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夜中にティヤが街中を歩いて考え事をしていた。
時間は少し遡(さかのぼ)る。
⚪︎冒険者協会 アルクラ支部⚪︎
ボルダン(支部長)「ティヤよ。まずは時間を取らせてしまった事にお詫びを言う。」
ティヤ「改まって。私に用があるなら別に良いわよ。それで、本題に移りましょうか。」
ボルダン(支部長)「ああ。実は調査して欲しい依頼がある。」
ティヤ「調査?」
ボルダン(支部長)「ああ。実は最近ここから東に少し行った場所に新迷宮(ダンジョン)が見つかったんだ。」
ティヤ「新迷宮!?それは私たちが調査するほど危険なダンジョンなの?」
ボルダン(支部長)「ああ。実はこれまで、何回か調査に向かわせた冒険者の内…A級冒険者2名・B級冒険者6名・C級冒険者10名が死亡。そして、C級冒険者1名が重症のS級冒険者を背負って戻ってきた。」
ティヤ「確かに普通の迷宮にしては多すぎる。それって…まさか超迷宮(スーパー・ダンジョン)なの!?」
ボルダン(支部長)「あり得ない話だろ。」
ティヤ「確かに、通常の迷宮(ダンジョン)いくらC〜S級冒険者を向かわせたとはいえ死者の数が多い。」
この世界のダンジョンは未知数である。ゆえに調査を行い、その迷宮がどの程度危険かを判断する必要がある。迷宮難易度は最深部までの危険度や冒険者の死傷数・迷宮の中の魔物の強さで決まる。
ティヤ「なるほど。話は分かったわ。私達がその迷宮の調査をしてくれば良いのね。」
ボルダン(支部長)「ああ。頼む。ただ、無茶はするなよ。万が一…君達まで全滅したら超迷宮の話ではなくなってしまうからな。最悪…獄迷宮(ヘル・ダンジョン)かそれ以上の難易度に跳ね上がり、大陸中のギルド問題にもなるぞ。」
ティヤ「心得ているわ。では、明日の明朝出発する。後、馬車を支給してもらえるかしら?」
ボルダン(支部長)「分かった。それと、その迷宮の位置を示した地図を渡しておく。では、頼んだぞ。」
そして現在に至る…。
ティヤ「はぁ。皆んなの意見を聞かず、突拍子(とっぴょうし)で引き受けちゃった。」
ティヤは宿へ戻るとボルダン支部長に言われた事をメンバーに話した。
ティヤ「という訳だけど、みんなの意見を聞かずに勝手に決めた事…謝るわ。」
ヴァン「良いんじゃねーの。歯応えねぇ事ばかりで腕が鈍っちまうところだったんだ。」
リエナ「はぁ。リーダーと副リーダーがそう言うならば、私達が行かない訳ないですね。」
ディルガン「全くその通り。」
ファトン「俺も依存はない。」
ティヤ「みんな…ありがとう。じゃあ、明朝出発するから準備して今日は早く寝ましょう。」
そして、夜は明けていき朝日が昇る。事前に冒険者協会に頼んでいた馬車を一台借りディルガンが御者(ぎょしゃ)をしてティヤ達はそれに乗って渡された地図を頼りに東側へ向かって行った。
※御者→馬車などの乗り物を専用の座席から操作し、制御する人の事。
ティヤ「ディルガン。止めて!」
ティヤはディルガンに馬車を止めるよう言い、ボルダンから渡された地図に記(しる)された場所の確認をする。
ヴァン「なんだ?着いたのか?」
