YSPクラブを結成してすぐの事だった
アゲハ達6人は、学園長室に呼ばれていた
学園長室は、『Y』の形をした校舎の中央にある高い塔の1番上、所謂最上階にある
壁一面が窓で囲まれており、展望台の様に学園シティを一望することが出来る
入学式当日に体育館ホールで挨拶をされていた学園長、大王路キンヤが、
『Y』の形をした高級感のあるテーブルの向こう側に腰かけており、
その手前にはえんら先生が立っている
来客用の豪華なソファセットの前に立つアゲハ達を見やると、
学園長は勢いをつけて話し始めた
キンヤ「今日来て貰ったのは他でもない…。
能力テストをパスした君達に、『学園最大の一大事』を解決して貰いたいからだ」
ジンペイ「そんな一大事なら、上級生に頼んだ方が……」
ジンペイの言葉を遮り、えんら先生が話す
えんら「これは『特別な存在』である君達にしか、出来ないことなの」
それを聞いたマタロウは、ガビーンッとショックを受ける
マタロウ「(え~!!僕違う、僕違う~ッ……なんでここに立ってるかなぁ…)」
あ、でも…とマタロウは隣に立っているフブキをチラリと見る
フブキも『特別な存在』ではない筈だ
少しばかり安心するマタロウだが、フブキがコソコソと後ろ手に
小さなパイナップルの形状の手榴弾を組み立てているの見て、更に不安を煽られる
マタロウ「(……ていうか、この子は違う意味で『特別な存在』かもなぁ…)」
すると、メラがドカッと偉そうにソファに座り、学園長に言う
メラ「おもしれえ。詳しく聞かせてくれよ」
キンヤ「うむ…。君達に、私の娘『エマ』を救って貰いたいのだ」
学園長の深刻な顔に、6人は顔を見合わせる
アゲハ「救うとは、どういうことですか?」
アゲハの問い掛けに、学園長が信じがたい衝撃発言を落とす
キンヤ「実は、エマは悪霊に取り憑かれておってな……。
事あるごとに、私を殺そうとするのだ―ッ!!」
ジンペイ「えええええええ――――――ッ!!」
アゲハも驚きの声を出そうと口を開いたが、その前にジンペイが大袈裟に驚き、
イナバウアー並みに体を仰け反らせた
ジンペイの隣にいたアゲハは、叫び声の煩さに耳を塞ぐ
学園長はさらに話を続ける
キンヤ「この悪霊を追い払うには、心霊的・妖怪的力を持つ者が必要なのだ。
そこで私はYSP、即ち、『Yokai Speciai Pawer』を持った君達を
スカウトさせた、という訳だ」
ジンペイ「ふーん。で、そのエマはどこにいるんだ?」
キンヤ「娘を気安く呼び捨てにするなッ!!」
学園長から大迫力の形相で怒鳴りつけられたにも関わらず、
ジンペイは懲りずにラップを歌い始める
ジンペイ「エマジェンシー♪エマなジェンシー♪エマ、エマ、エマ!」
その場をクルクルと回りながらラップを刻むジンペイに、
バシーンッ!!と学園長からのハリセンがお見舞いされる
そして見事に吹っ飛んだジンペイに、アゲハが冷や汗を流す
キンヤ「喧しい!!兎に角!今のエマは危険なのだ。
私は心を鬼にして、エマを『剣の塔』に閉じ込めておる。
ああエマよ…許しておくれ~~~!!」
こうしてアゲハ達は、至急『剣の塔』に向かうこととなった
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