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ささくれ
数日間、三人は根気よく同じ話を続けていた。
藤澤も、綾華も、押しつけじゃなく、ただ「続けたい」という気持ちだけで向き合っていた。
そしてある日。
元貴は、ついにため息混じりに口を開く。
「……で、何日やんのそれ」
三人が少し息を呑む。
藤澤が慎重に答える。
「できればずっと、だけど……まずは一ヶ月くらい」
髙野も続ける。
「それでダメなら、その時考えよう」
綾華はまっすぐに元貴を見る。
「無理に続けてとは言わない。でも、一回だけでもいいから」
一瞬の沈黙。
元貴は視線を外したまま、指でギターケースを軽く叩く。
「……しゃーなしで一日ね、」
三人が顔を上げる。
元貴は淡々と続ける。
「一日やって、俺が吐きそうだったら帰る」
空気が少しだけ止まる。
でも、その言い方はさっきまでの拒絶とは違っていた。
完全な否定ではない。
“試す”と言っている。
藤澤が小さく息を吐いて、少しだけ笑う。
「……それでもいいよ」
綾華と髙野も頷く。
「まずはそこからだな」
元貴はそれ以上何も言わない。
ただ、少し面倒そうに肩をすくめる。
「勘違いしないで欲しいのはあいつのためじゃないから、しつこいから一日だけ。」
その言葉に三人は否定しない。
「分かってる」とだけ返す。
そのやり取りの横で、少し離れた場所にいる若井は、まだ何も知らないまま、ギターを静かに手入れしていた。
いつも通りの顔で。
いつも通りの距離で。
それが、この“試す一日”の始まりだった。
コメント
1件
んーまっ(*´³`*) ㄘゅ💕