ティヤ「おそらく。地図に記(しる)された場所はこのこの近辺よ。ここからは歩いて迷宮まで行きましょう。」
ティヤ達は馬車を降りて近くに隠す。そして、地図に記された方角へと向かっていく。しかし、いくら歩いても迷宮らしきものは見当たらない。
ファトン「なぁ。迷宮らしきものはねーぞ。地図は合っているのか?」
ティヤ「これは…リエナ。」
リエナ「ティヤも気付きましたか?これはおそらく幻覚ですね。周囲の景色を同じくして、私達の行く先を阻んでいます。」
ティヤ「解除できそう?」
リエナ「ええ。この程度の幻覚魔法なら問題ないわ。」
リエナは杖に魔力を込めて杖で地面を叩く。すると、今まで見えていた景色が洞窟の入り口に変化した。
ファトン「マジかよ。もう迷宮らしき入り口に辿り着いていたのか」
ヴァン「けっ。せこい真似してくれるじゃねーか。それじゃ、さっさと行って終わらせようぜ。」
ティヤ達は洞窟内へと入っていく。すると、ムニュムニュと動く水色のスライムが数体ティヤ達に向かってきた。
ヴァン「ファトン。お前に任せた。」
ファトン「はぁ?俺かよ!…チッ。雷の精霊よ。我が願いに応えよ。サンダー!!」
ファトンが唱えた詠唱で雷の魔法が発動してスライムを一瞬で葬った。
ファトン「おい、ヴァン。どういうつもりだよ!」
ヴァン「俺がそんな雑魚相手に労力を使いたくねーからな。」
ファトン「だからってな。」
ディルガン「まぁまぁ。良(よ)いではないか。一応副リーダー命令だぞ。」
ファトン「良くねーよ!クソ。…次からは自分でやれよ。」
ティヤ達はそのまま進んで行くと、奥からゴブリンが次から次へと出てきて襲ってきた。すると、ティヤは剣に手をかけると一瞬でゴブリン達を真っ二つにしていった。
ディルガン「見事!」
ティヤ「油断はしないように行きましょう。」
ティヤ達はそのまま進んで行くが、ボルダン支部長が言っていたほど強力な魔物が出る事はなかった。順調に進んで行くと広いエリアに出る。広いエリアの周りには倒壊した遺跡が存在していた。
リエナ「ここは…。」
ディルガン「ふむ。急に雰囲気が変わったな。」
すると、奥から四足歩行で大きな角を持った牛の化け物と二足歩行で大きな棍棒(こんぼう)を持った牛の化け物が現れる。
リエナ「ミノタウロス!」
ヴァン「へぇ。少しは楽しめそうだな。おい、手ェ出すなよ。俺がやる。」
リエナ「ヴァン。侮っては駄目ですよ。能力強化魔法をかけます。」
ヴァン「必要ねぇ。能力強化で買っても嬉しくねぇ。ここままやらせてもらうぜ。簡単に倒れんじゃねーぞ!」
ヴァンはそのままミノタウロス達の前まで歩いて行くと二足歩行のミノタウロスが棍棒を振るう。ヴァンはそれを避けて蹴りを入れる。しかし、ミノタウロスは手でそれを防ぐ。すると、もう一頭の四足歩行ミノタウロスが突進してきた。ヴァンは後ろに回転して避ける。
ヴァン「良いぜ。盛り上がるなぁ!」
すると、二足歩行のミノタウロスは助走をつけて走るってくると途中で高く飛び棍棒を振りかざしたが、ヴァンは避け棍棒は地面に叩きつけられた。すると、ヴァンはミノタウロスに殴りかかるとミノタウロスは腕で防ごうとするとヴァンは一瞬でミノタウロスの後ろに移動して、かかと落としをミノタウロスの後ろ首に一撃を浴びせた。
