テラーノベル
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※明晰夢設定だけど、めちゃくちゃ色々捏造してる。
「あの、すみません」
ここ、レインタイムズ都ホテルに宿泊されているお客様の1人に声をかけられた。
白髪に近い水色がかった柔らかそうな髪と翡翠色の目。
優しそうで穏やかな表情をされている。
猫のパーカーを着ていて、残りのお2人より背のある方。
俺より少し低いくらい、だろうか。
「はい?あぁ、どうなされましたか?…えぇっと…お名前は、…」
ただ、名前がいまいち覚えられない。
源司様に教えていただいたのに、記憶に残らないのだ。
なんだか、ぼんやりと霧がかかったようで。
自身の名前しか分からない俺は、その猫のような人の名前が全く出てこず、申し訳ないと思いながらも名前を伺うことにした。
「…、クロノアです」
「!、あ、そうでした。これは大変失礼をいたしまして…。それで、クロノア様いかがなされましたか?」
何故か、この方を”様”呼びするのに違和感を感じる。
どちらかと言えば”さん”付けのほうが慣れているような。
「(クロノアさん…?……いや、お客様をさん付けだなんて失礼にも程がある。親しくもなってないのに。…俺はここの一介の従業員で、この方たちは源司様の大切なお客様なのだから)」
「それで、クロノア様は私に何か御用でもおありですか?」
「いや、このホテルすごい大きいものだから…恥ずかしながら迷っちゃって…」
頬を掻きながら眉を下げるクロノア様に、既視感を感じるがそれも刹那に霧散する。
デジャブというものは、脳の情報処理をしてる中で起こる一時的なズレによって引き起こされる。
体験したことがないはずなのに、過去に経験したことがあると何かしらの理由で脳がそういう風に処理してしまうのだ。
原因として、幾つかあるが俺の場合は疲労やストレスだろう。
寝ても寝ても疲れが取れず、眠るごとに記憶の欠落が生じる。
もしかしたら、その欠落を埋めるために脳が勝手にそう解釈をしているのかもしれない。
だから初めて会ったはずのクロノア様たちに親近感というか、昔からずっと一緒にいた友達、という感覚を感じてしまってるのかもしれない、と自己解釈した。
ただ、クロノア様には少し違う感覚を感じていた。
「(でも、この人たちの友人になれる人たちはとても幸せなんだろうな)」
楽しそうに笑い合う3人の姿を見てそう思う。
「その、ちょっと行きたい場所というか、知りたい場所がありまして…」
そうクロノア様が言われて、お客様に対するような笑顔を向けた。
3人でいる姿に寂しさを感じるのも甚だしいというのに。
「あ…あぁなるほど。そうですよね。初めて来られるお客様は大抵、迷われてるようですし…クロノア様だけではないのでそんなに気になさらなくてもいいですよ。……えっと、それで何処に行かれたいのでしょうか?私でよければご案内致しますよ」
「俺はあなたがいい」
「お、……わ、たくしですか?」
つい本来の一人称を使いそうになって慌てて言い直す。
源司様に言いつけられているから。
彼らとは深く関わらないようにと、あくまで客と従業員として立ち振る舞えと言われている。
「えぇ、あなたじゃなきゃダメなんです」
「?…お望みとあれば…。ですが、私もまだ不慣れなのでああ言った手前ではありますが、やはり手慣れたスタッフを「トラゾーさんがいいです」…え、ぁ…、は、はぁ、分かり、ました……それで、その、どちらへ?」
あまりにも真剣な顔をしてクロノア様が言うものだから戸惑いながらも了承してしまった。
社交辞令のつもりもあったし、困っているから従業員として助けようと思ったのも本音だけど。
ここまで俺がいいと言われると悪い気はしなかった。
「ありがとうございます…!」
「そんな…お客様をもてなすのが我々の仕事です。それにそう言われて悪い気はしないので…」
恥ずかしくなり、被る袋の紐を引っ張る。
俺の顔はクロノア様には見えないはず。
