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【山本視点】
気がつけば、北村さんを
縄で括り付けていた。
それ以外は、覚えてない。
でも、すっきりしてたから、
きっと、殴ったんだと思う。
鼻血を出したまま、
立ち上がれなくなってたから。
(あー鼻血止まんない…)
「山本、大丈夫?」
そこには藤本さんがいた。
今度はティッシュを受け取った。
藤本さんは、
血だらけの手と顔を見てから
ため息をついて言った。
「北村の指示で君の宝物を
壊したって聞いてたんやけどさ。」
俺は鼻血を止めるふりをして
話を聞いていた。
「あれ違うわ。」
驚いてまた鼻血が出てきた。
「きたむら違いやな。
あいつらが思っとったんは、
喜びに、多いに、村の、
喜多村やったみたい。」
藤本さんは俺から目を逸らして
もう一個ティッシュを渡した。
「はよ止めて。」
どこか冷たいその声は
俺の頭に入らなかった。
一度深呼吸をしてから、
藤本さんはまた口を開いた。
「喜多村と関わってるのが嫌で、
壊したんやって。
誰も指示してないって。」
「良かった。」
そう言った瞬間藤本さんは
俺の顔を見た。
「なんで?」
驚いていた。
「殴る理由があったんだ…
殴れたならそれで、
じゅーぶんなんですよ。」
藤本さんはため息をついた。
「とんだ変態やなぁw」
そう、これは全部俺が悪い。
でも、それでいい。
俺は北村さんを殴りたいんだ。