コメント
3件
好きだわ
「ねえ、紅茶さん」
「んー?」
作業する手を止めずに要件を促す
どちらも声のトーンはいつもと変わらず落ち着いた雰囲気だ。
「うん、呼んだだけ」
そう言われて思わずはあ?と言ってしまう。
困惑している紅茶をよそにウマヅラハギは楽しそうに笑っていてもっとわからなくなる。
2人とも名前を呼び合ってキャッキャするようなたちではないし、いや勝手にこちらが思い込んでただけであっちはそれを望んでいるのか…?ならば応えてやるのが男というもの…。いやでもそれでもかなりキツイ…..
「こうちゃ」
「え?あ、あぁ。なに?」
またなにか話しかけられたが考えに耽っていて全く耳に入ってこなかった。
名前を呼ばれたか..?
何かが違かったらしくうーんと唸っている
「紅茶くん」
「ま、待ってや!さっきからなに?意図が掴めへんのやけど…。」
耐えきれず説明を乞う。
「え?ああ、うん。ふふっ..紅茶くんか…..紅茶くん….。」
しっくりきたのかなんなのか、くふくふ笑っているが話がまるで掴めない。
いつもされない紅茶くん呼びに少し戸惑ったのもあるが、子供っぽく楽しそうに笑っている声にドキドキする。
「いやぁ、ね?」
「なんとなくだよ、なんとなく。どんな呼び方がいいかなーって。」
歯切れの悪い返答にイライラする。
というかもう紅茶さん呼びで固定されてなかったか?急になんだ。
「さん付けだと距離感じるなぁと思ってさ」
距離?距離か。ああ、こいつは俺との距離を縮めたくて呼び方を試行錯誤していたのか。
そう理解してから愛おしさが込み上げてくる
「好きに呼んだらええよ」
「俺、ウマヅラに名前呼ばれんの1番好き」
そう言うと急に恥ずかしそうに言葉を詰まらせていて面白い。
「じゃあ、これからも紅茶さんって呼ぶね」
そう言われて結局変わらんのかい、とツッコミたくなった。
でもなんだかんだ自分もそう呼ばれるのがしっくりきて頭の中でウマヅラの声を反芻して噛み締める。