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ニジヲタビスルソラカルマ

25 - 第25話 逃げ

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2022年08月19日

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『君さぁ……ボクのこと覚えてる?』

『あなたみたいな人なんざ知らないな』

即答する。

すると奴は不敵な笑みを浮かべながら言った。

『じゃあさ、これを見たら思い出すかな?』……瞬間、奴の姿が変わった。

髪の色は白く染まり、目は赤く輝く。

服までもが真っ白に染まった。

その顔を見て驚愕する。

目の前にいるのは、かつて殺したはずの男だ。

しかも、記憶よりもだいぶ若いように見える。

どういうことだ? こいつは間違いなくあの時に死んだはず……。

混乱しつつも必死で頭を整理させつつ、とにかく今は逃げなければと思った。

急いで立ち去ろうとすると、後ろから声をかけられた。

振り向かずに立ち止まる。

相手は続けて言った。

『ねえ、どこに行くの?』

『……逃げるんだよ!』

叫びながらも全力疾走でその場を離れる。

しばらく走り続けた後、ようやく一息ついた。

少し落ち着いたところで考える。

あれは何だったんだろう。

あいつの顔を見た時は驚いたが、同時に納得もできた。

ああいう化け物がいるくらいだし、そういう連中もいてもおかしくないだろうし。

ただし、奴らは人間の敵であって味方じゃない。…………。

何にせよ、あいつらが普通の人間じゃねぇってことは確かだ。

少なくとも、ただの人間があのバケモンを倒せるとは思えねえよ。

つまり……アレは最初からそういう生き物で、 私たちとは違う次元にいる別の生き物だってことだろ? だから、あんまり気にするなって! 大丈夫だって!! お前さんもわかってくれるはずだぜ。

私みたいな人間は、どこにでもいるもんなんだ。

そりゃ確かに……たまーに変なことをしでかすけどさぁ……。

とにかく! あいつらに関わらない方が身のためだぞ。

あんなバケモノ相手にするのはごめんだね





おとぎ話に出てくるような怪物なんて現実に存在するわけがない。

そう思っていた時期もありました。

実際に見たのは初めてですが、あれは紛れもなく魔物ですよ。

見た目こそ人間に近い姿をしていますが、纏う雰囲気は完全に別物のものです。

あれだけ強い魔力を内包している生物など、私の人生の中では一度も目にしたことがありません。

それにしても、なぜこの国にあんな危険な魔族が現れたのかしら? いえ、今はそれよりも、あの魔族の目的の方が重要ね。

目的はおそらく、私の殺害。

あそこまで徹底的に痛めつけた以上、私を殺した後に死体を辱めるつもりだった可能性が高いわ。

あるいは、私が生きていることに絶望し、復讐のために戻ってきた可能性すらある。

いずれにせよ、今はまだ何の情報も得られていない状態よ。

下手に手出しをして返り討ちに遭うようなことは避けなければならないわ。

ならば、ここは一旦引いて情報を集め直すべきかしら……。……いえ、ダメよ。ここで退いたら相手の思うつぼだわ。

仮に相手がこちらの動きを把握しているとしたら、このまま退いても無駄死にするだけ。

逆に言えば、こちらの手の内を知られずに相手を倒すことが出来れば、敵の戦力を削ぐことが出来るかもしれない。

そう考えると、やはりここは攻めるべきだと思うのだけど……問題はどうやって倒すかよね。

前回の戦いで得られた手掛かりを元に考えてみましょうか。

まず、敵が何らかの手段を用いて空間転移を行ったということは間違いないと思うの。

これはつまり、あの魔族は私たちの世界とは別の世界から来たということを示しているわ。

もちろん確証があるわけではないけど、他に説明がつかない以上、受け入れるしかないでしょう。

次に、その方法についてだけど、これに関しては正直何も分かっていないに等しいわ。

そもそも別世界の人間がどうしてこの世界に来られたのかという点からして謎だし、移動先に関しても見当がついていないのだから当然と言えば当然なのだけれど……。

ただ一つ言えるのは、あの魔族はこの世界で生きるために何らかの手段を用いたはずだということ。

でなければ、この世界に来られるはずがないのだから。

そして、そうなると問題になるのはその方法よ。

一体どのような方法で、この世界を訪れているのだろうか? 考えられるのは、何らかの魔法によるものか、特殊な能力によるものだということになる。

前者の場合、あの魔族自身が特別な力を持っているわけではなく、単に特殊な魔法を使うだけにすぎないようですわね……。

それにしても、何故あんな小娘がそれほどの力を手にすることができたのかしら……? まぁいいですわ。いずれその秘密も明らかになるでしょうし。

ともかく今は目の前のことに集中しましょう。

さて、次は誰を始末しましょうかね? まずは手始めにあの娘を殺して差し上げましょうかしら? そう思い、私は次の標的を定めようとしました。

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