あれから数日たった。
シャオロンのオーバードーズはまったく変わっていない。
俺は覚悟を決めた。
「、、、なぁ、シャオロン。ちょっと入ってもええ?」
「、、、え?あっちょっと待ってや」
、、、
「ええよー」
ガチャッ
「、、、どしたん?wそんな改まって、、、w」
「あ、い、いやー、、、その、な。」
「どしたん?用があるからここ来たんちゃうの?」
「あ、いや、、、その、、、」
「やっぱ何でもないわ!ww」
「なんもないんかい」
「じゃ、俺夕飯の支度してくるから、暇やったらゲームとかでもしといてな!」
「お、おん?」
ガチャッ
バタンッ
「、、、バレたんかな?」
不安になってくる。もしバレたなら、、、
_さなければならない。
今更反省したって。
逃げ出そうとしたって。
意味が無い。
もう手遅れなんだ。
でも、、、助けてほしい。
無駄だって分かってる。
「、、、矛盾、か。」
聞けなかった。
覚悟を決めたのに。
本当に不甲斐ない。
もし違ったらっていう考えが浮かんできて、聞けなかった。
怖くなった。
何に怖くなったかは分からない。
臆病者、、、
「、、、ハッw」
「やっぱり、最低、、、だな。」
、、、バレた?
嫌だ。
見捨てられたくない。
失望されたくない。
死にたくない。
離されたくない。
離れたくない。
自分が悪いって分かってる。
どれほどの罪を背負ってるかも分かってる。
自覚してる。
、、、なんで、兄弟で生まれたんだろう。
こういう時、兄がいなかったら、、、
いなかったら、楽なのに。
そんな時、スマホの着信音がした。
「え、、、?誰や」
正直、めんどくさい。
だけど、だれか気になったから、俺はLINEを開いた。
LINE
『しゃおちゃーん』
大先生からだった。
『どしたん?』
『そういえば、今日は女の子と一緒じゃないん?』
『いやー、、、ちょっとフラれちゃって、、、』
『ざまぁww』
『ざまぁって、、、おい!』
『ちょっとくらい慰めてくれたってええやないか!』
『え~?』
『俺にとってはこれで慰めてるつもりなんやけどねぇ?』
『、、、すまぬ』
『許さん』
、、、
『なぁ大先生。』
『ん?どーしたの』
、、、兄ちゃんが変わったのは、大先生と電話したあの日からだった。
だから、大先生と関係があるのかな。と、思った。
友達を疑うのは嫌だけど、、、
少しでも関係があるなら、言ってほしい。
知りたい。
俺は勇気を出して、続きの言葉を打った。
『兄ちゃんになんか、言った?』
指が震えた。
何か最悪なことが、この画面の一番下に映されるんじゃないかと。
画面が動かない。
俺の方では、しばらくの沈黙が続いた。
『あの日のことやろ?』
そう、送られてきた。
知ってるんだ。
大先生が言ったんだ。
『どうして?』
『本当がどうかもわからないのに。』
『、、、わかってた。』
『しゃおちゃんがいつか、問い詰めてくるって。』
『けど、、、』
『相棒が殺されるのは、、、嫌やったんや』
、、、そうなんだ。
俺の心配は、してくれないんか、、、
そう思ってしまったから、
反射的に指が動いて、新たな文章を送った。
『俺の心配はしてくれへんのか』
やってしまった。
最悪だ。
心で思ったことをそのまま送ってしまった。
『もちろん、少しためらったよ』
『、、、なんか、しゃおちゃんじゃなくて。』
『シッマの方が大切やと思ってしまったんや。』
『そっか。』
『もういい。』
【大先生side】
『俺の心配はしてくれへんのか』
そう送られてきた瞬間、恐怖を感じた。
いつものしゃおちゃんからは出てこない言葉。
いつもとは何かが違う。
でも、しゃおちゃんが求めてる言葉は、きっと心配じゃない。
真実だ。
だから。俺は真実を伝えることにした。
『もちろん、少しためらったよ』
『、、、なんかしゃおちゃんじゃなくて』
『シッマの方が大切やと思ってしまったんや』
怖かった。
次送られてくる言葉は。きっと、、、
いや。今こんなことを考えても、意味が無い。
もう引き返せないんや。
だったら、逃げずに。
ちゃんと。
向き合ってあげる。
それが今、一番俺にできることや。
でも。送られてきたのは、、、
『そっか。』
『もういい。』
意外な言葉だった。
もっと、俺を攻めてくる言葉だと思っていた。
今送っても、無駄だろうけど。
『ごめんな。』
その後、シャオロンの返事はなかった。
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