雨雲の下、雨に打たれながら、誰か何か話して
いる。
「〜〜〜」
頬を赤らめて俯いているその子は、何かを喋っ
ているようだったが、上手く聞き取れなかっ
た。白と黒の髪色で、特徴的な容姿をしてい
た。
その子に僕は何かを話しているように口を開く
も、自分の声が聞こえない。僕は今、何を話し
たのだろう。何かがおかしい。その子の顔が見
えない。この子は誰だ?
段々と意識が遠のいていく…
朝、目が覚めるといつも大事なことを忘れてい
る気がする。いつもと同じ夢を見て いつもと
同じコンビニで昼食を買って いつもと同じよ
うに出勤する。何の変哲もない、22歳(?)の退
屈な日常。
高校最後の夏、僕はどうやら事故にあったらし
い。
それから高校には一度も行っていない。何も覚
えていないのに何しに行くんだと思ったから
だ。その高校は、風鈴高校といって、街を守る
ために立ち上がった人達が集まっているとい
う。まともに授業をしないのなら尚更行く意味
などないため、ひとり街を出てバイトをしてい
た。成人してからは、バイトを続けながら就職
もしている。
入院中に友達だという子達に話は聞いた。でも
なぜかみんなは何かを隠すような素振りを見せ
ていた。どうせ思い出せないならと思って聞き
出そうとはしなかった。
でも、いつも夢に出てくる彼が、そのみんなの
隠していることに関係しているのなら、少し気
になってしまう。彼のことは、なぜか決して、
忘れてはいけないことだと、思ってしまった。
今日は風鈴高校の卒業生で飲み会があるらし
い。僕も、誘われたけど、途中で高校に行くの
をやめてしまったし、いいのかなとは思ったけ
ど、人間関係は大事だし、今僕のことを知って
いるのは彼らだけだから、少しでも自分のこと
を知れるかもと思い、誘いに乗ってしまった。
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