テラーノベル
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約束は約束、破ってしまったら周りからの視線が痛い。
そんな気持ちで”陽キャ”3人は首吊り台に立つ。
ボタンを押すのも”陽キャ”、こっちは意外に余裕そうな表情をしている。
時間になった。
3人はボタンを押す。
雷ほどの音をたて、首を吊っていた1人の真下の床が抜ける。
《おろしちゃだめだよ。そうしたら君たち、皆殺し!》
だんだんと顔が赤くなっていくのが見える。
息が吸えないのだろう、声ともいえない掠れ声と一生懸命に息を吸おうとする音が聞こえる。
誰かが言った。
「もうやめようや、こんなん」
やめるもなにもない。
おろしたら皆殺し、苦しむ姿をじっと見るしかないのだ。
《そんなにクラスメイトが苦しむのが可哀想?じゃあ1個許可を出すよ》
カラカラン
どこから出てきたのか、床には2本カッターが落ちていた。
《それでそいつの手首を切っても、お腹を切ってもいいよ》
どちらにせよ、即死はできない。
フユキは苦しむ姿がどうしても見たいようだ。
俺は気づいた。
小さく、咽び泣く声を。
ボタンを押した3人は過呼吸を起こしていた。
前にも言ったようにボタンを押した方は罪悪感に溢れる。
もしかしたら自分のせいで彼は死んだ、自分が押したボタンがアタリだったのかも。
自分が彼を殺した。
そんなことを考えたら死にたくなるだろう。
俺のその考えはあたった。
ボタンを押した2人はカッターを手に取り、自分の首に押し当てる。
「お、俺があいつを殺した、俺は殺人犯だ。きっとそうだ!いやだ、そんな目で俺を見るな!」
喉がはち切れるほど叫んでいる。
カッターを持っている手に力が入る。
ぷち、そんな音が聞こえたような気がしたその瞬間。
目の前に血の噴水が出来上がっていた。
水源は今叫んでいた彼だった。
首にカッターを押し付けていたもう1人は噴水を見て怯え、カッターを落とした。
切る覚悟は最初からなかったようだ。
いつのまにか首を吊っていたやつも冷たくなっていた。
《あーあ!もう2人脱落?死体は角にでも寄せといて!ゲームが終わればすぐ片付けるからさ!》
こんな光景をみても、2組目は準備をしなくてはならない。
ここは地獄と思うほかなかった。
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