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「咲~!」「分かってるって!今行く~」
いつからだろう。こんな日常が消えたのは。
「咲、早くしないと次の移動教室遅れちゃう。」「ごめんって~!」
いつもと変わらない日常。 マイペースな性格の私といつもテキパキしているまゆ。いつも仲が良く、一緒にいた。私はこんな日常が好きだった。大好きだった。
私の名前は山宮咲。隣にいるのはいつも一緒にいる鈴谷まゆ。まゆは優しくて面倒見がいい。まあいつも怒られてばっかりだけど。優しいといっても自分の意見をハッキリ言えるタイプの方だ。そんなまゆに少し憧れもあった。いつも隣にいてくれて私のことを支えてくれる。私とまゆは親友だった。
いつからだろう、こんな日常が一変したのは。
ある日の授業が終わった後の下校時間のこと、私とまゆはいつも一緒に帰っていた。しかし、まゆは委員会の仕事などが忙しく今日は一緒に帰れないと伝えられた。
「ごめんね~!一人で帰れる?」
私はもちろん一人で帰ることぐらい出来る。高校生だぞ。どれだけ私のことを馬鹿にしているのだろうか。
「大丈夫だよ!!一人で帰るぐらい出来るって! バカにしてるの~?」
「えへへ、ごめんごめん!じゃあ今から委員会あるから行ってくるね!」
「うん!バイバイ~」
何気ない会話だった。この後からあんなことになるなんて、思いもしなかった。
まゆは私だけでなく色々な人と話すことが出来る。きっと、今日だって他の人と帰るのだろう。私はまゆ以外の友達が存在しない。元々話すことが苦手だった私はまゆに色々なところで助けられてきたのだから。
「一人って分かってても寂しいな…」
気づかないうちに一人でそういう感情に浸っていた。すると、前から車が見えた。
「えっ…」
何が起こっているか分からなかった。自分の状況を理解した。車が信号無視をしていることに気づいていなかったらしい。幸いのことに私は息をし続けることが出来た。
次の日私は学校へ行った。いつもと変わらないはずだった。学校に着いた。
「おっはよ___」
その瞬間意味がわからなかった。いつもは声をかけてくれるはずのまゆが私のことを無視した。まるで無いもののように。「え…なんで…」そんな感情が耐えなかった。
私は色々な感情を抑え抑え抑えて、やっと1日を過ごすことが出来た。今日起きた異変。私はもう一度これについて考えてみることにした。もちろん1番気になることは「まゆが私を無視したこと」今まで虐められそうになった私のことを何度も助けてくれた。私の憧れの人。なのに、なんで。考えても考えても分からなかった。
だけど、おかしかった点はまゆのことだけでは無い。いつもまゆ以外の人と話したりはしないのだが、今日は特に変だった。みんなに私のことが見えていないのかと本気で思うぐらいだった。私は話すことが苦手でまゆがいない時はいつも一人で本を読んだり、音楽を聴いていたりしていた。だからといって挨拶を無視していったり、私がいる時に机に座られたりはしなかった。絶対におかしい。私が無視される前の日、何があったのだろうか。考えて思い当たることが一つだけあった。同じ委員会でいつも明るくみんなから人気の女子。林絢香だ。私は1度も同じクラスになったことが無いから話したことはない。まあ、同じクラスでも無かったのだろうが。委員会でまゆと林絢香が一緒にいる時、にこにこして楽しそうな雰囲気が外からでも分かるようだった。私のことをまゆまでもが無視し始めたのは林絢香が原因のひとつなのかもしれない。そう思わざるを得なかった。「…?」もしそうだと仮定しても疑問は簡単には消えない。まゆと林絢香が委員会終わりに私を無視する計画を立てたのなら絶対におかしい。朝、私は林絢香よりも先に登校していたはずだ。委員会終わりで遅く帰ったとしたら皆にこのことを伝えることは出来ないはず。
次の日、いつもどうりに学校へ行った。相変わらずむしされている。まゆにも、それ以外の人達にも。挨拶しても素通りされる、話しかけても無視される。私にはまゆしかいなかったのに、どうして、どうして。私の居場所はどこなのだろう。「私の居場所を返して…」気がついた頃にはそう声が出ていた。すぐに気がつき、口を手で抑えると一人の女の子がこちらを向いていた。
「…ッ!!!え、なんで、どうして、どうして、どうして!!!」
その人は小さな声だったけどそう言っていた。「私の事なの、?なんでそんな化け物みたいな扱いされなきゃいけないの…!」
私は走っていた。すぐに学校を出て、家に向かった。「どうせ誰も気づいてくれない。誰も誰も誰も気にかけてくれない。こんな、こんな!!!!」気づいた時には涙が零れていた。「どうしてこんな思いしなきゃいけないの…」
こんな事があった次の日も、その次の日も、その次の日も学校へ行った。もう気になることは無かった。どうせ何も変わらない。言葉を発すことがなくなった私は、とうとう声の出し方が分からなくなった。家には誰もいない。学校でも無視される。頭で考えることは可能だが、ほとんど頭を使うことがなくなったので能力低下。もう自分がなんなのかも分からない。私は学校に行かなくなった。
もう、学校に行かなくなってからどれほど経ったのだろうか。私はほとんど寝たきりになっていた。誰も来ない、心配してくれない、連絡もくれない。「あ…あぁ」自分でもよく分からないが苦しいんじゃないだろうか。話すことも出来ない、考えることも普通の人みたいにすることが出来ない。しかし、自分は何が苦痛で何が快楽なのかが分からないためまた寝て、また起きる。ただその繰り返し。私はどうしたいのだろう。