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「ありがとうございました!」
パチパチ、と私は拍手をする。
こんなにすごかったなんて。
ちょっと見直したよ。
正直最初はロクなやつじゃないと思ったけど。
「めちゃくちゃかっこよかったよ〜、ナランチャ!」
「へっ…!?ま、まあ!俺たちの曲がかっこいいのは当たり前だよな!」
「…照れてる?」
「はァ!?別に照れてねェし!!」
「ふふ。ちなみに〜、かっこよかったのは曲もだけど、私は全力で演奏するナランチャがかっこいいと思ったよ?」
「…っ!?そ、それは反則だろ…」
ナランチャがとても小声で言った。
「え〜?なんて〜?ぷぷ。」
「な、なんも言ってねェし!」
「あ、かっこいいって言うのは初手でからかってくるようなロクでもないナランチャのことを見直したってことだから!」
「は、はぁ…!?今の時間返せよ…!!無駄にからかわれただけじゃん…!」
「ふふふー。お返し〜。」
「ぐぬぬ…」
よっしゃ…!
少しはさっきの恥、返せた、かな!
「お前ら、イチャつくのもいいが程々にしとけよ。」
「い、イチャついてないですっ!!!」
二人で言った。
「まあ、そんなことはどうでもいいんだがな。」
大体、ナランチャとは今日初めて会ったのよ!
「と、とにかく私たち絶対恋人とかないですから!!」
「そーだそーだ!!ナイナイ!」
「わかったわかった、俺は顧問のブローノ・ブチャラティ。よろしくな。」
「…よ、よろしくお願いします、ブチャラティ先生!」
「あ、そうだ。折角だから他の人たちにも自己紹介してもらおうよ!」
「うん!」
「そうときたら…まずこの人が部長、そしてベースのレオーネ・アバッキオさん!」
「…ナランチャの友達のヨハネです、よろしくお願いします…。」
「…ああ。」
かなり無口な人だ。
「はい、次!この人がドラム、2年のパンナコッタ・フーゴだ!」
「お話伺いましたよ。よろしくお願いします、ヨハネさん。」
「よろしく、フーゴさん!私のことはヨハネでいいよ!」
「では、ヨハネ。よろしくお願いします!」
「じゃあ最後!この子が1年のトリッシュ・ウナちゃん!」
「よろしく、トリッシュちゃん!」
「ええ。よろしく、ヨハネ先輩。」
「へへー。先輩って呼ばれると、なんか慣れなくて照れるな〜」
「まあ、中身が先輩っぽくないから慣れないのも当然だよな〜!ぷぷ」
またからかってきた。
さっき少しでもかっこいいと思ったのはなんだったんだよ…
「う、うるさい!ナランチャも大概でしょ!」
ついカッとなってしまった。
「…まあまあ、二人とも落ち着け。」
部長のアバッキオ先輩が言った。
「…すみません、部長!」
「ご、ごめんなさい…」
「確かヨハネ、お前はボーカルをやりたいんだってな。」
「はい!」
どうやらナランチャは部長にまで伝えてくれたようだ。
しかもこんなことまで。
気合いが本当に入っているのだろう。
「今はここにボーカルはいないからな。とりあえず何か好きな曲歌ってみろ」
「わ、わかりました!」
「何の曲がいい?流すぞ。」
「えっと、じゃあ…Stellersの『toxic』で!」
「ああ、わかった。」
部長がそういうと、音楽が流れはじめた。
この曲が、私が音楽をやりたいと思ったきっかけだ。
あの時の感動を、興奮を。
私の手で、伝えて見せる。
あの感動は、こんなちっぽけな気持ちで終わらせない…!!
そんなことを考えながら私はマイクを握りしめ、強く息を吸った。