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「すおちゃんおひさ〜」
ピンク色の髪をした少し小柄な子が駆け寄って
きた
「桐生くん。久しぶりだね。」
軽く挨拶を交わして店に入る
「おっ!桐生と蘇枋きたぞ!!」
「久しぶりだなぁ〜!」
「蘇枋さん!桐生さん!久しぶりですね!」
「おひさ〜!」
もうみんな来ていたみたいだ
「うん。久しぶりだね。」
「おう!相変わらずクールだなぁーお前。」
「そんなことないよ。」
2、3時間経っただろうか
もうほとんどの人が酔いつぶれている。
職場の上司がウザイなどと愚痴を吐く人や、失
恋の痛みを泣きじゃくりながら必死に話そうと
している人もいる。
そろそろ帰ろうかなと思い、席を立とうとした
「桜…ここにいたらでろでろに酔ったりすんの
かな…」
高梨くんだ。いつも騒がしいけどお酒を飲み始
めてからずっと静かだなと思っていたら泣きそ
うな顔をしてそう呟いた。
桜…誰だろうか。そう思っていたら急に周りが
静かになっていることに気がついた。
「どうしたの?」
みんな苦しそうな悲しそうな顔をして俯いてい
る。
「すおちゃん、ごめん。ずっと、黙ってたんだ
けどね、」
桐生くんがいつになく真剣な眼差しで沈黙を
破った
「?…うん。」
僕も真剣に聞くことにした。
「すおちゃんが事故にあった時、実はもう1人
もその事故に巻き込まれてたんだよ。」
驚いた。隠していたことがそんな深刻なことだ
とは思わなかったから。
「その子、『桜遥』って言うんだけどね。」
桜、遥。
「風鈴の子で、一応総代だったんだよ。」
風鈴の総代、だったんだ。
「今、その人は?」
唐突に気になった。今までなら思い出せないの
なら聞いても意味ないと、うまく聞き流してい
たのに。
「……」
返事がない。つまりそういうことなのだろう。
「ごめんね…。言い難いよね。だいたいわかっ
たからもう大丈夫だよ。」
この空気に耐えられなくなり、途中で帰ること
にした。