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平野「…あのさぁ、いい加減手、離せば?(TωT)」
風「わっ!これは…!」
ずっと廉に手を引っ張られて走ってきたから、そのまま手繋いだままやった。慌てて手を離す。
よく考えてみたら、このスリーショットってめちゃくちゃ気まずいやん!(゚Д゚)
廉「あー疲れた疲れた!」
廉がどかっと真ん中の席に腰を下ろす。自動的に、私が1番通路側の席に座ることになった。
平野「お前が真ん中座るのかよ!」
廉「当たり前やろ!ここから1時間も俺端っこの席で1人ポツンなったら嫌やもん!邪魔しとるわ~。(平野にだけ聞こえるように)こっちで見えんようにまた手繋いでたらごめんなぁ~?(。´´ิ∀ ´ิ)」
平野「お前なぁっ…!」
廉「冗談やん!あーおもろ!」(←平野が自分に対して余裕がなくなっているのが楽しくてしょうがないらしい)
廉が、なんか平野をからかっている…。
でも、ちゃんとわかってるよ。
私と平野に気を遣わせないように、あえてそうしてくれているって。
平野との関係もまだあやふやなこの状況で、私が真ん中に座らされたら、どうしていいかわからなかったもん。
廉、そういうとこ、本当にさりげなく気遣ってくれるよね…。
名古屋。桃の家。
桃「紫耀くんっ♡やっぱり来てくれたんだねっ♡♡…って、この二人誰?」
廉「”友達”思いの紫耀が”友達”の緊急事態やって言うから、”友達”の友達として、駆けつけました。」
桃「何、そんな”友達、友達”って…(* ̄m ̄)」
平野「桃、怪我は?」
桃「あ…うん、今はもう、血止まったから大丈夫」
廉「え?手首切ったって、どこがやねん?」
見ると、手首に紙でピってやっちゃった時くらいの小さな切り傷がうっすら付いていた。
こんなことだろうと思ったけど…。
平野「よかったぁ~~~…!!」
平野が安心して膝から崩れ落ちるようにしゃがみ込む。
桃「紫耀くん、そんなに私のこと心配してくれたんだー?嬉しい♡」
平野「そりゃ心配するだろ!桃は大切な友達なんだから!」
桃「…友達?」
平野「そうだ、俺にとって、桃は友達だよ。…だから、桃とは付き合えない。ごめん…!」
桃「そんな…。もしかして、その子と付き合ってるの?」
桃ちゃんの視線が私に移る。
桃「認めない!私、紫耀くんが好きなの!付き合ってくれないなら、私、死ぬから!今ここでもう一度手首切るから!」
桃ちゃんが、机の上にあったカッターを手に取る。
平野「桃っ!やめろ…!!」
風「やめてっ…!痛っ…!」
廉「風ちゃん…!?」
平野「舞川!大丈夫か!?」
腕からポタポタと血が垂れた。
平野より先に、カッターを持つ桃ちゃんの手を払いに行って、桃ちゃんが振り回したカッターがあたったのだ。
平野「…桃っ!!…お前が女じゃなかったら、殴ってるぞ!!」
平野がわなわなと震えている。
桃「わざとじゃないもんっ!その子が勝手に近づいてくるから…!桃、悪くないもん!」
桃ちゃんが泣きそうになって弁明する。
桃「なんで?なんでその子のことばっかり心配するの?私だって、手首切ったんだよ?ねぇ?本気で死のうと思ったんだから!」
風「桃ちゃん、平野のことが好きなら、本当に好きなら、もうこんなことしないで…。
簡単に死ぬなんて言わないで!失った命はもう戻ってこないこと、あなただって平野と同じように痛いほどわかってるはずでしょう!?なのになんでこんなことできるの!?
命を盾に平野の気を引くなんて、そんなの愛じゃないよ!本当にその人のことを思うなら、自分が辛いの我慢してでも、相手の幸せを考えられるはずでしょ?」
廉がそうしてくれたみたいに。
風「私だって、平野が元カノのところに行くなんて嫌って思ったけど、でも平野の気持ち考えたら止められなかった。平野が、誰よりも人の命を重く考えていること、知ってるから!
