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「みんなーお疲れ様!!」

委員長の明るい声で今日1日の終了が知らされた。みんな、疲れた顔をしている。

内装だけでなく衣装にも本気を出しているからか沢山のお客さんが訪れた。

…忙しい1日だった。予想以上に忙しく、あれこれ考える暇はなかった。と言っても、文化祭は明日まであるが。

クラスでは、皆それぞれのグループに別れて会話をしていた。

…今頃何も無ければ、僕は京介と一緒に今日の出来事を話し合っていただろう。

京介はというと、ロッカーの前で数人の女子達と何か話をしている。

別に何でも無いことだろう。……それなのに、なんでこんな気分になるのだろうか。


「ゆき、お疲れー」

蓮だ。

「お疲れ様」

「あははメイドっぽい」

蓮はそう言った。そういえばまだメイド服のままだった。

「やっぱゆきこうやってみると女の子にしか見えないなぁ…」

そう言って僕の後ろに回ったかと思うと抱きついて胸を触ってきた。

「ちょっ」

「やば、興奮する」

こいつ、変態だ。今更ながらそう思った。

「可愛い」

「…離れて」

「ええ…いい匂いする」

僕は蓮から逃れるため、体をよじらせた。

「ふ、逃げようとしたってゆきの力じゃ無理」

「く……」

「おい、お前らイチャつくな」

その声は、木村だ。

「せんせー邪魔しないでよ」

「先生、助けて」

仕方なく僕は先生に助けを求めた。

「お前らなぁ…。佐々木、及川を離してやれ。嫌がってるじゃないか」

そうだ。

「嫌がってないですよ。ゆきはちょっと照れてるだけ。ね、ゆき」

「違う!」

「佐々木、いい加減にしろ」

先生、目が笑ってない。僕からは蓮の顔が見えない。

「…」

2人は数秒無言だったが、

「ちぇっ…」

蓮はそう言って僕から手を離した。…やっと解放された。

「先生、ありがとう…」

「ああ。佐々木、お前の友達が玄関の方で待ってたぞ」

「そうだった…」

蓮は何が思い出したように、ため息をついた。

「ゆき、また明日ねー」

そう言い、手をひらひらと振って蓮は教室を出て行った。

「及川」

ふいに名前を呼ばれ振り向くと、木村が僕を見ていた。

「なんですか」

「話がある。来てくれないか?」

「話…?」

先生は急に真剣な顔つきになった。

「ああ。来るよな?」

「え、分かり、ました」

僕は咄嗟に頷いてしまった。

「そうか」

木村はそう言いって笑顔を見せた。…騙された?

「じゃあ行こうか」

「え、今ですか?」

「当たり前だ」

当たり前って…。

「あの、着替えてからでも」

「大丈夫だ。ほら、行くぞ」

木村は僕の言葉を遮り、僕の手を引いた。

木村は大丈夫かもしれないが、この格好で木村と2人きりになるのは僕が嫌だ。

「まっ」

話を聞く気はないようだ。

教室を出る。その瞬間、京介と目が会った。今日、初めて目が合った。

「……」

でも、すぐに京介の姿は見えなくなった。





第2準備室。

木村は部屋に入るなり、カギとカーテンを閉めた。

「先生、話って何ですか?」

僕がそう聞くと、木村はまた笑みを浮かべた。

「そうだな…」

そう言ったかと思うと、木村の手が僕の頬に触れた。


本当は分かっていた。木村が何で僕をこの部屋に連れきたのか。

…もしかしたら、蓮と一緒に居る方が安全かもしれない。

「っ……」

「可愛い」

ぐっと、恥ずかしさが込み上げてきた。

「及川、いいか?」

いつもは、何もか聞かずに触って来るくせに。

僕は何も言わなかった。

木村が動き出す。

分かっている。木村と一線を超えてしまう意味も、後から後悔するかもしれないという事も。

だが、今だけは、木村に体を預けて居たかった。


死ぬ前に恋でもしようか

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