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単独任務6日目(夜)

夜、隣でライネが熟睡している中、レイナは寝れずに天井を眺めていた。

あの後3人で昼食を食べに行き、食べ終わったらすぐにまた地下の図書館で探索を再開、そのまま夕方まで調べ続け、ずっと魔法を使っていたライネの魔力に限界が来たのだ。

そして、今日は夜に探索するのは無理そうだ

と言うことで、今こうしていつもより早くベットに入っている。

だが、全くと言っていい程魔法を使っていない

し、図書館で古代語で書かれている本をひたすら読んでいたため体力もしっかり残っているレイナには、全く眠気がやって来なかった。

また調べに行くか…

市長が帰って来るのは明日の昼なので、今から行って明日の昼少し前までずっと読んでてもいいかもしれない。

そう思い、レイナは地下室への隠し扉がある小屋へと向かった。

︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎

誰も見ていない為、堂々と魔法を使って薪を全てどかした後、持ってきた鍵で隠し扉を開ける。

昼間はまだ日光が小屋に入っていて薄暗くはあったが階段の段階ではまだ周りが見えた。だが、夜で月明かりしかない為、隠し扉の先は殆ど真っ暗で何も見えない。

レイナは魔法で暗視をつけると、階段を降りていった。

︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎

図書館の中に入り、昼間の間に沢山古代語で書かれた書物を見つけた通路に行く。

沢山と言っても、本棚の1段に埋まる位の本しか無かったので、まだ読んでいない本は残り数冊くらいしかない。

まだ読んでいない本を手に取り、ドンドン読み進めていく、最後の1冊の1番最後のページに、気になる魔法があった。

「『その空間で、昔起こったことが見れる』…?」

簡単に言うとそんな内容の呪文だった。

便利そうなので今から試してみようと、本に書かれていた呪文を唱えようとする。

「*ВЗЙЦЧ*『ピピピピピッピピピピピッ』

「!!!!!」

物音が全くと言っていいほどしない中、いきなりスマホから大きな着信音が鳴った為、かなり驚いて連絡してきたヒトの名前も見ずに電話に出てしまった。

レイナはまだバクバクと鳴っている心臓を抑えながら、「もしもし」と言う。

『あ、もしもし』

声からして、恐らく電話をしてきたのは凪だろう。

「なんだ凪か。なんか久しぶりだね」

『うん。ごめん、もしかして寝てた?今切るから…』

「あ、切らなくてもいいよ」

『わかった』

「うん。凪は今何してたの?」

『ゲームやってて、それで仕事関係でソウに電話しようと思ったら、間違ってレイナに…』

「……」

『?レイナ?』

「あ、ごめん。レイナって呼ばれたの久しぶりで」

『あぁ、潜入調査だったもんね。そういえば、任務ってどんな感じ?』

「結構進んでると思う。調べてない事実まで出てきて、たまに元の依頼を忘れそうになる」

『そっか、頑張ってね』

「うん」

電話をしながら、レイナは手元の本に目をやった。

「実は、今なんか地下室にいるんだけど、」

『うん』

「今からちょっと初めて使う魔法をかけ使って調べたい事があるのね、」

『うん』

「それで、私が今その事について調べ終えるまで電話を切らないで欲しい」

『わかった』

「ありがと」

レイナは一旦、今から使う魔法について軽く説明をする。

「じゃ、今から始めるね」

レイナはそう言うと、手元の本に書かれている呪文を唱えだした。

「*ВЗЙЦЧНЖЛСП*…」

口から、言葉とも言えない音が出てくる。

呪文を唱え終えると、急にあたりの景色がグワンと歪み、頭がガンガンと痛くなりだした。

「…っ」

思わず目を瞑り、頭を手でおさえる。

頭痛が収まり目を開くと、一見何も変わっていない景色が見えた。

『レイナ?大丈夫?』

「多分大丈夫」

すると、足音が聞こえてた来た。音の数からして、恐らく2人いるのだろう。

「誰か来た」

『それヤバくない?隠れる場所とかは?』

「本棚が沢山あるからすぐには見つからないと思う」

聞き耳を立てていると、男性の声と女性の声で会話が聞こえてきた。

