手を伸ばし、
すこし赤くなっているところをそっと触れる。
「ほら、今も。」
かざまくんは思わず手を払おうとして──
でもできなかった。
近い。
心臓がうるさい。
「……しんのすけ、ほんとに……なんなの。」
「なんなのって、オラがかざまくんのこと好きなのは前からでしょ?」
静かな教室に、その一言だけが落ちた。
かざまくんは息を呑む。
しんのすけは優しく笑い、
けれど視線だけは鋭くて、
どこか“捕まえに来る”みたいだった。
「逃げないでよ、かざまくん。」
「……逃げてない。」
そう反論しながら、
かざまくんの耳は真っ赤だった。