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綺麗な君が好きだ。
艶のある美しい髪も、少し色素の薄い透き通った瞳も。
そんな君と付き合えて、彼氏になれて、嬉しさで胸はいっぱいだったけれど、君とのラブストーリーは予想通り、僕の一人芝居だ。
君と過ごした時間はかけがえないし、寄り添いあって愛を育んできた。確かにそうだ。
でも、君に憧れて、君のそばにいたくて、嘘をついたり演技をしたりしていた。
だから君は僕のそばにずっといてもただの観客にしかなり得なくて、それ以上じゃなかった。
日々の「ごめんね」だって上辺だけで感情はたいしてないし、それがいつも通りだから慣れてしまえば悪くはなかった。
でもそんなことを重ねていくたびに、君とのロマンスは、僕たちの人生柄、続きはしないことを知ってしまった。
ドラマや映画のように設定だとか関係だとか、どんな風に出会ってどんな風に好きになるのか、出会う世界線を、選べたらよかった。
もっと違う性格になれたら、もっと違う価値観を持ってれば、愛の伝え方も違っていたかな。君ともっと近づけていたかな。
そう願っても、無駄だってことはわかっちゃいるけど。
君の運命の人は、僕じゃないんだよ。
辛いけど、決められてしまったことだから、このままダラダラ関係を続けるのは無駄だから、さようならと言うのも否めない。
でも離れ難いんだ。わがままだよね、ごめん。君のその髪に触れただけで胸が痛い、離れたくないと叫んでいる。いや、でも、甘いんだ。君と過ごした時間が僕を溶かしていく。
それじゃ、僕にとって君はなんなんだろう。恋人?観客?答えは、わからない。分かったところで離れなければいけないということが明るみになるだけだから、分かりたくもないけれど。
こんな嘘まみれの関係でもたった一つ確かなことは、君はどうしたって綺麗だ。
誰かが偉そうに語る恋愛の論理は腐るほどあって、本や動画、音楽、映画なんかでも語られる。ひとつひとつは確かに輝いていて、素敵な論理だと思う。けど僕には何一つピンとこなくて。ぼんやりとした、飛行機の窓から見下ろした、知らない街の夜景みたいだ。
ラブソングを聴いたっていまいち共感できない。純粋に恋ができない、そんな自分の性格が嫌になってくる。
だから、もっと違う設定で、もっと違う関係で、君と出会いたかった。こんな僕じゃなければ、いたって濁りのない心で、好きだとか、無責任に言えるのに。世界線が、もしも違えば。
そう願っても、夢を見ても、虚しいだけだ。
2人手を繋いで歩き、向かった先にはエンドラインが必ずある。踏み越えれば僕達の関係はあっという間に断ち切れてしまうし、もう一回なんてこともないだろう。だから、道を狭くして無理やりに引き延ばす旅に、苦しいと、早く終わりにしてくれと、疼き出す未来には君はいない。その事実に手を繋いでくれる君の横でこっそり涙を流す。
嘘をつくのも、演技をするのも、辛いだろう。でも大好きな君と別れるのも、もっと嫌なんだろう?捻くれた性格のせいで、僕をもうこんなに拗らせてしまった。ごめんな。そりゃ、苦しいよな。
もう思い切らなきゃダメだ。さようなら。
君の運命の人は僕じゃないから。出会ってる世界線が違えばこんなこともなかったんだろうけど、辛いけど、定められた結末は否めない。
でもまだ離れ難いという心にだけは正直になってしまって、最後にもう少しだけなんて言って、未練がましくその髪に触れる。それだけで痛くて泣きそうになって、叶うはずもない後悔が寄り添ってくる。それでもまだ甘い。君の香りや、僕に残していった思い出が。
結局、僕にとって君はなんだったんだろう。
答えはもう、分からない。分かるすべもないから、分かりたくもない。別れ際までこんなことを思ってしまって申し訳ないけど、君は本当に綺麗だ。これは、どの世界線だって確かだ。
何が僕らを出会わせて、こんなに、思いを煩わせてしまったんだろうか。僕達の出会いや関係や僕のややこしい性格もそれもこれも、ロマンスの定めだって言うなら、悪くないかな。
演技や嘘ばかりの恋人で、永遠も約束もひとつだって確かになかったけれど。
僕は初めて君を見て、正直に、思ったんだ。
君は、綺麗だ。
「Pretender」/Official髭男dism
改めて聞くと本当にいい曲で、歌詞も切なくて綺麗で、衝動で書きました。
しかもPretender、間奏のシンセソロめちゃくちゃかっこいいですよね。
やっぱりいい曲だーー!