桃ちゃんが平野のことを好きな気持ちは否定しない。でも、だったら正々堂々と勝負して!私だって、平野のことを好きな気持ちは、絶対負けないから!」
廉「あ、なんかどさくさに紛れてついに言いよった…しかも紫耀本人にじゃなく…(゚□゚) 」
平野本人の前で、平野への告白を別の人にしていることにも気づかないほど、必死やった。
ボロボロ涙があふれてくる。
風「だから、お願いします!もう命を使って、これ以上平野の傷をえぐらないで!お願いします!お願いします…!」
平野「舞川、ありがとう… 。もういいよ。それより、早く手当てしなきゃ」
平野がそっと肩を抱いて、90度に下げていた頭を起こしてくれた。
あれ?平野、顔が赤いな。どうしたんやろ?
桃「ちょっと… 人んちでイチャイチャしないでよ!もしかして私に見せつけるためにわざわざついてきたの!?超性格、悪っ!もういい!早く帰って!」
平野「舞川、行こう」
平野に肩を支えなられながら、入り口に向かう。ドアのところで平野が振り返った。
平野「桃、無事で本当によかった。じゃあな。死ぬなよ」
桃「はあ~っ!?思い上がらないでよ!死ぬわけないでしょ!?言っとくけど、私、高校でミスコンに選ばれたんだから!男になんて全然困ってないんだから!」(でも、平野ほどのレベルの男はいない…とは死んでも言いたくない)
そのまま、平野に連れられて、部屋を出た。
まだ桃ちゃんの声が後ろから響いていた。
桃「うちの高校で、いや、このへんの高校で、私のこと知らない人なんていないんだからねっ!私、ミスコンなんだからぁ~っヽ(≧Д≦)ノ」
廉「ぷっ…そこ、こだわるなぁ?(笑)確かに顔かわいいけど」
桃「えっ…!?(”かわいい”というワードに反応)あ、あれ?紫耀くんの友達だよね?(なに、ちょっとめっちゃイケメンなんですけど…!)私のこと心配して名古屋まで来てくれたんだぁ?なんか、ありがとう~( ´,,•ω•,,`)♡」(←もうすでに平野から廉に狙いを変更した)
廉「あのさ、ちょっと話あんねんけど」
平野「廉?どーした?遅かったじゃん?」
廉「あ、ごめんごめん、ちょっと桃ちゃんと話してた」
平野「はっ?何を?」
廉「いや、”顔かわいいけど性格悪いね”って捨て台詞を(^-^)」
平野「はっ!?マジかよ!?…それより、舞川の手当てしなきゃ。うちの実家行くぞ。」
風「私、全然たいしたことないよ?」
平野「ダメだよ!ちゃんと、手当しなきゃ!跡が残ったらどうすんだよ!」
風「平野、過保護…」
平野「それに、せっかく名古屋帰ってきたんだから、ママにもおばあちゃんにも会いたいし」
風「あ、そうだよね。そういうことなら、じゃあ私もお邪魔させてもらっちゃおうかな」
廉「俺はパス!」
平野「なんで?」
廉「名古屋名物食べ歩きしたいんよね~!帰りの新幹線で集合しようや」
平野「まぁいいけど」
夕方。新幹線ホーム。
平野「廉、おっせぇなぁ。どんだけ食べ歩きしてんだよ。あ、来た来た!」
廉「悪い悪い、遅くなった」
廉が息を切らしながら走ってきた。
廉「紫耀!違ったんだよ!!自殺じゃなかったんだ!」
平野「え?何?」
廉「お前の親友のことだよ!自殺じゃなかったんだ!」
平野「な、なんだよ、突然…?」
廉が携帯の画廉を見せる。
廉「お前の親友の携帯の下書きに残ってたメールだ」
平野「え!?どういうことだよ!?」
廉が何を言っているのか、正直すぐには理解できなかった。
廉「親友のお母さんに会ってきた。お前の親友が死んだ時、携帯も一緒に海に落ちて、だけど数日乾かしたら復活して電源がつくようになったんだって。そしたら、メールの下書きが残されてたんだ。お前宛のメールだ」
平野「…っ!?」
俺は、廉から奪い取るように携帯をむしり取り、食い入るようにその文面を読んだ。
舞川が心配そうに横から覗き込む。
「紫耀へ。
最近、そっけない態度とってごめん。
みんなに言ってなかったけど、俺、佐伯桃と付き合ってたんだ。本当は、お前に1番に話そうと思ってたんだけど、それより前に、速攻でふられちまったよ。
お前が桃のことかわいいって言ってたの桃が知って、あっけなくふられたわ(笑)
あまりに自分がかっこ悪くて、なんとなく言い出しそびれちまった。ごめん。
学年一かわいい女の子にダメ元で告って、そしたらまさかのオッケーで、夢かと思うくらい嬉しかった。今思えば、最初から桃はお前のことが好きで、俺が紫耀と仲が良いから付き合っただけだったのかもしれないけど。それでも俺は桃と付き合った数週間、すっごく幸せだった。
もっと早く、桃と付き合ったこと報告してたらよかったかなぁ?
