テラーノベル
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雨の夜の新宿は、光がいつもより滲んで見える。
ホストクラブも、濡れた路地に揺れていた。
カウンター越しにグラスを回しながら、
俺___
yaは笑っていた。
常連の嬢が甘える声を耳で受け流し、
計算通りの間合いでグラスを合わせる。
仕事は順調。
俺はこの街で、指名ナンバーワンの座を揺るがせない。
___そのはずだった。
ドアが開いた瞬間、空気が変わった。
湿った風と雨の匂いと共に、
ひとりの女が現れる。
鮮やかなオレンジ色の髪が濡れて首筋に貼りつき、
水滴がつうっと鎖骨へと伝う。
黒のワンピースは雨で肌に張り付き、
胸の曲線と腰のラインを余すことなく浮かび上がらせていた。
唇は濡れていて、
瞳は明るく、ランタンの火のようだった。
「…ここ、座ってもいい?
声は低く、
濡れた石畳のように滑らかだった。
俺は空いた席を示し、
常連をそっと帰らせた。
名前を聞くと、
彼女は、
et「私はet。
とぶっきらぼうに答えていた。
細い指先が、グラスの縁をなぞる。
その仕草だけで、視線が奪われる。
et「あんた…女を楽しませるのは得意そうね。
挑むような言葉に、
俺は笑って返す。
ya「仕事だから。
ya「…でも、あんたには通じない気がする。
et「ふふ…賭けてみる…?
そう言って彼女は、
テーブルの下で俺の足に軽く触れた。
偶然を装った動きに見せかけ、
俺を堕とそうとしているように見えた。
グラスの音がやけに大きく響く。
彼女の挑発的な態度の奥に、
ふと影が差す瞬間がある。
笑顔の下に隠された孤独。
その落差が、俺の興味を鋭く研ぎ澄ませた。
閉店間際、彼女は「送って」と言った。
雨脚は弱まらない。
夜道を歩くうちに、街の音も人の気配も遠くなっていく。
et「あなた…
et「私に恋しちゃダメよ。
そう言った瞬間、
彼女は俺のネクタイをぐいと引き寄せた。
夜の湿気と雨の匂いが一気に近づき、
唇が重なる。
冷えた雨粒が頬を伝う感覚より、
唇の熱のほうが鮮烈だった。
濡れた髪が俺の頬や首筋にまとわりつき、
くすぐったくも甘い。
唇の形を確かめるように、
何度も浅く、深く重ねられる。
舌先が触れ、押し返す。
その小さな衝突が、
体の奥に火を灯す。
et「…んん、
彼女が息を吐くたび、
唇の間に微かな声が混ざる。
吐息と一緒に混ざるのは、
アルコールの香りと、
彼女自身の甘い匂い。
雨で薄まるどころか、むしろ濃くなる。
腰を引き寄せられた瞬間、
ワンピース越しに柔らかい熱が伝わる。
背中に回された腕が、
俺のシャツをぐしゃりと掴み、
さらに深く抱き寄せる。
雨粒が首筋を滑り落ち、
鎖骨の上に堕ちる。
そこに彼女の唇が触れた。
ひやりとした感触と、次に押し寄せる熱。
その温度差が、
くすぐったく、甘かった。
et「…雨の夜は、誰も私を探さないの。
耳元に囁く声は、雨音よりも静かで、
確実に胸を射抜く。
囁きながら、彼女の指先が俺の首元にかかり、
ゆっくりとシャツのボタンを外す。
服の隙間から、
冷えた雨と彼女の体温が入り込む。
俺は彼女の手首をそっと掴んだ。
止めるためじゃない。
ただ、
その熱を逃がしたくなかった。
唇を離した彼女は、
俺の胸元に額を預け、
小さく笑う。
et「全部、あげるって言ったら…
et「どうする?
俺の答えを待たず、
もう一度顔を上げ、
濡れた睫毛の奥で挑発的に微笑む。
彼女の唇がまた近づいた、
その瞬間___
ふっと身体を離し、
俺のネクタイを指先でなぞりながら言った。
et「続きは、また雨の日にね。
置き去りにされた熱は、
冷たい雨でも消えなかった。
コメント
3件
め っ ち ゃ 面 白 そ う ‼️ は や く 続 き み た い 🙄 💘
めちゃ面白そう🙌🏻✨
et視点 → ♡1000