初めましての方は初めまして優華と申します。
小説を書くのは初めてでして、誤字脱字、文法がおかしなところがあると思いますが温かい目で見守っていただければ幸いです。
注意事項を承知の上でお楽しみください。
ーーーーーーーー注意事項⚠️ーーーーーーーーー
・実際の国家が登場しますが今作品と一切の関係はございません。
・特定の国家を貶める意図はございません。
・旧国が登場します。
・誤字脱字、おかしな文法がある恐れがあります
・以上の点を許容できる方だけ読み進めてください。
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「おーい…おきろ…!」
ゆらゆらと船が波で揺れる感覚がする。
「イギリス…イギリスっ…!」
私を起こそうとする男の声がする。
「祖国様…..祖国様…」
肩を誰かに掴まれ揺さぶられる。
「祖国様。日本に着きましたよ。」
『あぁ、もうそんな時間か…』
私は島国だ。船旅には慣れているが今回は久しい長旅だ。
疲れて寝てしまった。
「随分寝ぼけていらっしゃいますね。お珍しい」
「もう使者の方がおいでですよ。外で祖国様をお待ちです。」
「日英同盟締結記念の訪問なのですから…」
『分かった。すぐに行こう。』
居眠りで乱れた服装を整え甲板に出ると近衛兵に囲まれた男が私を出迎えた。
「遠い欧羅巴からよくぞいらっしゃいました。」
立派な装いをした男が一歩私に近づく。
「お初にお目にかかります。大英帝国殿。」
「大日本帝国と申します。以後お見知りおきを」
私に手を差し出してくる。
握手しろとゆうことだろう。
『…….』
『これはなんの真似だ?』
私がこう問いかけるとその男は困惑した様子で口を開く。
「何と言われましても…握手を」
少しこの男苛立った私は懐に忍ばせていた愛銃を発砲する。
『いつ私がお前に質問をした。』
「祖国様!?何をやっておられるのです!?」
私の秘書が悲鳴をあげる。
亜細亜の国家と同盟を結ぶと発表した際、此奴は国民の不満とバッシングの的になった。
奔走した分この同盟が失効になったらと思うと耐えられないのだろう。
『此奴は私が許可していないのに口を開いたのです。これぐらいいいでしょう…』
『別に頬に掠れただけなのですから、特に問題ないでしょう。』
『それに…』
視線を秘書から大日本帝国に移す。
『私が質問しているのはあなたですよ。』
『右側の近衛兵…』
「…….」
しばしの沈黙の後、近衛兵は深く被っていた軍帽を外す。
「流石は、天下の大英帝国殿…」
「私に気づかなければどうしようかと思いましたが…余計な心配でしたね。」
軍帽で隠されていた紅い目が私を見つめる。
「改めまして大日本帝国と申します。」
「遥々欧羅巴からこの極東の国へようこそおいでくださりました。」
仮面を被ったように動かない笑顔。
私に媚びを売ってくる奴らと同じ顔。
(反吐が出そうだ…)
差し出してきた手を握り締める。
『私を試す必要がありましたか?』
「あら、試されてご機嫌が悪くなりましたか?」
「まぁ…同盟を結ぶ相手ならある程度力量を計っておかなければいけませんからね。」
私を試すとは…
まさかこんなにも生意気だとは思っていませんでしたね。
『流石は、昔あんな小規模な艦隊で私相手に戦っただけはありますね。』
「敬愛するかの大英帝国殿からそのような言葉を賜るとは…身に余る光栄です。」
少し口元が緩むのが見える。
敬愛している相手に喧嘩を売るとは肝が据わっていますね。
『まぁいいでしょう。』
亜細亜初の列強に選出されたからと調子に乗っているようですね。
所詮、大日本帝国は露西亜帝国相手の防波堤でしかない。
(このような訪問だって適当に理由を付けて拒否しておけば良かったものを…)
「絶対行ってください!失効になったら許しませんからね!?」
『なんで私がわざわざ亜細亜の極東なんかに…』
「貴方が行かなくって関係が悪化しなさったらどうするつもりなんですか!?」
と言われて国内の反対意見を押しのけてまで日本の訪問に踏み切った。
『はぁ…』
私のため息を感じとったのか大日本帝国が私に近づきこう囁く。
