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それからしばらくして、隣のクラスに黒瀬澪(くろせ みお)という転校生がやってきた。学校でその姿を見つけた瞬間、胸の奥に冷たい波がざわついた。小学校の時………あぁ、またあれが始まるのかもしれない、という予感がじわじわと忍び寄る。
澪はまた僕の恐怖を楽しむかのように、ゆっくりと近づいてきた。
「紗奈〜、覚えてる?小学校のときぶりだね〜w」
その笑みはどこか得意げで、僕の胸をぎゅっと締めつける。言葉に出さないけれど、見るだけで重く、じわじわと息苦しい。澪は僕が困っているように見えたのかスマホを見せてきた。
そして差し出されたスマホの画面には、僕と陽葵が抱き合っているように見える写真が映っていた。
でも、これは泣いている僕を陽葵がかばっているところを、澪が巧妙に角度を隠して撮っただけのものだった。この写真…いつ…
「きもーっ、ほら、これ拡散されたら陽葵くんも迷惑だよね〜?w」
澪の声は甘い響きで、でも底には嫌な毒が混じっていた。
その小さな一言で、僕の胸はぎゅうっと締めつけられ、思わず肩が震える。
また誰も僕の味方じゃなくなるのではないかと、そんな感覚がじわじわと心を覆っていく。
僕は逃げ出したいと思った。だけど、これを見せられた以上、逃げるわけにもいかない…
…陽葵、ごめんなさい……ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい… また、迷惑を…
足を前に出すたびに、澪の視線がずっと背中に突き刺さる。
小さな嘲笑が、授業中も休み時間も、じわじわと心を圧迫するような感覚。
ただ歩いているだけなのに、心臓が早鐘のように打ち、手のひらが汗でじっとりと濡れていく。
僕は心の中で何度も「もうやめて」と呟くけれど、澪はまるでその声を聞き取るかのように、楽しげに笑う。
その笑い声が、僕の不安をさらに増幅させて、息苦しさを引き起こす。
気がつけば、僕の体も心も小さく縮こまって、学校という空間全体が重くのしかかってくる。
そして、帰り道を考えるだけで胸が締め付けられ、明日の学校のことを思うと足が重くなる。
あのじわじわとした圧力、今日一日だけでも逃れられるだろうか、と不安に駆られながらも、僕はかろうじて足を前に運んだ。
陽葵視点
帰り道を歩きながら、僕はふと紗奈の顔に目をやった。
いつもの穏やかな表情は少し影を潜め、眉がわずかに寄っている。目元には小さな不安の影が見える——まるで前のように、心の奥でぎゅっと何かを抱え込んでいるかのような表情だった。
「……紗奈、大丈夫?」
思わず声をかける。紗奈は軽く笑って首を振ったけれど、その笑顔もどこかぎこちなく、僕にはすぐにわかった。
前と同じ、不安で辛そうな顔。
僕は胸の奥がぎゅっとなるのを感じた。こういう時こそ、僕がそばにいてやらなきゃいけないんだ、と強く思った。
歩幅を合わせながら、僕はそっと紗奈の肩に手を添える。僕が紗奈を守ってみせる。