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ワトリーはいつものアイスクリーム屋「ミルクテール」のカウンターに座り、
店長が出したばかりの新作アイスを味わっていた。濃厚なクリームの甘さが口いっぱいに広がり、
彼は思わずほっと息をついた。事件を解決した後の緊張が、少しずつ溶けていくようだった。
「ワトリー、本当にお疲れさまだったな!」
カウンター越しに微笑む店長が、彼をねぎらうように声をかける。
ワトリーは照れくさそうに笑い、「うん、ボクもすごく不安だったのだ。
でも、カオリやポテト、それにジョセフにも助けられたのだ」とアイスをひと口頬張った。
店長は少し苦笑いを浮かべながらスプーンを握り直し、
「でもジョセフって、美味しいところだけ持っていくよなぁ。
実際に犯猫を見つけたのはワトリーじゃないか」と指摘する。
「いいのだ。それより、エイミーが無事だったから安心なのだ。」
ワトリーは気にする様子もなく、穏やかに笑う。
店長はふと首をかしげ、「ところで、そのエイミーは今どうしてるんだ?」と尋ねた。
ワトリーは少し考えたあと、嬉しそうに答える。
「エイミーは休暇を取って、ボブと旅行してるのだ。」
「ボブ?あぁ、あの彼氏の…」
店長は少し驚いた様子で口を開きかけたが、苦笑して肩をすくめた。「まあ、幸せそうで何よりだな。」
その時、店の扉が軽やかな音を立てて開いた。カラン、とベルの音が響き、冷たい風が店内に流れ込む。
「いらっしゃいませ…」と言いかけた店長の声が止まる。扉の向こうから姿を現したのは、ゲンとカオリだった。
「ゲンさん!カオリ!」
ワトリーは驚きと喜びが入り混じった声で彼らを迎える。
「よう、ワトリー!」ゲンが大きな声で応えると、カオリも柔らかな笑顔を浮かべた。
「ワトリーやったな、やっぱりすごい猫だよ」
「ボクだけじゃないのだ、いっぱいカオリに助けられたのだ」ワトリーはカオリの手を握り
「カオリ、ありがとうなのだ!」ワトリーは感謝を伝えながら二匹の手を引き、
店のテーブルへと案内する。「さあ、一緒に美味しいアイスを食べるのだ。」
カオリが席についた瞬間、ゲンが興奮した様子で声を上げた。「そうだ、ワトリー!さっき珍しい猫に会ったんだ。」
「珍しい猫?」ワトリーが首をかしげると、ゲンは得意げに「さて、誰だと思う?」とにやりと笑う。
その時、再び店の扉が開いた。冷たい風がもう一度店内に流れ込み、一匹の猫が堂々と歩み入る。
ワトリーは目を輝かせながらフェリックスに駆け寄った。その瞳には、安堵と誇らしさが浮かんでいた。
「フェリス!」
フェリックスに抱きつくと、ワトリーは胸を張りながら言った。「フェリスがいなくてもやり遂げたのだ!」
フェリックスは目を細めて微笑み、ワトリーの頭を軽く撫でた。
「聞いたよ、ワトリー。本当に素晴らしい仕事だったな。」
「うん、最初は不安だったけど、ちゃんと考えて、最後まで諦めなかったのだ!」
ワトリーの言葉には、自信に満ちた力強さがあった。
フェリックスは席に座ると、アイスのスプーンを手に取りながら言った。
「さあ、話してくれ。その見事な謎解きをじっくり聞かせてほしい。」
隣に座っているゲンも「そうだワトリー聞かせてくれ」と笑顔で言った。
ワトリーは嬉しそうにうなずき、事件の経緯を語り始めた。
彼の言葉一つひとつに、これまでの努力と成長が感じられる。
店内は甘いアイスの香りとともに、穏やかな笑顔で満たされていく。
フェリックスがいない間に自分の力で困難を乗り越えたワトリーは、確かな一歩を踏み出していたのだった。
おしまい