「遠い長旅でお疲れでしょうが、早速着替えて頂きますよ。」
『はぁ?何故私が着替える必要がある?』
私の問いかけに大日本帝国は目を細め、薄ら笑いをしながら答える。
「和服に着替えて頂きますよ。我々の文化を知るための訪問なのだから当然でしょう?」
(今回の訪問の目的はそれでしたか…)
面倒ながらもため息混じりに答える。
『何故かの大英帝国が和服なんかにわざわざ着替えなければいけないのですか?』
『文化を知るだけなら洋服も問題ないでしょう』
「祖国様っ!?」
その瞬間大日本帝国の笑顔の仮面に罅が入る。
よく見ると握り締められた手は子鹿のように震えている。
『どうしましたか?あぁ、今の発言が不快だったのなら謝りましょう。』
暫く黙り込んだ後不気味な壊れかけの仮面でこう返す。
「申し訳ございません。」
「まさか大英帝国殿がこのような小さな要求も受けて下さらないとは考えてもいませんでした。」
「天下の大英帝国殿でも直接的な言葉でしか蔑むことが出来ないのですね。」
「まさに低俗とはこのことでしょうね。」
此奴は自身の文化を馬鹿にされながらもわたし相手に仮面を被り続けている。
正直不気味としか言いようがない。
『大日本帝国殿。あなた 女狐と言われたことはありませんか?』
「おや、日本語をよく御勉強なさったようで。」
また此奴は新しい仮面を被るなおす。
『あなた外面だけはいいですね。』
「おや、外面すら繕えないあなたが何を仰られる。」
しばし沈黙が流れる。
日本風に言えば空気が凍りつくとでも言ったところかな。
「こんな所で皮肉りあっていても拉致が開きませんね。」
「私に着いてきてください。なんと言われようと和服には着替えて頂きますよ。」
痺れを切らしたか、大日本帝国が私を誘導する。
秘書が耳元で囁く。
「祖国様、お願いですからついて行ってください。」
不服ながら大日本帝国の後を着いていく。
(私に後をつけさせるとは…さりげない侮辱の仕方をよくわかっているらしい。)
更衣室らしき部屋に誘導すると厳重に和紙に包まれた物を奥から持ってくる。
「大英帝国殿にはこちらの着物を記念に授与させていただきます。」
和紙を捲ると漆黒の生地が目に映る。
『言葉遣いには気をつけなさい。』
「おや、なんのことだか。」
わざとらしく笑顔で返される。
仕方なく渡された着物の袖に腕を通す。
「よくお似合いですよ。」
思ったより通気性がよく肌触りがいい。
どうやらこの着物は上等らしく生絹がふんだんに使われているようだ。
「流石に同盟国相手に粗末な着物を着せたりしませんよ。」
『まぁ、そんな事するのは余程の自殺志願者だけでしょうね。』
横目で大日本帝国を睨みつける。
それに気づいたようにあなたは私に笑い返す。
「それでは行きましょうか。私の国民たちがあなたをお待ちです。」
用意されていた馬車に大日本帝国と乗り込み、港から出発する。
馬車が出発した瞬間鼓膜が破れたかと思う程の歓声が馬車を包みこむ。
見ると市民が道を挟み込み、一斉に祖国万歳、大英帝国万歳と国旗を振り回している。
大日本帝国は慣れているようで、柔らかな笑顔で国民に手を振る。
『日常茶飯事なのですか?』
市民に手を振りながら質問してみる。
大日本帝国は暫く考えこんだ後こう返してきた。
「今日は特に多いですね。」
「有難いことに国民は親英が多いですし、私のことを慕ってくれているんです。」
「それに今まで着物で公の場に姿を現すなんてそうそうなかったですから」
横目で見てみると、大日本帝国は今までで一番の柔らかい笑顔で国民の歓声に答えていた。
驚いて顔が少し火照る。
(こんな顔もするのですね…)
私相手には絶対に向けることは無いであろう柔らかな笑顔。
『あなた、他国相手に笑顔で取り繕うしか能がないと思っていましたよ。』
勝手に口が動く。
「おや、私相手に大英帝国殿が本音を吐露するとは思ってもいませんでしたよ。」
女は徐々に、男は一目惚れと言われていますが…
まさかそんな事有りませんよね…
次回に続く…
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