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魂
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kurara
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うわあああ…この回、胸がぎゅううってなったよ😭💔 若井くんの「元貴と今まで通りでいたい」って気持ちと、女の子と楽しそうな元貴を見たときの胸のちくっとした感じ、めっちゃ伝わってきた…。飲み会で元貴のこと考えないようにって飲みまくるところ、わかるよその気持ち…。最後に女の子の手を取ったシーン、なんで泣きそうになったんだろう、切なすぎる😢 元貴との関係に名前をつけるのが怖いって冒頭の独白がもう全部物語ってるよね…。次が気になりすぎる!
他の女性が出てくる描写があります。苦手な方はご注意ください。
俺たちの関係に名前をつけるとしたらなんだろう。
俺の感情に名前をつけるとしたらなんだろう。
形の見えないものに名前や、意味をつけるのは、とても怖いことだ。
そこにあるものは変わらなくたって、それをなんと定義するかで世界は簡単にひっくり返ってしまう。
虹は何色だろうか。
7色という人もいれば、国を変えれば、2色になってしまう。
そこに見えてるものは変わらずとも。
いや、見えてるものさえも変わって認識されるのだろうか。
俺は怖かった。
変わってしまうのも、変えてしまうのも、怖かった。
大事だったから。
だから、逃げたくなった。
「ねぇ元貴、今日このあとオフだよね、カレンダーみた」
楽屋で番組の衣装を脱いでる元貴の後ろ姿に声をかける。
涼ちゃんはヘアカラーを変えなければならないらしく、番組終了の合図が出てすぐ飛び出るようにしてテレビ局を出て行ってしまい、楽屋には俺と元貴だけだった。
今日は、元貴が好きなゲームの新作の発売日だった。元貴の多忙を考えるときっとまだ買ってないだろうし、俺買っちゃったんだよね、なんて言って2人で遊べたりしないかな、と、邪な気持ちで予約購入したのだった。
元貴と、いつも通り、今まで通り、2人で遊びたい。そうやって、繰り返していたい。
先の言葉を探して少し黙る俺に、 ん?と柔らかい元貴の声が返ってきた。モゾモゾと着替える元貴が目線だけをこちらに寄越す。
着替えの時に見えた白い肌に一瞬目を背けそうになるも、掻き消す。
「俺も時間あるし、よかったらさ」
コンコン。
俺の声を遮るようにして楽屋に響くノック音。
「大森さーん!準備できましたぁ?」
びっくりして黙る。
黄色く高い声の女の子がドアから顔をぴょこっと出した。
番組で共演していたアイドルの女の子だった。
「きゃあ!私服、かっこいい!」
その子はきゃいきゃいと元貴に近づき、雑談を始めた。
元貴は少し困ったような顔をしつつも笑っていて、急に胸がちくっとした。
今話題のアイドルのその子は俺から見てもとても顔の整った子で、元貴と並ぶと端正な顔の美男美女で、華やかで、なんというか、お似合いだったのだ。
「あはは、ちょ、まだ着替え途中なので!あと少し待ってください、すぐそっちいきますから」
「はいはーい、チーフさんにも伝えておきます!」
「ごめんなさいね、ありがとね」
「若井さんもお疲れ様でした!お邪魔しました!」
その子は律儀に俺にも挨拶をして、俺はちょっとだけ慌てて、うん、またね、と反射的に返した。
バタン、と扉が閉まって、一瞬誰も話さない沈黙が訪れて、なんとなく気まずくなって目線を床に落とす。
「…てなわけで、急にね、さっきチーフさんに誘われちゃったの」
「そっかそっか、大変ね、いってらっしゃい!」
「いやぁ、急でビビったよね、今日はのんびり早く寝るかーとか思ったんだけど…」
ぐぐ、と伸びをしながら、こちらに顔を向けずに元貴が話す。
なんだろう、一瞬の出来事だったはずなのに、さっきのちょっと浮かれた気持ちの自分に水をぶちかけたような苦しさが背中を這った。
そんな自分がバレないように、明るく出しすぎた気がした自分の声が気になって、さらにモヤモヤと何かが胸の中に黒く静かに広がっていく。
元貴はメンバー以外とご飯なんてあんまりないのに。
特に女の子とご飯なんてなかなかないのに。
いくらチーフプロデューサーさんがいるからと言って、なんで急にそんなところに行くんだろう。
なんか意味があるのかな。
