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うまそぉ……
おおよそ人に、ましてや成人男性にこんな欲求を抱くのはおかしいと理解してはいる。
理解しているのに、沸いてくるのはその場所に触れたい。噛み付いて吸い付いて。そんな欲求ばかり。
一刻も早く俺の視線を奪う原因を止めなければ、どうにかなってしまいそうだった。
「あー………じんと、唇どうかした?」
「うん?何もないけど、なんで?」
「いや、さっきからずっと弄ってるから」
俺と仁人以外が席を外した楽屋。アンケートにボールペンを走らせながら、空いた手はほんのり色付いたぽってりとした唇を辿る。ふにふにと柔らかいであろうその部分を真白い指先がまた、そこを這う。何度も何度も。
また誘われるように俺の視線はそこに釘付けになって、反らせない。
「はやと、」
「んー?」
「…………視線がうるさい」
「え?!なんで?!酷い!!今はじんとが俺のこと見てたじゃん!!」
「俺の顔、なんか付いてる?」
少し困惑した表情を貼り付けた仁人が、自分の顔をペタペタと触る。綺麗な額、通った鼻筋、大きくくりっとした瞳、そして俺の視線を支配する唇に。
「何も、付いてない、よ」
「…はやと?」
「何も付いてないのはほんとだけど、お前、唇、触り過ぎ」
もう、無意識で俺を誘う仁人が悪い気さえしてくる。
「っンむ?!」
思わず触れた唇は想像通りで、ふに、と柔らかい感触を指先に伝える。視線も触れた指先も離せない。
「なに、す、んッ!」
「はは、やぁらか」
「むぅ?!」
指先に柔らかな唇と、濡れた吐息が当たる。仁人が言葉を発する度に覗く赤い舌が、俺の思考回路をどろどろに溶かしていく。
「さっきからさぁ、じんと、ずーっと自分の唇触ってんの。誘ってんのかと思っちゃった」
「ひが、」
「そんなに唇が気になるなら、俺が、気にならなくしてやろうか?」
「…………へ?ぁ、はぁ、と?……ンうッ!?!?」
もう、自分が何言ってんのか分からなくなって、仁人の否定の言葉なんて聞く前に衝動に任せて口付ける。
薄い唇を噛んで吸って、無理矢理抉じ開けた口腔内に舌を滑り込ませる。焦がれた赤い舌をしゃぶってそれにも歯を立てて。
真っ白な仁人の肌が桃色に染まって、震える睫毛がしっとりと雫を纏う。
俺の胸を押していた手は、今は縋るようにシャツを握りしめる。
「ん、」
「ぁッふ、」
苦し気な呼吸を溢す唇を解放すると、耳と首まで真っ赤になった仁人が視線を彷徨わせた。
嫌なら突き飛ばせば良かったのに、俺のシャツを掴んだままでいるのは、ただ俺を付け上がらせるだけだ。
「唇触れば俺にキスされると思ったら、もう触れないだろ?なんて」
「…ぅ、あ〜………ん〜………」
「じんと……ごめん、流石にやり過ぎたわ……………怒った、よな?」
「えっと………なんというか、その……」
俺のシャツを掴む力が強くなり、グイっと手前に引かれる。
「ますます、気になった、かも…しんない………?」
「ッ、は…?」
普段に比べてとても小さな声が俺の鼓膜を震わせる。
「…………また、触っちゃうかも、だから…ねぇ、はゃと、」
ゴクリと思わず生唾を飲み下す。こんなにデカい音なら仁人にも聞こえたに違いない。
「もういっかい、してよ………?」
服から覗く肌を熟れた苺みたい染め上げて、ゴニョゴニョと上目遣いでそんなこと言うなんてコイツは本当に馬鹿。恥じらうくせに誘う言葉は大胆で。そんな姿を見せられてしまえばこちらまで顔に熱が集まっていく。
でも一番の馬鹿はこの反応を想像していなかった、無意識の仁人が張り巡らせた甘い罠にまんまと掛かった俺だ。
コメント
1件
うわあ、もう……これはたまらないですね。楽屋の密室感と、普段は冷静そうなはやとが仁人くんの無意識の仕草に理性を溶かされていく描写が、すごく生々しくてドキドキしました。特に「ますます気になったかも」からの上目遣いで「もういっかいしてよ」は反則ですよ……。恥じらいと誘いのバランスが絶妙で、続きが気になります!
#👶🏻➰💘
♡♡
13
はるか
71
翡翠
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