テラーノベル
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その日は、なんでもない日だった。ライブが終わって、みんなでご飯を食べて、笑って、帰ってきただけの日。
「楽しかったね」
そう言って帰っていくみんなの後ろ姿を、りうらはただ笑顔で見送った。
だけど。
部屋に戻ってドアを閉めた瞬間、笑顔は崩れた。
「……なんで、こんなにしんどいんだろ」
カーテンも閉めずに、床に座り込んで、手のひらで顔を覆う。
張り詰めていたものが、ぷつん、と切れた。
「頑張ってるよって、言ってほしかっただけなのに」
「誰も悪くないって分かってるのに、なんで、りうらだけ置いてかれてる気がするの……」
涙がぽたぽたと、床に落ちる。
「りうら、もっと強くなりたいだけだったのに」
その声を、部屋のドアの向こうで聞いていたのは――ないこだった。
(あー……ばり我慢しとったんやな、こいつ)
何も言わず、そっとドアを開けて、部屋に入る。
りうらが驚いた顔で見上げるけど、もうその目は真っ赤に腫れていた。
「……何で来たの」
「泣いてんの見られたくない……」
「じゃあ、誰にも見せんと、ずっと1人で泣くつもりやったん?」
ないこはそう言いながら、隣に座って、りうらの肩をぽんぽんと叩いた。
「ええやん、今日は泣いても。泣いた分だけ、また強くなれるんやから」
「りうら、ほんとに……強くなりたかっただけなんだ」
「……なれてるよ」
「もうとっくに。自分が思ってる以上にね」
ないこの言葉に、りうらは泣きながら「うそだ」と笑った。
でも、少しだけ、心が軽くなった気がした。
コメント
1件
感動しました🥺小説かくのうますぎますッー!なんでこんないい話思いつくのやら…ッ‼️天才かッ✨