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2章:生と死。
19話:未来への判決。
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
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「裁判…?というかシュウさん今、ウカイハ様って言った!?」
「ん…?そういえば其方にはまだ会っておらんかったのぉ。我は創造神であるウカイハ。其方達、改めてよろしくたまうぞ。」
ウカイハは空気を読まずに淡々と自己紹介をする。
…が着いていけてない夏希にシュウが旅の目的やら、感情の印やら補足した。それでようやく、
「だからなのね…。なんだか神様っぽくないけど…」
と納得してくれた。
「夏希、!それ言っちゃダメ…」コソコソ
「え…やば。ありがとう秀蘭。」コソコソ
「其方達、聞こえておるぞ。」
私たちはビクッと体を震わす。…怒られちゃうかな…?
「まぁ良い。今はこやつじゃ。」
そう言って、ダインを見つめる。
ダインは神という存在を目の前にし、手先を震えながらも、覚悟が決まっているかのような瞳でウカイハを見つめ返す。
「俺のことは好きにしろ。…殺してくれたっていい。コイツらが…コイツが俺を認めてくれた…。それだけで十分なんだ。」
ダインは長年の邪念から解き放たれ、このまま死んでもいいという安心と覚悟の顔で伝えていた。
「なるほどな。では其方達はどう思う?」
ウカイハは私たちに意見を求めた。
「僕は、しっかりと罰を受けるべきだと思う。少なからず怪我人は出たし、建物を壊したんだから。」
「私もよ。シュウさんだってケガしたんだもの。でも…少し複雑ね。」
シュウと夏希はしっかりと意見を述べた。
「其方は?」
「私、は…」
私、は…?どうだろう。分からない。
「秀蘭!考えちゃっても大丈夫だよ、僕がいるから!」
「…!」
そっか。
「私は、ダインに感謝したい。」
「え…?」
「この騒ぎがきっかけで、想像する事が少しだけど…怖くなくなったから。」
みんなが驚く中、ウカイハは微笑んで判決を出す。
「なら、其方はこやつたちの進む道の手助けをするのじゃ。」
「そ、それは創造神!俺は…だって…」
ダインは思いもよらなかったのか、慌てて別解を求めた。
「もうその気持ちだけで罪を償おうとしているじゃろ?それに、こやつらは行方知らずの神に会おうとしている。その過酷さ。賢い其方ならわかるじゃろ?」
間が空く。
それでもダインは考えつつも、理解したように頷いた。
「あぁそれと、もし志し半ばで何かを感じたならば、そこで止まってもよいぞ。」
「は…?」
「そのままの意味じゃ。罰だけでなく、全員の想いを踏まえて判決を出すのが裁判じゃろ…?…まぁ、こういうのはあやつの方が…、」
あやつ…?と引っかかるところはあるものの、今この場にいる全員がウカイハの言葉を受け入れた。
「でも、まだ其方にはやるべき事があるぞ…」
「…。ああ。感謝する。」
「…さっ!我はまた寝るとするか、はぁ〜」
そう言って、ウカイハは良いことをした!という満足した様子で去って行った。
一体次は何百年寝るつもりなのだろう。
ールードレン院ー
「…ってわけで、。…申し訳なかった。」
ダインは自分の口で仁男さんや子供たちに謝罪した。
中にはダインを睨む子、怖いと泣く子、理解できずにいつも通りヘラヘラする子など、様々な感情で聞いていた。
…その中で、心にまでしっかり深く落とし、真剣に考えた表情で仁男さんが話し出す。
「…。私はいつも、色んな状況の子供を受け入れ尊重してきた。夏希をはじめとした子供たちが成長し、社会に溶け込めるよう、悪いことをしたら正しいことを教え、互いに思いやりながらここまできた。」
仁男さんは一気に想いを伝えた。そして、
「君は…創造神様のお言葉を受け、間違いを正そうとしている。私の子供たちと一緒だ。
…しっかり役割を果たすんだよ。」
「…!はい。」
お人よしとは違う、厳しい優しさで仁男さんは応えた。