深く被った袋の隙間からクロノア様を見る。
じっと見る無のような翡翠は、俺の袋の中の顔や頭の中、心の中を見透かしてるようにも見えて、きゅっと袋を更に引っ張った。
「よかった、断られたらどうしようかと思ったんですけど……やっぱり優しいね、断らないと思ったよ」
「⁇え、っと…私、クロノア様とどこかでお会いしたことがありましたでしょうか…?そうだとしたら、非礼を詫びなければ…」
「ホントに?」
「は、はい。源司様に失礼のないようにとも仰せつかってますし」
「そう。……ねぇ、俺とトラゾーさんって同い年くらいですよね」
「おそ、らく?あの、それが何か…」
クロノア様と俺とあの2人は多分同年代くらいだと思う。
なんとなくだけどそう思ってる。
「ホントのことを言えばトラゾーさんのことを探していて迷ったんです。あなたの部屋に行こうと思って迷っちゃって」
「行きたい、知りたい場所とは私の部屋のことだったんですか?」
「うん」
「えっと、その…従業員の私室へお客様を通すわけには…」
いくら源司様にとってとても大切なお客様だとしても、流石に俺のプライベートな空間に入れるわけには。
それに深く関わるなと、全てが歪むと言われている。
歪むという意味は分からなかったけど、源司様のあの顔に聞き返すことができず頷くしかできなかった。
「仲良くなりたいんです。…ダメ、かな?」
小首を傾げる姿に断ってはいけない、 断れないような空気が出ている。
と、いうよりも俺がこういう頼み方をされるのに弱いことを分かっているような。
「こ、ここのオーナーに聞いてみなければ…」
咄嗟に源司様の名前を出す。
「それならもう許可をもらってるよ。源司さんからは仲良くしてやってほしいって言伝も預かってます」
「え、そう、なのですか…?」
「うん。だから、トラゾーさんの部屋に行かせてほしいな」
「まぁ…こんな素性の知れない私のことを拾って良くして下さった源司様が信頼されてるあなたにそう言ってるのであれば…」
関わるなと言われたけど、本音を言えば自分と同い年くらいのこの人と話をしたいと思っていたから。
「やった」
そ、とクロノア様が手を差し出してきた。
「ぇっと?」
「手ぇ出して、トラゾーさん」
「は、ぁ…」
お腹の辺りで組んでいた手を離し右手をおずおずとクロノア様の右手に重ねる。
ぎゅっと握られる手にびくりと肩が跳ねた。
「大丈夫だよ。俺には****様がついてるから」
「え、え、?」
雑音というかノイズが混じったように、****の部分だけ聞き取れなかった。
「絶対にトラゾーを取り返してみせるから」
「、ッ…?」
クロノア様は自分に言い聞かせるようにそう俺に言ってきた。
呼び捨てとか、そういうのは置いておくにしても。
先程の優しい穏やかそうな翡翠が細められ、何か奥底に考えているような、そんな目線に心臓が早鐘を打つ。
それが何かを知ってる気もして、でもその何かが何なのかを考えようとすればするほど、それは遠退いていく。
「それじゃあ、案内よろしくお願いしますね?トラゾーさん」
それが何かを掴む前に、クロノア様は打って変わって優しく柔らかく笑う俺を見ていたために、考えていたことは分からなくなってしまった。
「ぁ、はい…えっと、まずは………」
───────────────────
やっと見つけた。
それなのに、トラゾーは俺のことも、ぺいんとのことも、しにがみくんのことも忘れてしまったかのように振る舞ってきた。
いや、記憶喪失のようなものなのかもしれない。
話を聞けば、怪我をして意識を失っていたトラゾーを源司さんが助けたらしいけど。
俄かに信じがたい。
俺たちの前から忽然と姿を消したトラゾーを探し求め、源司さんにこのレインタイムズ都ホテルに招待された。
そこで電話の内線でトラゾーの声を聴いた時に、違和感はあった。
赤の他人のように接してくる声色に。
蓋を開ければそういうことらしいのだけれど、記憶が無い、というよりも記憶を失くされた、が近い気がする。
