テラーノベル
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まだ名前のない距離
⚠️いるらん
地雷さんはブラウザバック
Rはありません
それではスタート
深夜、スタジオに残っていたのは二人だけだった。
モニターの明かりに照らされて、いるまはヘッドホンを外す。
「……今日のテイク、悪くなかったな」
LANは椅子にもたれながら、軽く笑った。
「“悪くない”って言葉、珍しいね。褒めてる?」
「褒めてるに決まってんだろ」
その声は素っ気ないのに、視線はLANから逸れない。
LANは気づかないふりをして、マイクスタンドを片付ける。
「いるまさ、無理してない?」
唐突な一言だった。
「……何の話だ」
「最近さ、歌に感情乗せすぎ。
かっこいいけど、壊れそうでさ」
一瞬、空気が止まる。
いるまは何も言わなかった。ただ、LANの言葉を噛みしめる。
「……お前は、全部気づくな」
低く呟くと、LANは少しだけ目を見開いた。
「相棒だからね」
その言葉が、胸の奥に静かに刺さる。
嬉しいはずなのに、どこか足りない。
「相棒、か」
「なに、嫌だった?」
「……いや」
いるまは立ち上がり、LANの横を通り過ぎる。
けれど、扉の前で足を止めた。
「LAN」
「ん?」
「……お前がいるから、歌えてる」
振り返らずにそう言った声は、少し震えていた。
LANは何も言えなかった。
ただ、その背中がいつもより近く感じて、
それ以上の言葉を探すのをやめた。
――今はまだ、名前をつけなくていい。
同じ音を聴いて、同じ未来を見ていられるなら。
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