なんで空いてる俺は誘われないんだろう、連れてってくれたらいいのに、意地悪、なんて考えて、
いや、チーフプロデューサーさんの誘いだからそりゃ誘えないんだろうけど、なんて、またぐるぐる考えた。
元貴はいそいそと荷物を片付けていて、楽屋には沈黙が落ちる。
なぜだか気まずくて俺はスマホをいじってみたりしたが、画面の先に意味はなかった。
「ごめんね若井、早く寝なね」
楽屋を出る前、元貴はなんだか優しい目をしてくしゃくしゃ、と俺の頭を撫でた。
なんか言いたくて、
なんて言いたかったのかわからないけど、
その言葉を探していたら喉元でつっかえて、出たのは「うん」なんてつまらない言葉だった。
「あの、お疲れ様でした!」
元貴が出たあとしばらくしてから片付けをして楽屋を出た。
廊下を進んでいたところ声をかけられて振り返ると、そこには俺よりずっと背が低い女の子が立っていた。先ほどの番組で共演した子だった。
元貴が一緒にご飯にいった子と同じグループの子だったか。
「いやぁ、ほんっとにかっこよかったです…生で見れて本当に嬉しくて!あっ、急に話しかけちゃってごめんなさい…お忙しかったですよね…」
「あ、ううん、大丈夫です!ありがとうございます、嬉しいです」
早口に捲し立てた女の子は伏し目がちだった目をゆるゆるとあげて、嬉しそうな顔で目をキラキラさせた。
「若井君、本当人気者だねさすがだね〜!この子はずっと若井くんのファンだって、業界内では有名なんだよ」
後ろから急に出てきたプロデューサーに気がつき次第勢いよく頭を下げる女の子。
俺もぺこ、と会釈すると、プロデューサーは嬉しそうにうんうん、と頷いてみせた。
「今日チーフ君とか大森君たちご飯いってるらしいね、ねえ、君たち今日もし時間あったら俺たちも打ち上げなんてどうかな」
「えっ、いいんですか!私はぜひよろしければ…」
「ええと、俺は、」
いつもお世話になっている大物プロデューサーである彼の頼みではあまり断りにくい。
しかしながら元貴も涼ちゃんもいない中で行くのは一抹の不安があった。
俺が行くか行かないかで開催が決まりそうな雰囲気がその場を覆って少し言葉を躊躇う。
「まぁ、無理にとは言わないよ、でもサクッとにしよう、サクッとならどうかな。せっかく若井くんのことが大好きな子が参加してくれたわけだし、紹介したかったんだ」
「えっ、あっ、なんだか申し訳ないです..でも、もしよければ!ぜひ!」
物腰の柔らかい2人の懇願の眼差しを見て、俺は一瞬悩んだ。
だがその時、さっきの元貴の背中を思い出して、また、胸の奥がモヤっと黒く霞んだ。
1人でいるよりずっとマシだと思い、ぜひ、と笑顔で答えた。
やばい。
飲み過ぎた。
思ったより話が弾んで楽しくなってしまい、気がついたらサクッとのサの字もない宴会に発展していた。
カメラさんやいろんな人も参加することになり、大人数での飲み会になったそこで、緊張を紛らわすように、元貴が今何してるのか考えないように、目の前にあったグラスを飲むことに集中してしまった結果、まともに立てなくなっていた。
「わ、若井さぁん…大丈夫ですかぁ」
アルコールで火照る頬を腕に感じながら突っ伏しているとお水を持ったその子がいた。
呂律の漢字を見ると、その子も随分と酔っているようだった。
「プロデューサーさん、お会計してぇ…もう、かえっちゃったんです、若井さんもぉ、帰んなきゃですよぉ…」
その子はフラフラしながらも俺の前に水を置いてくれた。
酒で潤んだ瞳がこちらを見つめて、一生懸命話していた。
「先…帰っていーよ、大丈夫…」
「心配ですからぁ〜」
突っ伏してる俺と同じテーブルにその子も頬をくっつけるようにして突っ伏した。
視線の高さが同じになる。
一言で、こうやって面倒を見てくれて、素直に、優しいな、と思った。
アイドルなわけだし、そりゃ、かわいい顔してんな、とも他人事みたいに思った。
飲み会の最中もずっと俺に寄り添った発言をして、ずっと助けてくれていた。
めちゃくちゃいい子だなぁ、と思ったし、男なら全員こんな子好きになるだろ、と思った。
でも、どうしても、他人事のようにそう思っていた。
それが、苦しかった。
こんなに白くて、細くて、ふわふわしてて、かわいいの塊みたいな物体だ。
かわいいに違いなくて、好きに違いなくて、こんなの、男はみんな大好きに違いなくて…。
「…わかいさん?」
元貴の顔が浮かんだ。
なんだか泣きそうになって、その子の手を取った。