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「 鬱病 」
もとぱ
部屋のカーテンは閉めっぱなしだった。
太陽の位置も、風の音も、何もかもが他人事で ただ時計の針だけが黙って時間を進めていく。
布団の中で元貴は横になったまま動かなかった。
目は開いていたけれど、何も見ていなかった。
頭の中は真っ白でも真っ黒でもない ただの「空白」。
息をすることも、面倒だとすら思った。
「 …..元貴 」
部屋のドアが開いて 暖かい声が差し込む。
「 また…朝から何も食べてないだろ? 」
そう言ったのは滉斗
元貴の中学からの幼馴染で、数少ない”此処”に来てくれる人間だった。
「 昨日も 夕飯捨ててたぞ。バレてないと思ってた? 」
元貴は返事をしなかった。返事をする気力がなかった。
でも、何も答えなくても 滉斗はため息ひとつで全てを察していた。
「 …..なんで来んの、そんな毎日…面倒でしょ。」
元貴が蚊の鳴くような声で呟くと 滉斗は時間を置いて。
「 めんどくさいよ 」
と言いながら 笑った。
「 でも…元貴が死んだら、俺 ずっと後悔するから。そっちの方がめんどくさい。」
「…….別に、死ぬ気ないけど。」
「 でも、生きてる感じもしないって顔してる 」
布団の端から見える元貴の手は、震えていた。
不安なのか 怒っているのか 怖いのか 元貴自身も分からなかった。
「 俺……何やってもダメで、何にも……楽しくない。
朝も、夜も、いつでも息苦しい。何でこんなふうになっちゃったのか……もう、わかんないんだ 」
弱々しく漏れるその言葉を、滉斗は途中で遮らなかった。
ただそっと腰を下ろして 彼の冷えた手を包み込んだ。
「 楽しくない時は、無理に楽しくしなくていい。ただ俺は 元貴の居ない世界なんて楽しくないからさ。」
「 どうしても傍に居たくなっちゃうの 」
その言葉が 元貴の心の深いところにゆっくりと、ゆっくりと染みていった。
「 …….ごめん 」
「 ううん。俺が来たいから来てるの 」
滉斗はそのまま、元貴の髪を優しく撫でた。
ゆっくりと 何度も 何度も。
暗い部屋に、静かな時間が流れる。
まだ朝は来ない。でも 誰かが居るその温もりが、少しだけ世界の温度を変えた気がした___
#5.「 朝が来ない部屋で 」
大森さんのソロ曲から鬱という言葉が出た時。大森さんもこういうことあったんだろうな。と
コメント
3件
あの、もとぱでもっくんが、頭痛いけますかね。 無理だったらいいので。説明分かりにくかったらすいません