ミノタウロスはそのまま片膝をつくと、ヴァンはミノタウロスの顎に一発パンチを与える。すると、ミノタウロスはそのまま倒れた。
もう一頭の四足歩行のミノタウロスがヴァンに向かって突進してきた。ヴァンは首をコキコキ鳴らし、姿勢を低くして角を避けて手で角を下から上に跳ね除ける。そしたら、腹部が露わになりヴァンはそこへ思いっきりパンチすると四足歩行のミノタウロスは吹っ飛んで遺跡に激突した。
ディルガン「さすが、副リーダー。」
ヴァン「少しは良い運動になったな。」
リエナ「ヴァン。回復は?」
ヴァン「大丈夫だ。まだまだやれるぜ。」
ティヤ「しかし、ミノタウロス…。なぜこれほどの魔物が…。」
リエナ「確かに迷宮では中々遭遇する魔物ではないですね。」
ティヤ「ボルダン支部長の言う通り、ここの迷宮は何か異変が起きているのかしら?」
???「教えて差し上げましょうか?」
ティヤ「誰!?」
すると、奥から冷気が漂って真っ白な髪に白装束で腰に真っ白な刀を差した女が歩いて来た。
???「彼等(ミノタウロス)は私が解き放った魔獣ですわ。」
リエナ「あなたがミノタウロスを…一体何者です?」
???「その問いにはお答えしかねます。どうしても知りたいと言うならば、実力をお見せください。」
ヴァン「あのミノタウロスはお前が放ったって言ったな?」
???「おっしゃる通りです。それが?」
ヴァンは一瞬で白装束の女の方に移動して足を引っ掛けて拘束しようとしたが、白装束の女はヴァンが移動したのと同時に後ろへ後退していた。
ヴァン「へぇ。言うだけあってあの牛野郎よりはえーな。」
???「おっしゃってる意味が分かりかねます。あの野蛮な駄獣と 一緒にしてもらわないでいただけますか?」
ヴァン「ああっ?…まあ、いい。お前をぶっ殺してさっさと終わりにしてやるぜ!」
ヴァンが白装束の女へと再び向かうと、いきなり横から気絶していた二足歩行のミノタウロスがヴァンに向かって棍棒を振るう。咄嗟(とっさ)の攻撃にヴァンは反応が遅れ、両腕で防ぐ。振るわれた棍棒はヴァンに命中して遺跡に吹き飛び激突した。
ディルガン「ヴァン!」
???「さて、あの方は彼等(ミノタウロス)に任せて、こっちは私(わたくし)がお相手いたしましょう。」
白装束の女が腰に差した真っ白な刀を抜いた。次の瞬間…女から凄まじい殺気がティヤ達に向けられた。
ティヤ「!!…リエナとファトンは援護でディルガンは私の補佐に入って。」
ディルガン「承知!」
ティヤ「一つ質問良いかしら?」
???「どうぞ。」
ティヤ「あのミノタウロスは、あなたが解き放ったって言ったわよね?さっきもミノタウロスはあなたに目もくれず、ヴァンだけを狙って攻撃した。あなたもまさか魔物の類なわけ?」
???「何度もお答えさせていただいていますが、あの駄獣と私(わたくし)を一緒にしないでいただけますか?」
ティヤ「そう。だけど、あなたは味方って感じじゃなさそうね。」
???「そう感じますか?」
ティヤ「ええ。」
すると、ティヤは白装束の女に向かって行く。二人の剣と刀は鍔迫り合いになる。
ティヤ(ぐっ。お…重い。なんて力なの!?)
