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「」せりふ ()こころ
桃 side .
すち の 部屋で 暮らすようになってから 、 どれくらいの 時間が 経ったのだろう 。
テレビの ニュースも見ず 、 スマホも ない生活 。
カレンダーを めくることも 忘れた この部屋では 、 時間の 感覚が 甘く 麻痺していく 。
朝 、 仕事へ 行く すち に 「いってらっしゃい」 の キスをして 、 夜 、 帰ってきた すち に 「おかえり」 の 抱擁を する 。
すち が 作ってくれる 美味しいご飯を食べて 、 すち の 広いベッドで 何度も 深く 愛し合って 眠る 。
学校にいた頃に あれほど 俺を苦しめていた 、 友達や 先生が 消えていく恐怖 。
あの胸を刺すような 罪悪感は 、 この部屋のどこにも 存在しなかった 。
(ここにいれば 、 誰も傷つかない 。 俺も 、 世界も 、 みんな安全だ)
外の世界を遮断した 俺 の 選択は 、 やっぱり 正しかったんだ 。
すち の 言う通り 、 俺 は ここで 、 すち の ことだけを 考えて 生きていればいい 。
「 …… あれ」
昼下がり 、 静かな リビングで一人 、 すち の 帰りを 待ちながら 本を 読もうとした時 だった 。
お気に入りの小説を どこに置いたか 分からなくなり 、 俺 は 部屋の中を 探し回った 。
いつも すち が 仕事の書類などを 入れている 、 リビングの隅の 低い キャビネット 。
普段は あまり 触らない場所だけど 、 もしかしたら 本が 紛れ込んでいるかも しれない 。
軽い 気持ちで 、 俺 は 一番下の 引き出しを 引いた 。
引き出しの奥に 、 見慣れない 革製の 黒いポーチが 落ちていた 。
「これ 、 すち の なのかな …… 」
何気なく 手に取る 。
チャックを開けると 、 中から 出てきたのは 、 すち の 物とは 思えない いくつかの 『小物』 だった 。
可愛いクマの キーホルダー 。
見覚えのある デザインの 、 男子高校生用の シャーペン 。
そして ―― 少し擦り切れた 、 緑色の学生証 。
俺 の 指先が 、 ピキリと 凍りついた 。
その 学生証に 貼られた 写真の人物を 、 俺 は よく 知っている 。
数ヶ月前 、 俺 の周りで 一番最初に 学校から 『消えた』 、 部活の 先輩の 顔だった 。
「なんで …… ? 先輩の 学生証が 、 どうして すち の 部屋に あるの …… ? 」
心臓が 、 ドクンと 嫌な音を 立てて 波打ち始める 。
嫌な汗が じわりと 手のひらに にじむ 。
パニックになりそうな 頭を 落ち着かせようと 、 俺 は ポーチの さらに 奥を 探った 。
中から 出てきたのは 、 小さな ICレコーダーと 、 何かの 鍵 。
震える手で レコーダーの 再生ボタンを 押すと 、 カサカサとした 不穏な ノイズの 向こうから 、 聞き覚えのある 男の声が 聞こえてきた 。
『―― 頼む 、 助けてくれ ! 誰に 言われたって 、 俺は あいつに 、 らん に 近づいてなんかない ! 』
『嘘だ 、 本当に ただの クラスメイトなんだ ! お願いだ 、 もうやめてくれ 、 痛い 、 痛いっ …… ! 』
「ひっ …… ! 」
短い悲鳴が 喉から漏れ 、 俺 は レコーダーを 床に 落とした 。
それは 、 あの クラスメイトの 男子の 、 悲痛な 叫び声だった 。
そして 、 その悲鳴の すぐ後に 聞こえた 、 足音 。
低く 、 穏やかな 、 聞き間違えるはずのない ―― ふわりと 鼻歌を歌う 、 すちの声 。
『うん 、 そうだね 。 らんらん に 近づく ノイズは 、 全部 消えちゃえばいいんだよ』
冷たい コンクリートの底に 、 真っ逆さまに 突き落とされたような 感覚が した 。
世界が 、 ぐにゃりと 歪んでいく 。
俺 の 周りから みんなが 消えていたのは 、 呪いなんかじゃ なかった 。
俺 が 関わったから 、 呪いが 消していたんじゃない 。
俺 に 近づく すべての人間を 、 肉体的に 排除していたのは ―― 。
ガチャリ 、 と 静かな部屋に 、 玄関の ドアが 開く音が 響いた 。
「ただいま 、 らんらん 。 今日は 早く仕事が 終わったから 、 らんらん の 大好きな ケーキ 買ってきたよ」
廊下から聞こえる 、 いつもと変わらない 、 世界で一番優しくて大好きな恋人 の 声 。
俺 は 床に散らばった 『証拠』 を 見つめたまま 、 恐怖で 指一本 動かすことが できなかった 。
【に】
episode 8 . fin_
コメント
3件
🌾失っ.ᐟ.ᐟ ぐあっ ついに桃様気づいたんだぁ… 鼻歌混じりって怖いね。おん。 ただいまーってやばいじゃん… くぁっ(?) バレるじゃんアゼルバイジャン((((( 続きがひじょ〜にきになるっ.ᐟ.ᐟ
おお……これは、めっちゃ重い回だったな……。桃がすちの隠し物を見つけちゃう展開、まさかそんな形で明らかになるとは思わなかった。学生証とICレコーダー、あの鼻歌混じりの声——読んでて背筋が凍ったわ。今まで「呪い」だと思ってたものが、すちの「排除」だったって真相はエグい。桃の「なんで」っていう困惑と恐怖がひしひし伝わってくる。その直後に「ただいま」って帰ってくるすちの声が、今までと全く同じ優しさなのが逆に怖すぎる……。次どないなるんやろ、心臓バクバクや🔥