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青×黒
二次創作
両片思い
俺の横で寝る彼。
空は暗くて、どこかしんとしていて寂しい。
幸せそうに寝る彼は、俺にとって彼氏なわけでもなければ、友達なわけでもない。
強いて言うとすれば知人。
友達というほど大した話もしなければ、遊びに行ったりもしない。
相手にとっても俺はその程度の存在なのだろう。
ただ他と違うことは体の関係を持っていること。
だから、俺らに似合う言葉はセフレといったところだろうか。
実際今も体を重ねた後だ。
彼は疲れて服も着ずに寝てしまった。
この関係がいやだとは思わないけど、嬉しいとも思わない。
でもそんな彼に恋愛感情を持ってしまった。
別に堕ちたわけじゃない。
行動の端々からどこかかわいさを感じて。
言葉の端々からどこか優しさを感じて。
俺に笑顔を向けてくれる君が眩しくて。
そんな君が好きになってしまった。
快感なんてどうでもよくて、君に会うことを楽しみにするようになってしまった。
…友達なのかな、俺ら。
こんな関係になる前は普通に話してた。でも今はよくわからなくて。
まろは多分、俺との恋愛とか全く興味ないはずやし。
なんなら気持ち悪がって離れていくだろう。
大好きなんて言ってしまったらどんな顔をするのだろうか。
困った顔をして笑うだろうか。それとも拒絶するだろうか。
そもそもなんでこんな関係になってしまったんやろう。
たまたま。なんとなく。
俺の頭の中に思い付いた言葉が、俺自身を傷つける。
少しでも良いから、俺がよかった。俺じゃなくちゃだめだって。
他の誰かじゃダメだったって言ってくれれば良いのに。
…我儘やな。
横で気持ちよさそうに眠るまろの寝顔を見て、目が潤む。
こいつがいつも横に居てくれたら良いのに。
大好きって言ってくれたら良いのに。
でもきっとこの恋は報われない。
だったら伝えずにこのままの関係の方が幸せなのだろう。
だから、いい。
この関係のままでいいんだ。
諦めるからこれだけは許してほしい。
「…大好きっ…。」
涙と共にそんな言葉を溢した。
寝ていたらしい。
横で動いているあにきの物音で目が覚めた。
体には布団がかかっている。きっとあにきがかけてくれたのだろう。
何をしているのか気になって、バレないようにうっすら目を開けた。
じっと俺の方を見て何かを考えている様子だった。
そして「大好き」と言って寝てしまった。
聞かんければよかったな。
あにきは他に好きな人がいるのだろうか。
俺があのとき、提案したこの関係。
本当は、あにきのことが大好きだった。
だけど、俺は弱いから大好きって言えなかった。
告白できなかった。
だから、普通の友達ではしないことをしたら、付き合いやすくなると思った。
…そんなわけないのにな。
俺の頭の中では、さっきあにきが言った大好きが蠢いている。
俺にすれば、絶対泣かせないのに。
俺にすれば、絶対笑顔にさせられるのに。幸せにしてあげるのに。
他の誰かじゃなくて、俺が良いって、俺を選んでほしい。
でも、あにきが望むのだったら、今すぐ別れるし、ここから離れる。
──ああ、そうした方がいいのか。
そうじゃないと、あにきが傷つくだけやもんな。
俺は、あにきに幸せになってくれたらそれでいい。
あにきの好きな人とあにきが結ばれてくれればそれでいい。
…でも、じゃあ今日だけは、あにきと一緒にいさせてください。
誰かに願った。
明日にはちゃんと別れるから。
明日には1人になるから。
今日だけはっ……。
無意識に涙が出てきたのを無視して、横で寝ているあにきを抱きしめた。
救われてほしい。