どうにか接触しようにも、トラゾー自体がなかなか表に出てこなくて。
何者かにまるで俺たちとの接触を避けさせられてるかのようで。
「(……邪魔するのが神様なのか、人間なのか、そうではない存在なのか知らんけど、)」
俺のトラゾーは誰にも渡さない。
自分の手元にある像。
ハクジツ様を見つめる。
その次にお茶の用意をするトラゾーの後ろ姿を見つめた。
「トラゾーさんはその袋、外さないんですか?」
「え?あ、これですか?…普段、自室では外しているのですが…」
「俺の前でも外せない?」
「源司様に、あなた方の前では外すなときつく言われておりますので…」
ぴきりと、こめかみに小さく青筋が立つ。
俺とトラゾーの邪魔をしてるのが源司さんであるのはほぼ確定だ。
何を企んでるのかは分からないけど、俺は、俺たちは、トラゾーを取り戻すためにここに来た。
そのチャンスを逃すわけにはいかない。
今度こそ、煙のように消えてしまって二度と姿を見ることができなくなるなんて御免だ。
「怒られるってこと?」
「そんな感じですかね……えっと、クロノア様はブラックコーヒーでよろしかったですかね?」
最初のルームサービスの時に言ったことを覚えてくれていたのかマグカップを片手にそう聞いてきた。
「うん、覚えててくれたんですね」
「え?クロノア様はブラックコーヒーがお好きでいつも飲まれてませんでしたか?」
「……え?」
「人の車に溢したこと、忘れてませんよ」
「っ!!」
驚いてる俺を見てトラゾーが自分の発言に首を傾げた。
「?、んん⁇あれ、?俺は何を………いえ、すみません私の勘違いかもしれません…。それに車…⁇」
覚えてる。
トラゾーは俺のことをちゃんと覚えてる。
記憶の欠落があるにしても、きちんと、俺を。
「いや、合ってますよブラックコーヒー好きなの。車のことは……まぁ、」
ある意味いい思い出ではあるけど。
あれはホントに申し訳ないことをしたとめちゃくちゃ謝ったのも覚えてる。
「本当にすみませんッ…なんだか記憶が混濁してるようで…すぐにコーヒー淹れますのでお待ちください」
ぱっと背を向けたトラゾーを見て、上がっていく口角を抑えるためにも口元を覆い隠す。
「(そっか、そうだよね。だってトラゾーは俺のこと大好きなんだもん。俺もトラゾーのこと大好きだし、愛してる。ずっとずっとずっと俺のことだけを考えるように身体にも頭にも心にも教え込んで、俺だけを求めるように躾けたんだから)」
そう簡単に忘れられたらたまったもんじゃない。
「トラゾーさんはオレンジジュースが好きだよね」
「へ?何故それを…?」
「ん?ふふ、どうしてか教えてあげようか?」
座らせてもらっていたソファーから立ち上がってキッチンに立つトラゾーのところに歩み寄る。
「クロノア様?」
袋の隙間からちらちらと覗く緑の目。
他人行儀の色が濃くなったそれが気に入らない。
「俺はトラゾーさんのこと、なんでも知ってるよ」
「なんでも…?」
知的好奇心旺盛のトラゾーはマグカップを台に置いて俺を見てきた。
食いつくと思ったから。
「なんでだと思う?」
「ぇ、…源司様に、お聞きになった、とか…?」
的外れな答えにくっ、と喉を鳴らして笑った。
「それはね、」
トラゾーの右手を握り、自分の方に引き寄せる。
「俺とトラゾーが恋人同士だからだよ」
「く、くろ、のぁ、さまっ!やめッ…やめて、くださ、い…っ」
「、あは…トラゾーにそうやって呼ばれるとなんか興奮するや」
「ひッ…♡⁈」
部屋に招き入れたクロノア様の、何か違う雰囲気に困惑しながらもコーヒーの準備をしていた。
ルームサービスの時に聞いていたのもあるけど、さも自然にブラックコーヒーを準備する自分にも内心驚きと、どうしてという焦燥を感じていた。
そこで俺の変な発言に目を見開いたクロノア様を見て、また俺は記憶の混濁と欠落でおかしなことを口走ってしまったと反省していたのだ。
そしたら、立ち上がって俺のほうに歩み寄ってきた綺麗すぎるほどの笑顔のクロノア様に右手を掴まれる。
そして、そこで告げられたこと。