「…でも、あの子が居なくなったことは、どう周りに言うわけ?」

「誰かに攫われた事にすればいい。そうすれば、死体を用意する必要も無くなる 」

「明日の朝から一芝居しなきゃいけないのね」

姿を見ようと、もう少し声の近くに向かった所で、いきなり周りの本棚がすべて床に吸い込まれるように消えた。

「…」

あ、死んだ

最早驚きもせずにそう絶望してると、超えの主たちが部屋に入って来た。

「ごめん、凪。私終わったわ」

『えっ、ちょっ、どしたの?』

だが、部屋に入ってきた男女はまるでレイナなんか見えていないかのように普通に会話を続けている。

「え?」

『どうした?』

思わず会話をしている2人に近付く。何故か少し、血のような匂いがした。本当に少しなので、気のせいかと思ってさらに近付く。だが、目の前にいるというのにまったく気づかれる気配がしない。

「もしかして…」

思い切って2人に触れようとする。が、その手は2人の体をすり抜けて行った。

「やっぱり…」

『何があったのー?』

「多分、私はこの時間に存在してないから、この時間のヒトに私は見えないし触れないっぽい」

『最強じゃん』

バレないと分かればビクビクする必要は無い。レイナは2人の近くで堂々と話を盗み聴いた。

すると、信じられない話が聞こえてきた。

「にしても、まさか貴方が、自分の研究のためなら実の息子でさえ売るなんて、思いもしなかったわ」

「俺も、君がそれに賛成するなんて思ってもなかったよ」

ん?今、この2人は実の息子を売ったと言っただろうか…

「私たち、2人とも外面はいいですもんね」

「そうだな」

平然ととんでもない事を言っている2人に、思わず声が漏れる。

「やべぇ奴らじゃん…」

『何かあったの?』

「目の前のヒト達の会話が想像よりも狂気だった」

その後も話は続いたが、特に重要そうな話はなかったため、そろそろ帰ろうかと思っていると、あるワードが耳に入った。

「俺のような吸血鬼にとって、昼間何も無く外に出られる様になる事は何よりも大切だからな」

吸血鬼。人外しか住まないこの世界では特に珍しい単語では無いはずなのに、そのワードだけがはっきり耳に入ってくる。

「えぇ、でも、あの子も吸血鬼にならなくてよかったわ」

頭がズキズキと痛んでくる。肺の辺りからヒューヒューと冷たい音が聞こえ、上手く息が吸えない。

「ヒュ、カハッ、」

『レイナ!?』

苦しくなり、息を吸おうとするが、全く吸えず、首を抑えて膝からガクリと床に落ちる。頭がドクンドクンとうるさい。

「ヒュー、カヒュッ、ゴホッゲホッ」

頭がふたつに割れるんじゃないかと思うくらい痛くなり、もうこれで死んでしまうんじゃないかと思った時、いきなり声が聞こえた。

『…イナ!レイナ!』

「ごホッ、ゲホッ、ヒュッ」

『大丈夫!?ゆっくり、落ち着いて深呼吸して!』

「ヒューヒュー…スー」

指示どうり落ち着いてゆっくりと息を吸ったら、段々と落ち着いてきた。

「スー…ハー…スー…」

『大丈夫?』

頭の痛みも収まり、息を整える。

「大丈夫。ありがとう」

『何があったの?』

「なんかいきなり息苦しくなって、終わったかと思った」

『無事でよかった…』

心底ほっとしたようなため息が電話越しに聞こえた。

「本当にありがとう」

『どういたしまして。今、状況は?』

凪に言われ、周りを見渡す。どうやら、元の部屋に戻ってきているようだ。

「元の部屋に戻ってきた」

『良かった。あとは何か調べることとかはある?』

「特にない。もう屋敷にもどるね」

『了解。じゃ、俺もそろそろ寝るし、切るよ』

「うん。付き合ってくれてありがと。おやすみ」

『うん。おやすみ』

ブツっ

電話が切れると、レイナはスマホをポケットにしまった。

早く部屋に戻ってさっき魔法で見た情報を整理しよう。そう思い階段を登り、自室へと戻る。

メモをし終え、スマホの電源を切って置くと、大きな欠伸が出てきた。初めての魔法を使ったし、原因は分からないが恐らく過呼吸のようなものにもなった。体が疲れているのだろう。

レイナは布団に潜ると、すぐに眠気に吸い込まれていった。

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