だけど、もし最初から俺が桃と付き合ってること、紫耀に言ってたとしても、容赦なく奪われただろうな(笑)お前はいつも「友達だからって遠慮しないぞ」て言ってるもんな。
俺はそういうお前がすっげーかっこいいなって思ってた。だから、このメールを読んでも、今さら遠慮なんてするなよ。桃のことを幸せにしてやってくれ。
言っとくけどな、俺は好きな女と親友の幸せを祝えないほど、ちっちゃい男じゃないからな?桃のことも好きだったけど、お前のことも大好きだからな!
…なんてかっこいいこと言ってるけど、直接会ってちゃんと話せる自信がなくて、こうやって今何度も文章考え直しながらメール打ってるよ(笑)
今日〇〇(クラスの不良仲間)たちに、「迷ってることあるならバイクでかっ飛ばせばスカっとするぞ」って誘われて、ちょっと行ってみようと思う。お前はいつも、“見た目は不良ぶっても法は犯すな“って言うからバイクの無免許運転なんて絶対怒られるから、内緒で行くよ。
俺の最初で最後の黒歴史だ。失恋して傷心なんだから、それくらい大目に見てくれよな?
桃への気持ち、全部吹っ飛ばして、帰ってきたらこのメールをお前に送るよ。
そしたらまた明日から、俺たちは元通りの親友だ。世界一かっこよくて、大好きで、大切な親友の幸せを祈る!」
途中から画面が滲んで見えづらくなって、何度も目をゴシゴシ拭きながら一生懸命読んだ。
人間って、こんなに大粒の涙が出るもんなのか?と思うくらいに、ビー玉くらいの大きさの涙がボタボタと落ちた。
廉「葬儀の後、このメールを発見して、親友のお母さんは全ての事情を知った。最初は、自分の息子が最後に好きな子に失恋して死んだってことが不憫で悲しくて、受け入れられなかったらしい。
でも、それでお前にこのメールのことを言いそびれて時が経って、ずっと後悔してたって、お母さん泣いてたよ。
”息子の最後の思いを伝えてあげるべきだった”って。それで、お前に伝えてほしいって頼まれて、このメール転送してもらったんだ」
ガクリと膝をついて、顔を覆って泣いた。
廉「お前の親友は、最後までお前のこと恨んでなんていなかった。親友が最後に願っていたこと、それはお前の幸せだったんだよ!」
平野「だけど、だったらあいつは本当はまだまだ生きたかったのに、事故で突然人生を絶たれたってことだろう?
自殺じゃなかったからって、俺だけ胸のつかえがとれてよかったなんて思えない…。あいつは戻ってこないのに…」
廉が俺の前にしゃがみ、肩に手を置く。
廉「だから、その傷は俺が一緒に背負ってやるって言ったやろ? もう1人で苦しむな。自分を責めるな。
ええか?もう一回言うぞ?お前の親友は、最後にお前の幸せを祈ってた。お前は前に進まなきゃいけない! 」
何を捧げても、時は戻らない。
俺たちは生きている限り、明日へと進まなければいけないんだ。
俺には、こんなにも闇から救い上げようとしてくれる仲間がいる。
平野「廉…どうしてお前こんなことまでしてくれたんだよ…?」
廉「う~ん、そうやな?風ちゃんだったらそうすると思ったから」
風「っ?」
突然名前を出されて、舞川が驚く。
廉「正直今までの俺やったら、ここまで踏み込んだりはせえへんかったと思う。相手にとって踏み込まれたくないくらいにデリケートな問題だったりしたら、逆に迷惑がられるかなぁとか怖かったりもするし…。だけど風ちゃんは、そういう、人がこっそり抱えている傷とか闇の部分とか、ぐいぐい踏み込んでいくやん?」
風「あ、はい、おせっかいですいません…(;´・ω・)」
廉「いや、めっちゃ褒めてるんやけどさ。こんなに他人のために一生懸命になれる人間っておるんやって、そういうとこめっちゃ好きになってん。
それでなんか俺も影響受けて、ちょっと変わってきたんよな。紫耀と正面きって本音で話したり、こんなところまでついてきたり。
人を好きになるって、ただ両想いになって付き合うことがゴールじゃなくて、その人の尊敬できる部分に自分も影響を受けて、成長できることなんかなって今は思う。
だから俺は風ちゃんと別れたけど、風ちゃんを好きになってよかった。全く後悔してない!
