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二人、同時に顔を見合わせて、呆気にとられているのを怪訝そうに見ると、すぐに立ち去っていく。
「「……」」
あとには、気まずい沈黙が流れ、お互いのラーメンを眺めているしかできなかった。
「…た…食べようか!!」
最初に口を開いたのは店長。不自然な笑顔を浮かべ、箸を割る。
「あっ…は、はい…」
気の抜けた空返事しかできない自分が、あり得なかった。
こんなの私じゃない。早くいつも通りにならなければ。
頭の中で状況を整理して、落ち着かせながら私もラーメンをすする。
しっかりとした太麺が濃いスープによく絡んで美味しい。
「あ、そ…それで、俺に用事って、何かな?」
いまだにぎこちない様子で聞いてくる。全く、いい大人が情けない。
何だか少しでも照れたことが馬鹿馬鹿しくなってきた。
私は、スープを一口飲むと、箸を置いてから財布を取り出した。
気恥ずかしさはとっくになくなっていた。
「あの…。これ、昨日のお金。お返しします。」
律儀に、きっちり小銭まで揃えて差し出す。店長は一瞬、何のことだか分からないとでも言うように口を開ける。
…が、やがて思い出したのか、手を軽く叩いてからそれを受け取る。
「ああっ。ありがとう…!!そのためにわざわざお昼に誘ってくれたんだね。」
「人目があるところではさすがに渡せないかと思いまして…。」
「そりゃそうか。」
あはは、と軽い笑いで財布にしまうと、ラーメンを勢いよくすする。
そして、私が瞬きをする間、というのは大袈裟かもしれないが、それくらいあっという間に平らげてしまった。
「ふぅー、ここ、初めて来たけどなかなかうまいね。」
うっすらと出た額汗を拭うと、満足そうに笑う。
私はそれを、自分の手を止めて呆然と見ていた。
私の視線に気づいた店長と視線が交わるが、私は表情を崩さず、冷静に聞いた。