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内緒でやって大丈夫なのか...これまた大森さんの反応が気になってきますね!溜めちゃってたので一気に読ませていただきます!😆
私もこのお話、続き楽しみです!!!作者様の書かれる♥️💛が大好きなので、♥️くんに見つかった時の反応が怖い反面、楽しみで🤭
新作!これもまた楽しみです!!
もとより全ては幻覚ですが、りょさんのお仕事捏造しています。
❤️💛予定です。💙は良き理解者。
マネージャーさんから僕個人にオファーが来たと伝えられたとき、率直な感想は珍しい、だった。
自身を卑下しているとかじゃなくて、世間様にはMrs.のキーボードとして存在が認知されていると思っているし、そこで評価してもらっていると考えている。
僕自身そうありたいと願っているから、基本的には三人セットで、というものが多い。元々はバンドグループなんだから当たり前の話だ。
映画やドラマに出演する元貴ならともかく、僕個人にそんな話が舞い込むとは思っていなかったのだ。
とりあえず話を聞くと、ある化粧品会社の新作リップのモデルとして、というお話だった。アンバサダーみたいな感じで、まずは雑誌の一ページを飾り、好評であればCM撮影まで視野に入れているという大きな仕事のようだった。
僕としては引き受けない理由はない。
お家で二人を応援していることの方が多いから、活動の幅が広がるのは歓迎したい。少しでも多くの人にMrs.を知ってもらうきっかけになったらいいなって思う。
もちろんキーボードの練習を疎かにするつもりはないから、本業? は言うまでもなくMrs.のキーボディストだ。
個人の仕事をMrs.の活動に還元できたら最高じゃん?
それに、事務所がこの話を持ってきたということは、ある程度美味しい仕事なんだろう。アーティストとして求められる以外のオファーも、大切にしていきたいといったところなのだろう。
企画書を改めて見直す。これといって変な物ではない、と思う。有名な会社だし、いつもは女優さんがモデルを務めていたはずだだから、男の僕でいいのかなっていう不安はあるけれど、ジェンダーレスな部分が買われたってことなんだと思いたい。
Mrs.としての価値を下げることなく、元貴の作る世界観を壊すこともなさそうだから、問題がなければ引き受けると応じると、マネさんが安堵したように息を吐いた。
そのマネさんの目が、問題は大森さんだな、と言っている。
音にならない主張に苦笑する。
僕自身がMrs.の藤澤涼架として存在したいという思いとは別に、元貴が僕を単独でメディアに出すのを渋る傾向にあった。
今でこそバラエティー番組にお呼ばれすることも増えてきたものの、最初はそらもう嫌がった。表向きは「涼ちゃんのポンコツ具合がバレる」やら「まだ出してない情報が漏れる」やら言い募っていたが、結局のところ「俺のいないところで涼ちゃんの魅力を世の中に出す必要ある!? 俺プロデュースじゃないのに!?」っていうそれこそ訳のわからない理由だった。
せめて若井を一緒につけろ、っていう要求もまた、意味がわからない。そんなに信用ないのか、ってへこんじゃうくらいだ。
ちなみに若井はなんとも言えない顔をしていた。元貴の言い分もわかるけどさぁ、涼ちゃんもいい大人なんだし、ってなんのフォローにもなってないからね?
そのときは元貴が折れて、延々と出演者と連絡先を交換する前にマネージャーを通せ、とか、褒められてもついていくな、とか、って聞かされたんだっけな。僕のこと幼稚園児か何かだと思ってるのかな?
人脈が物を言う世界でもあるのだから、各々が活動するメリットの方が大きいのだけど、事務所的には元貴にへそを曲げられると困るから、なんとか元貴の機嫌を損なわないようにしていているのが現状だ。元貴自身はどんどんとオトモダチを増やしているのに、不公平な話じゃない。
「……大森さん、たぶんNGだと思うんですけど、なんかいい案ありませんか」
マネさんの心底困った声に、なんとかしてあげたいけどこればっかりはなぁと息を吐く。
音楽活動を最優先にするという前提を崩さないとなると、スケジュールの都合も考えて元貴に確認を取るしかない。そうすると恐らく、マネさんの言うとおりNGになるだろう。
でも、僕自身興味もある。メイクを練習するようになってから、その奥深さに魅了された。
やりたい、なら、これしかない。
「……内緒で進めちゃわない?」
「それ絶対に後がこわいやつですよ!」
即座に叫んだマネさんが両手で顔を覆った。一介のマネージャーに大森さんの圧は荷が重すぎます、と疲れ切った顔で言われると、何も言えなくなってしまう。
う……それは本当にそうだ。元貴は隠し事を嫌うから多分バレたらむっちゃ怒られる。
僕が割と自己完結型で思い込んでしまう質だから、元貴は基本的にきちんと話し合おうとしてくれる。彼の有する豊富な語彙力を駆使して、僕にちゃんと伝えようとしてくれる。
だからちゃんと愛されてるって分かってるし不安になることはないんだけど……、ちょっとした好奇心が疼いてしまった。
「でも実際それしかなくないですか? 元貴、しばらく一人の仕事多いし、なんとかなる気がする!」
元貴に秘密にしたいわけではない。
秘密にしたいわけじゃないけど、元貴がどんな反応をするのかが気になってきた。
「絶対なんとかならない気がしますけどそれしかない気もしている……」
いろんなものを諦めた顔でマネさんが呟く。マネさんの手を取って、
「よし、そうと決まればサクッと打ち合わせしちゃいましょう!」
明るい声で言う僕に、マネさんは「ハハ……辞表の準備しようかな……」と乾いた笑いを浮かべた。
大丈夫、なんとかなる! ……たぶん。
いつも3,000字超えてる人間なので、短く書けないことを悟りまして、短編の連載という意味不明な形に落ち着きました。
試し行動とは違うけど(調べてもよく分からんかった)、もうこれ赤鬼ブチ切れエンドしか見えない。
皆さんにリクエストしてもらえるとか憧れる……けど連載溜めすぎですね、すみません。