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ー前夜ー 夢路の旅路
これは、夢路が恋愛占術館を開く、少し前のお話。
「ゆーめじっ!」
夢路は、声がした方を振り返る。
「…珠莉。」
高坂珠莉。夢路の1番の友達。
「夢路ー!聞いて!今日ね、照と話せたの!」
照とは、珠莉が密かに思いを寄せている同級生の男子である。
「そう…。良かったね、珠莉。」
夢路は、興味なさげに返事をした。
「うん!」
そんな、素っ気ない返事をされても珠莉はめげない。
「夢路、大好き!」
いきなり、珠莉が抱きついてきた。
珠莉はスキンシップが好きなのだ。
「…珠莉、情緒不安定すぎる。」
夢路は、呆れながらも、少し、嬉しそうだった。
でも、何気ない日常は、続かないのだ。
「ただいま…。」
夢路は、小さくて古い家に向かって声をかけた。
「にゃあおー!」
黒くてもふもふの猫が夢路に駆け寄ってきた。
「帳…。ただいま。」
夢路は帳のモフモフの頭を撫でる。
帳は嬉しそうに喉を鳴らした。
夢路は、帰ったら制服から私服に着替えた。
「帳…仕事、行くよ。」
そう言って、夢路は首に月の形をしたペンダントを光らせながら、家を出ていった。
「…帳、今月、ちょっとお金ないから、今日はゆっくりしてられないかも。」
夢路が帳に話しかける。
「にゃあお!」
帳も返事をする。やる気満々だ。
夢路は、慣れた手つきで帳を撫でながら裏路地へと姿を消した。
コメント
2件
羊と亀のお遊戯会です! 前夜 夢路の旅路では、夢路が恋愛占術館にいる時以外の日常を描いています。 まだまだ謎が残る夢路ですが、少しづつ夢路の謎が明かされていきます。
読ませていただきました! 珠莉ちゃんの無邪気な「大好き!」に、どこか距離を置きながらも嬉しそうな夢路さんの反応がすごく可愛かったです。親友って、こうやってできていくんだなあとほっこりしました。それから帰宅して帳と過ごすシーン…ああもう、帳がふわふわで飼い主思いで、どの描写にも優しさがにじんでいて大好きです。何気ない日常だからこそ、胸に沁みました🌷