多分お前の親友も同じやったんやないか?好きな女の子に当たって砕けたことも、親友と真っ向勝負して負けたことも、悲観なんてしてない。むしろ、そんなに人を好きになれたことも、自分を負かした相手がめちゃくちゃかっこいい自慢の親友だったことも、誇りに思ってる。
お前の親友は、失恋して自殺するようなやつやなかったんや!ちゃんと前を向いて生きようとしてたんや!」
平野「廉…」
いつの間にか隣で舞川もボロボロ泣いていた。
廉「あともう一つ、俺がお前のためにここまでした理由な。シンプルにお前のことが好きやからや」
思いがけない言葉に俺が固まっていると、突然自分の言葉に照れたようで、廉が急に早口になる。
廉「だって、人間、恋愛感情だけで動いてる訳やないやろ?風ちゃんのことめっちゃ好きやったけど、それとおんなじくらいにお前のことも好きやっちゅう話や!悪いか!」
グリグリの目玉があっちこっち泳ぐ。廉が照れてる時の癖だ。
平野「悪くない!全然悪くなーい!(>ω<)」
廉「うわっ!なんやねん!きも!ダルッ!なんで男同士で抱き合っとんねん!?抱き合うんなら風ちゃんがええわ!風ちゃん!笑ってないでちょ、助けてー( ´Д`)ノ」
平野「あれ?でも、どうして俺の親友の実家の住所わかったの?」
廉「桃ちゃんに聞いたんや」
平野「あー!さっき、桃と話してたの…。“顔可愛いけど性格悪い“て捨て台詞吐いてきたなんて嘘だったのか」
廉「いや、それは言うたよ?」
平野「え!?それでよく住所教えてくれたな?あいつ、そんなこと言われたらめっちゃキレそうなのに」
廉「いや住所教えてもらってから。だから”捨て台詞”やん」
平野「お前…お前もなかなか性格悪いじゃん…」
廉「いやだってほんまのことやから。それよりお前さぁ、よくあの子のこと好きになったよな?性格”ドブス”やん?風ちゃんかてドン引きしたよな?」
風「えっ!?…う、うん…ちょっと…、いや、だいぶドン引きした」
平野「そ、それは…!⁄(⁄ ⁄º⁄Δ⁄º⁄ ⁄)⁄中学の時だから、学年1可愛い子に告白されたら、嬉しくなって付き合っちゃうだろ!?みんなそんなもんだろ!?それにあいつ、最初は猫被っててあんなに性格悪いなんて全然知らなかったし!」
廉「確かに。お前の親友も、最後まで本性知らなかったみたいやしな。いや、でもあれはアカンわ~。いくら面食いの俺でも、絶対好きになれへん。
桃ちゃんにな、“俺らの風ちゃんは、あの顔の可愛さで、めっちゃ性格ええぞ。桃ちゃんが逆立ちしたって敵う相手やないよ“って言うたったわ!風ちゃん、桃ちゃんと正々堂々勝負して、負けへんって宣言してたもんな?」
風「えっ!?あ、そういえばさっき、そんなことを口走ったような…⁄(⁄ ⁄º⁄Δ⁄º⁄ ⁄)⁄」(←やっと冷静になって、無意識にコクっていたことを自覚した)
廉「ま、そこら辺も含めて、2人でちゃんと話せ!」
廉が俺と舞川の背中をどんと押し、新幹線の中に入れる。
廉「俺、次の新幹線で帰るわ」
平野・風「え!?」
廉「風ちゃん、大好きやったよ。俺にとって、最高の恋やった。風ちゃんを好きになれて、本当に良かった。ありがとう!」
風「廉…」
廉「はい!これで俺の出番は終わり!あとは紫耀に交代!バイバイ!」
廉が背中を向けて、後ろ手に手を振った。
ドアが閉まり、そしてゆっくりと新幹線が動き出す。
紫耀「廉!ありがとう!本当にありがとう!じゃあな!後でな!」
「死ぬなよ!」じゃなくて、「じゃあな!」と自然に言葉が出た。
小さくなっていく背中を見送っても、もう心がザワザワすることはなかった。
「一人で苦しむな。一緒に傷を背負って戦う」と言ってくれた廉。
大好きな子のために自ら別れを選び、それでも「最高の恋だった」と晴れ晴れした笑顔で言った廉。
その背中は、本当に輝いていた。
俺は、勝手に見えない壁を自分で作り上げて、心に鍵をかけて、舞川の気持ちから逃げていた。でも、そんなんじゃ廉にも死んだ親友にも怒られる。
今度こそ、舞川に気持ちを伝えよう…!