???「拍子抜(ひょうしぬ)けですね。あなたはもっと冷静な方だと思ってましたが。」
ティヤ「!!」
すると、鍔迫り合いの最中…白装束の女は後ろへと後退すると、ティヤは力を入れていた分、前に倒れ込むようにバランスを失い、白装束の女は後退するのと同時に構えを崩さずにバランスを失ったティヤの腹部を切り捨てた。そして斬られたティヤがその場に倒れ込む。
リエナ「ティヤ!…ファトン!」
ファトン「分かっている。光の精霊よ。我願いに応えよ!フラッシュ!」
???「!」
ファトンが唱えると閃光が白装束の女の視界を奪った。それと同時にリエナはティヤの元へ行き回復魔法を詠唱してティヤの腹部の傷を治療する。
ディルガンは盾を構えていて閃光を回避しており、そのまま盾を構えながら白装束の女に突撃して行った。
ディルガン「目が見えないならこのまま打ち崩すまで!」
???「それは、愚行ですよ。」
ディルガン「何!?」
白装束の女は目を閉じたままディルガンの盾ごと切り捨てた。
ディルガン「ガハッ!な…なぜ。」
???「目が見えずとも、聴覚・嗅覚…そして気配を感じとる事が出来れば容易なことです。」
ファトン「ディルガン!クソ。炎の精霊よ。灼熱の塵(じん)を代償に変え我が願いに応えたまえ!ヘル・フレア!」
ファトンが詠唱すると白装束の女の周りに炎の渦が囲い込む。しかし、白装束の女は無傷でその場に立っていた。
ファトン「ぐっ。…無傷かよ!」
???「…。これで、あなた方の攻撃は終わりでしょうか?…では、ここで終わりにしましょう。」
すると、横から二足歩行のミノタウロスが吹き飛んできた。白装束の女は瞬時に避け、ミノタウロスが吹き飛んできた方を見るとヴァンが首の音を鳴らしながら歩いてきた。
ヴァン「おいおい。勝手に終わらせてんじゃねーぞ!」
???「あなたも懲りませんね。」
ヴァンの身体から真っ赤なオーラが出てきた。
ファトン(あれはヴァンの闘獣の気。)
ヴァン「ファトン。俺に精霊の祝福を!」
ファトン「ああ。精霊よ。かの者に祝福を授けたまえ!ブレッシング!」
ファトンが詠唱するとヴァンの体が光る。
ヴァン「行くぞ。精々楽しませてくれよ。」
???「ご期待にはお応えしかねます。」
ヴァンは目に見えない速さで白装束の女の正面に向かって移動して拳を振るう。だが、白装束の女はいつの間にかヴァンの後ろへ移動していてティヤ達の方へと歩いて行く。
ヴァン「何!?」
すると、ヴァンはすでに斬られていて、その場に倒れた。
ファトン「ヴァン!馬鹿な。精霊の祝福を与え、『闘獣の気』を発動したヴァンが手も足も出なかっただと!」
???「もうよろしいでしょうか?」
ファトン「リエナ。俺が時間を稼ぐ。お前とティヤだけはここから逃げろ!」
リエナ「ファトン!」
ファトン「少しだけ無理するぜ。光と闇の精霊よ。光の道に闇あり、闇の道に光あり、光と闇の曲線を作り出して我が願いに応えよ!ダークネス・フラッシュ! 」
すると、空間全体がが真っ暗になった。それと同時にファトンは口から血を吐いてその場に落ちた。
ファトン「ごはっ!」(…精霊の力を..使いすぎたか)
???(…これは…さっきより何も感じないですね)
リエナ「ファトン。」
リエナはファトンに言われた通りティヤの肩を組んで入り口の方に向かって歩いて行く。
???「どこへ行かれるのですか?」
リエナ「!!」
すると、リエナの後ろに白装束の女が立っていた。
リエナ「嘘でしょ!?」
???「もうあなたで終わりです。」
白装束の女が刀を振り翳すと正面の方から銃声がした。すると、一発の弾丸が白装束の女の方に向かって飛んでくる。白装束の女は刀で弾丸を真っ二つに斬った。
???「何者ですか?」
すると、奥から黒いコートを着て背中に大きなリュックを背負った男が現れた。
コメント
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読み終わったわ!第2話、めちゃくちゃ熱かった🔥 白装束の女、強すぎて震えたね…。ヴァンが闘獣の気と精霊祝福まで使って手も足も出ないって、ヤバすぎる。ファトンの捨て身の時間稼ぎとリエナの回復、パーティーの連携がちゃんと機能してるのが好みだわ。 最後に黒コートの男が登場して銃声。ここからどうなるのかガチで気になる。次話も待ってる!