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私の黒い影は幼い私を映す水面に立たせた。
“ここで死んだら私は死ぬ”
何故かそんな事を私は知っていた。私は死ぬか生きるか迷った。もう少し生きて、『世界の綺麗な所』を見てみたかったから。そんな事を思っているとある思いが私の中に生まれた。
__この世界は汚かったじゃないか___
生きたいと思う私を他人は平気で罵倒する。そんな世界を綺麗だと言えるのか。
「言える訳ない..ッ…….」
涙を拭き取っていると見慣れた足が見えた。
「….ッキィニチ…..」
暫くの沈黙の中、私はもう一度言い直した。
「どうして“英雄”がここへ?」
体温が上がり不思議と口角が上がって来た。私は元素の力で先端が尖った棒状の槍を生み出した。
「大蛇と言う悪は死ななくては」
私は喉に向け、槍を思い切り突き刺したがキィニチがそれを止めた。手から槍は離れ、空中を舞った。それをまた手に取りキィニチの方を見つめた。
「何で止めるの?英雄は私を殺せば皆んなから慕われるじゃない。」
自分でも最低な事を言っていると自覚していた。でも今まで積み重なったいた物がアビスの力をきっかけに崩れ落ちた。
「俺はマリポとして来た訳ではない。“仲間”として来た。」
キィニチの目は真っ直ぐで、いかにも英雄と言った自信だった。
「そんな言葉はもう聞き飽きたよ…」
私の声に力がこもった。