ずっと閉ざしていた俺の心のカギを開いてくれたのは、俺の超協力なライバル、そして最高の親友・永瀬廉だった。
風「…あ、じゃあ中、行こうか」
デッキで廉を見送って、車内に入ろうとする。
平野「待って、中入っちゃうと、静かで話できないから、もうちょっとここで話そう?」
風「うん…」
平野「なんかさっき桃に向かって、先に舞川から言われちゃったんだけどさ。本当は俺から言いたかったんだけど…」
風「あ、あぁ~~、あれね?⁄(⁄ ⁄º⁄Δ⁄º⁄ ⁄)⁄あれは、なんていうか、つい気持ちが高ぶって…」
平野「だからさ、今度は俺から、ちゃんと言うね。言いたいこと、いっぱいあって、何から伝えたらいいか…。
言い訳するわけじゃないけどさ、俺、ほんとに親友が死んでから桃の本性を知って、なんで俺、本当に好きだったわけでもないのにこの子と付き合って、無駄に親友を傷つけて死なせてしまったんだろうって、本当に後悔したんだ。」
風「うん」
平野「だから顔が可愛い子って、本当は裏でめちゃくちゃ性格悪いんじゃないかって、いつの間にか警戒するようになってた。
最初に舞川の笑った顔見たとき、すげえかわいいと思った。(2話)だけどそれで恋に落ちるとか全然なかった。顔だけじゃ人間わからないって、自分に言い聞かせているところあったから。
だけど舞川は全然違った。いつも誰かの為に一生懸命走っていて、自分のことより人の事ばっかり考えてて。
俺が本当は舞川のことが好きだってジンがバラしちゃった時、それでもし、舞川が俺のほうに来ちゃったら、中学の時のデジャヴだって思って怖かった。(17話)
だけど舞川は、廉を選んだ。自分が選ばれなかった事は悲しかったけど、”やっぱり舞川は俺が好きになった舞川だな”って思って、もっと好きになった。
廉が身を引いてくれた後も、すぐに俺のほうに来れるほど器用じゃないところも、舞川らしいと思った。
俺、舞川の全部、全部が好きだ!
いろいろ言ったけど、伝えたいのはそれだけ!舞川のことが、好きだよ」
舞川の目にみるみる間に涙が溜まっていく。
平野「え!?なんで泣くの!?」
舞川ブンブンと首を横に振った。
風「嬉しくて…嬉しすぎて…!じゃぁ、私も平野の好きなとこ言うね!いっぱいあるから!
