テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
いろんなものでドロドロになった地面を、瓦礫を踏む専用のような硬さをした靴で踏み倒していく。
後方では仲間の軍が戦っているが、敵との人数比を考えるとこちらの軍が勝つだろう。
かつ、武器の射程も私たちの方が長い。
指示を出す小隊隊長の声と爆破音が響く
中、相棒の銃を担いで、沈みゆく太陽の反対方向に走った。
長く、白色をした睫毛に、塵が当たってもなお走り続ける。
ひとつに束ねた白髪は、空にたなびく雲のよう。
黒色の軍服とは正反対の髪色ゆえに目立ってしまうが、今回は安全に抜けられそうだ。
窮地に立っている戦地を救うべく、逃げる兵士よりも素早く大地を駆ける。
それと同時に、前方、後方、左右を確認し、敵の追撃や尾行に備える。
目立つからには警戒が必須。
自分たちの拠点が知られたら、真っ先に壊滅するのはこちら側だろう。
背中を敵に向けるのは軍人として恥ずべきこととは知りながら、冷静に状況を判断して、自分のためにも、軍のためにも、ここは仲間に任せるのが最善だと判断したのだ。
大丈夫、間違ってはいない。
走っているのか、焦っているのか、やるせないのか分からないが、心臓は先程よりも早鐘を打ち、痛くなっているように感じた。
───────────────────
───────────────────
───────────────────
───────────────────
暫く警戒していたが、誰も追ってきてはいなかった。
爆撃音もだいぶ遠くなってきている。
手首に装着している電子機器を操作し、もう慣れた手つきで<マップ>という項目を開く。
電子音と同時に、ここ周辺の地形や拠点の位置、座標、どこに軍があるかなど、緻密に描き込まれた地図が空中に現れた。
青色と緑色の中間のような色合いをした、琥珀糖のように半透明で板のよう。
時々地図の枠がブレるが、通信は安定しているようだ。
大体の情報は問題なく読み取れる。
いわゆるホログラムのようなもので、実体は無い。
触れようとしても、手が通り抜けて、黒の軍服にホログラムが映るだけ。
紙でも良いのではと思ったが、どうやらこの地図はリアルタイムで軍の位置や自分の座標が反映されているらしい。
自分が動くと同時に、地図上に表されている拠点との距離が、どんどん近くなっている。
どこでも確認できるのは確かに便利だった。
残り、、、約800m。
敵が居ないことは確認済み。
これは、勝ったな。
そう思い、足の運びを少し穏やかにした。
りん
その瞬間、だったと思う。
「っ!?、んなっ、、、!!!」
背後から、手榴弾。
小脇に抱えていた銃を持ち直し、銃口を手榴弾に向ける。
誰よりも早いスピードで銃を構えた。
玉は移動中に補給した。
装丁は出来ている。
大丈夫、いける。
トリガーを引き、手榴弾に向けて玉を放つ。
バンッという轟音と共に、玉が発射され、手榴弾の右側部に命中する。
玉は弾かれた。
そう、これでいい。
手榴弾の外壁はとても固く、銃で貫けないものだとは知っている。
だから、手榴弾の側面を玉で叩き、軌道をずらしたのだ。
手榴弾は宙を軽やかに舞い、少量の煙を残しながら明後日の方向へ飛んでいく。
予想通り、手榴弾の軌道は右側にずれ、少し転がった後、私の遥か右前方で爆発した。
冷静に対処できたことに安堵感を覚える。
まだ銃の反動で痺れている右手を握りながら、ペンキなどでデコレーションされた異様な見た目の手榴弾を思い出す。
真っ白に染め上げられ、不格好なピンク色の星が描かれていたと思う。
それに、名前のイニシャルのような文字も。
あのデザイン、見覚えがある。
、、、またあいつか。
『、、、なんで生きとんの、毎回。』
「っは!!お前が下手なせいだなァ!」
声の方向に目を向け、相手を確認したあと、いつも通り挑発する。
やはり。彼女だ。
戦場屈指のボマーであり、戦を心から楽しんでいる頭のイカれたやつ。
あちら側の小隊隊長。
私の宿敵である、八重宮しずかだ。
コメント
1件
第2話、めっちゃ熱かった…🔥 戦場の緊張感と、主人公のクールな判断力がかっこよすぎる。手榴弾の軌道をずらす冷静さ、痺れた。 「なんで生きとんの、毎回」からの挑発合戦、タイトル回収も鮮やかだね。宿敵・八重宮しずか、気になる存在すぎる…! 二人の関係性、もっと知りたいな🤍