テラーノベル
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絡み合うしっぽ。私に腰を打ちつける湿り気を含んだ音が、狭い室内に繰り返し響いていた。耳元をくすぐる、熱を帯びた甘い吐息。
押し倒されたシーツの上で、相手の荒い呼吸が肌を撫でるたび、部屋の湿度が上がっていくような錯覚を覚える。
「リルティ……こっち見て」
両手で顔を掴まれ、口内に長い舌がねじ込まれる。互いのフェロモンが混ざり合い、下腹部が一層の熱を帯びていく。
私は消えそうなほど小さな嬌声を漏らしながら、ベッドシーツをぎゅっと掴んでいることしかできなかった。
「リルティ……もっと——」
『——ピピピピピピ。規定時間を満了しました。生徒は速やかにキューブから退出してください。この放送をもって、第67回ペア実習を終了します』
私に向けられた甘い声を遮るように、天井から無機質な放送音が響き渡る。
「はぁ……最悪。有り得ないんだけど」
ため息を吐きながら髪をかきあげたペアは、私からペニスをずるりと引き抜いた。その刺激に耐えきれず、私は情けなく潮を吹く。恥ずかしさと惨めさに襲われ、咄嗟に両腕で顔を覆った。
「リルティ、ここまでとは思ってなかったわ……ヤバいでしょ」
「っ、ごめっ……ごめんなさい……」
まだ細かな痙攣が止まらない中、嗚咽の混じった声で謝るのが精一杯だった。
「なんでこれで矯正行きにならないんかな……。せめて評価だけでもしっかりしといてよ?『私のせいで上手く行きませんでした』ってね」
「……っ」
「……何泣いてんの」
舌打ちの音とともにペアが退出していき、ようやく息が落ち着いてきた私は、のそりと身体を起こした。
一人きりになったベッドの上で、溢れそうになる涙を指先で拭う。ガクガクと震える足を両手で押さえながら、なんとか立ち上がった。
「……シャワー、浴びなきゃ。」
体表からのエネルギー吸収が苦手な私は、ペア実習の後、決まってスカスカの一人用シャワーブースに向かうのがいつものルーティーンだった。
ここなら実習後の喧騒も、他の生徒たちの濃密なフェロモンも届かない。孤独だけれど、どこか息をつける私だけの避難所だ。
体を洗い流して教室に戻ると、すでにクラスの大半は戻っていた。 教室の扉を開けるたび、私に向けられる視線がどうしても苦手だ。
誰も私に特別な興味があるわけじゃない。私のせいで会話が止まるわけでも、陰口を叩かれているわけでもないのに、被害妄想ばかりが膨らんでしまう。
実習終わり特有の気だるく騒がしい空気の中、私は自分の席にまっすぐ向かい、鞄から分厚い本を取り出した。
活字に意識を集中させ、無理やり自分の世界へ閉じこもろうとする。
——ピコン。
電子音とともに、端末へ先ほどの実習の概評が届いた。
網膜に自動で投影される冷たい評価の数値に、ずきりと頭の奥が痛む。
途端に、教室が一段と騒がしくなった。
友達同士で実習の感想を述べ合ったり、どんな技術を試せたか、自主練の予定をどうするかなど、楽しそうに話し声が飛び交っている。
優秀な子の周りには自然と人が集まり、お誘いを受ける頻度も段違いだ。いいな、羨ましいな——そう思う一方で、私にはどこにも居場所がないことを思い知らされる。
(——なんでこれで矯正行きにならないんかな……)
さっき、ペアの子に吐き捨てられた言葉が胸に刺さって抜けない。
このまま落ちこぼれ続ければ、本当に……。
——ピコン。
もう一度、クラス全員の端末に一斉に通知が届いた。
次回実習のペア発表だ。教室中が再びざわめき立つ。
しかし、画面を開いた私の頭の中は、一瞬で真っ白に染まった。
ドクン、と心臓が跳ね上がり、冷や汗が背筋を伝っていく。
万が一にも、隣の席の子や誰かに見られないよう、私は震える両手で必死に端末を隠した。
…… …… ……No.165
第8セクター3Q 68回ペア実習
学籍番号83200480 学籍番号83298200
134クラス Φ リルティ × 78クラス Χ ルシアン
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