俺と、クロノア様が恋人同士であるということ。
そんなわけないと抵抗をしようにも、びくともしないクロノア様に焦っていたら座ってもらっていたソファーまで引っ張られ突き飛ばされた。
体勢を立て直す前に服も、顔の袋も剥ぎ取られ。
やっぱり顔が見えてたほうがいいやと嬉しそうに笑いながら。
「ひ、ィ…♡♡⁈」
「俺のこと、身体はちゃんと覚えてくれてるみたいで安心した。忘れてたらどうしてやろうかと思ったよ」
ぐちゅぅう!!とお腹の奥を貫かれて、頭の周りに星が飛ぶ。
「んゃぁあぁっ♡♡♡!!」
ナカにクロノア様モノがいるのを嫌でも感じ取ってしまう。
脈打つソレで何故かナカが呼応するように疼いていた。
「トラゾーは結腸ぶち抜かれながらお腹をトントンされるのすきなんだ」
獣が交尾をするような体勢のまま下腹部を優しくトントンと叩かれる。
「ひぅっ♡⁈⁈」
「ほら、締まった♡♡」
「ゃっ♡!いやッ…♡く、ぉのあ、さ、ま♡♡ゃめて、っ♡やぇへ、くら、さぃぃ…ッッ♡♡!!」
ぐぷんっ♡!とギリギリまで引き抜かれ、クロノア様の言う結腸?を貫かれた。
「ッ゛〰︎〰︎゛♡♡゛♡ッ、〜!゛!~〜〜ッ♡♡゛!!」
「あはっ♡足先すげー伸びてる。気持ちいいね、トラゾー♡♡」
緩急をつけられナカをめちゃくちゃに犯される。
知らないことなのに、身体がもっともっとと求めている。
「やっ♡ゃ゛らぁあ゛っ♡♡!」
ぷしゃぁあ♡♡!と何かを吹き出して、びくびくと身体が痙攣する。
知らないのに知ってるこの抜けない強い快楽に身体が跳ねた。
「トラゾーはまだ奥いけるはずだよ?…んー、忘れてんのかな」
ぐぽっ♡♡!と違う音が胎内で聞こえた気がした。
「〰︎〰︎♡!!─♡゛〰︎〰︎!?──〰︎゛─ッッ♡♡゛♡!!!?」
出し切った精液でぐちゃぐちゃのソファーの上にまた何かを吹く。
「潮吹き上手♡奥にハメられてソレすんの覚えてるみたいだね♡」
ソファーをガリガリと引っ掻くようにして前に逃げようとした。
暴力的な快楽から逃れるために。
そしたらクロノア様がぴたりと一切の動きを止めた。
「………………逃げんじゃねぇよ」
地を這う絶対零度のような低い声に身体が凍ったように強張る。
「俺、何回も言ったはずだろ。逃げんなって、逃げたらどうなるかって」
「っ、ヒッ…♡⁈」
「またそうやって俺の前から逃げようとするんだ。……ふぅん?」
腰を掴んでいたクロノア様が俺の腕を掴んで後ろに引っ張ってくる。
「ぉ゛っっ♡♡♡!!?」
深い場所に入られた感覚にまさしく獣のような声が漏れる。
「絶対に逃さない。手放したりなんかするものか……トラゾーはずっと、俺のモノだ。何者にも渡さない」
さっきまでの動きなんて生ぬるいと言わんばかりに激しさを増す律動に目を見開き、開いた口から漏れるのは自分の声じゃないような嬌声。
「ひ、ッ♡♡ぁっ♡♡!ゃ♡ん゛ぁっ♡♡⁈ぁひっ♡!」
「トラゾーが俺のことちゃんと思い出して、ちゃんと呼ぶまで、こうやってずっと犯し続けてあげるよ。俺の可愛いトラゾーさん♡」
永遠に彷徨うような快楽の沼へと堕ちていく。
堕ちていくせいで、どんどんと大切な何かが遠ざかっていく。
俺は終わることのない行為に自分が何者か分からないまま、クロノア様に犯され続けた。
薄れていく意識の中、見えた翡翠には俺だけが映り込んでいたようだった。
コメント
2件
ここのkrtrがホントに恋人同士だったのか、krさんがそう言ってるだけなのか……真相はkrさんのみ知っているけど…。 まぁ、彼が恋人同士だって言えば、そうじゃなくてもそうなんです(結論)。
いやもう…第61話、読み終わって息するの忘れてた😭💕 クロノアの「トラゾーを取り戻す」って執着と愛情が混ざったあの目線、やばすぎるでしょ…!! 記憶なくても身体が覚えてる感じとか、切なくて甘くてトキメキが止まらんかったよ…!!🥺💞 「逃げんじゃねぇよ」の豹変シーン、震えた…。 ポン酢2さん、今回も最高にエモかったです…!!続きが待ちきれないよ〜〜っ🌸🔥