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「…で、なんでまた一緒にご飯を食べているのかな」
今日も騒がしい学食の一角。
A定食の焼き魚を口に運びながら、雪乃は目の前の人物チーノに聞いた。
「さぁ、なんでやろなぁ」
「いや、あんたが呼んだんでしょ」
「あーせやったか」
しかも、と雪乃はチーノの隣の人物に視線を移す。
「今日はショッピくんまでいるし」
「ども」
静かに昼食を食べるショッピ。
まぁチーノとショッピは仲がいいし一緒でも不思議ではないのだが。
「最後じゃなかったの?」
「『中学最後に』って言うただけで別に一度きりとは言ってないやろ」
「…まぁ確かに」
チーノの隣には今日もチミィことチラーミィが美味しそうにフードを頬張っていた。
「それにほら、友達なんやから飯くらいいいやろ別に」
「…まぁ、そうっすね」
「何照れてんねんゆっきー」
「照れてねーわ!!!」
わかりやすくキレると斜め前のショッピが「図星で草」と呟いた。
くそ、むかつく。
わなわなと震えながらご飯をかきこむ。
「あとほら、この前の事件の打ち上げも兼ねて。ショッピも情報提供してくれたし、ゆっきーも体張って頑張ったしな」
「そうだね。委員長もルカくんも頑張ったし。ところでチーノって何かしてたっけ」
「おい泣くぞ」
仕返しとばかりに言い返せば「誰よりも働いとったわ」と嘯くチーノ。
そんな話をしている時、
「み、見つけた…!」
誰かに声をかけられた。
「あ、あの!この間は助けてくれてありがとうございました!」
声を張り上げ雪乃に向かって深々とお辞儀をするのは、ミカルゲのお札を剥がした張本人、虐められていたあの男子生徒だった。
雪乃は驚き食事の手を止める。
周りで食事をしていた他の生徒達も何だ何だとこちらに注目する。
「なんや、改めてお礼言いに来たんか」
「てか、めちゃくちゃ注目されとるから静かにしてほしいんやけど」
感心してまじまじと男子生徒を見るチーノと、注目されているのが落ち着かないショッピ。
「えっと、全然気にしないで。あなたも大変だったろうし…」
「…あの時僕、もう人生終わったと思ったんです。終わってもいいと思ってた。けど、あなたが救ってくれて、あなたのかっこいい姿を見て、もう一度頑張りたいと思ったんです!」
…これもしかしてファン誕生した瞬間じゃないのか。
チーノとショッピは心の中で思った。口には出さなかったが。