正義感強くていつも守ってくれるところも、なんでもできちゃうのに決してそれを自慢しない謙虚なところも、本当は自分が1番苦しんでるのに人にそれを見せないところも…んっ!」
唇で、舞川の口をふさいだ。
平野「ダメ。今、俺が舞川の好きなところ言ってる途中だから」
風「キ、キキキ…!?⁄(⁄ ⁄º⁄Δ⁄º⁄ ⁄)⁄」
平野「はぁ~~、そういうウブな反応も、たまんなくかわいい。もう誰にも渡したくない」
風「平野って、そういうこと言うキャラやったっけ!?なんか、”廉化”してない!?そういう恥ずかしいこと平気で言っちゃうあたり…」
平野「今までは心で思ってたけど、これからは全部声に出して言ってくから!つーか、他の男と比べんなよな( ・ὢ・ ) 」
子供みたいにムっとしたのが顔に出てしまう。
風「あ、ごめん…」
平野「あのさぁ…廉ともした?」
風「え?何?」
平野「だから…キス。廉とも…した?」
風「そ、そういうこと普通聞く…!?」
平野「だってさ…!俺が毎日、お前らが隣の部屋にいて、どんだけ気狂いそうだったと思ってる!?もうさー、めっちゃ頭おかしくなりそうだったから!壁に耳つけて物音聞いてたから!」
風「うそでしょ…!?怖っ!( ゚Д゚)」
平野「うっせーな!それだけ余裕なかったんだよ!廉は俺に嫉妬してたとかなんとか言ってたけど、俺の方がずっと廉に嫉妬してたから!悔しいから絶対言ってやんねーけど…!」
風「そうやったんや…なんか嬉しい…」
平野「で、したの?」
風「え…うん…した」
平野「うわぁ~~~…しかも舞川、海人ともキスしてるし」(10話)
風「海ちゃんは!あれはもう事故でしょ!?」
平野「事故でも何でも嫌なんだよ!俺より先に2人も!…じゃぁ、俺は回数であいつらを抜かす!」
風「はー!?」
平野「何回?何回、廉とした?」
風「何回!?それは…わかんない」
平野「え!わかんないほど!?あいつめぇ~~!じゃあ今日抜かす!絶対抜かす!」
舞川を壁に押し付けて、強引にキスをする。
風「…んっ!平野…人が来るよ」
平野「あとちょっとだけ…」
風「ちょ…私の好きなとこ、言ってる途中じゃなかったの?」
平野「もう頭真っ白になっちゃって、忘れた…」
風「え~~~」
舞川が困ったような素振りをしながらも、俺の首筋に手を添えてきてくれたことで、俺の気持ちに応えてくれたのだとわかった。
やっと、やっと手に入れた。
もう、幸せ過ぎて、ほんとに頭がおかしくなりそうだ…。
ガラッ。
目の前のトイレのドアが開いて、おじさんが固まって立っていた。
平野・風「わっ!」
思わず二人で飛び上がって、すぐさま離れる。
そっか、ここトイレの前だったのかぁ~!そしておじさん、けっこう長いこと入ってたなぁ!?
平野「す、すいません公衆の面前で!」
俺としたことが、我を忘れてしまった…。
外でこんな卑猥なことを…(>_<)
おじさん「ハハハ…若いねぇ…、ふぅ~ん彼女、かわいいねぇ、そりゃムラムラしちゃうよねぇ…フフフ…」
ヤバッ!このおじさん、ちょっとヤバい系の人だ…ヽ ( ꒪д꒪ )ノ
平野「お、俺の彼女に、ムラムラするのやめてください!あ、俺たちがムラムラさせるようなことやってたからいけないんだけど…それはすいません!でも見ないでください!見ないでください!俺のなんで!」
バタバタと両手を動かして、舞川を隠そうとする。
おじさんは不敵な笑みを浮かべて行ってしまった。
風「平野、誰もそんな見てないから。恥ずかしいから…」
平野「いや、もう、世界中の全ての男が舞川を狙ってる気がして…。」
風「なわけないやろ…もう~恥ずかしいなぁ」
平野「俺さ、ほんとはすげえ独占欲強いかも。彼女に、できることなら1歩も家から出てほしくないし、電車にも乗って欲しくないもん。
他の男に見られたりするのすげぇやだ!
俺、こんなんだけどいい?(·_·;)」
風「フフ、それ、なんかめっちゃうれしい。私もわりと、好きな人とずっと一緒にいたい派なんだけどいい?」
平野「大歓迎!呼ばれたらどこにでも駆けつけます!」
風「正義の味方みたい(笑)」
平野「舞川だけの専属のね。…ていうか、さっきからさりげなく“彼女“って言っちゃってるんだけど、彼女で合ってる?」
風「…うん!合ってる!」
平野「大好きだよ」
風「私も、大好き!」
平野「な、もっかいする?」
風「や、またおじさんくんで?」
平野「うん、やめとこ…」
チュッ。
平野「えっ…」
風「でも、私もしたかったから」
平野「…や、ヤバすぎて鼻血出そう…」
おわり
見てくれてありがとうございました!