『それでも、心は沈まなかった』
【世界で1番大きな船】
その船は、「沈まない」と言われていた。
新しい時代の象徴で、人々の希望をそのまま形にしたような、白く巨大な船。
17歳の少女、ノエル・ラロッシュはその甲板に立っていた。
潮風が冷たい。
けれど、それよりも胸の奥が、ずっと冷えていた。
私は、物心つく前の幼い自分でもわかるぐらい家は裕福だった。
大きな家に広い庭、執事もメイドもお手伝いさんもいて、別荘もあった。
一生死ぬまで、こんな暮らしができると思ってた。
でも、
17の誕生日を迎える前に父を亡くし、母と2人でこの国を離れることになる。
それは「新しい人生」のはずだった。
なのに、ノエルの心には、期待よりも喪失の音が鳴っていた。
(私は、何を置いてきたんだろう)
振り返っても、もう陸は見えなかった。
【下層デッキの少年】
人混みが苦手なノエルは、よく下のデッキに降りていた。
そこは豪華さもなく、音楽も静かで、現実的な匂いがした。
そこで彼に出会った。
「そこ、寒いよ」
突然かけられた声に、ノエルは驚いて振り向いた。
少年は、少しだけ年上に見えた。
くしゃっとした髪と、どこか疲れたような、でも優しい目。
ルーカスと名乗った。
「上は息苦しくてさ。
ここだとちゃんと海が見える」
彼の言葉は不思議とノエルの胸にスッと落ちた。
それから2人は、自然に話すようになった。
【星の数だけの未来】
夜の甲板。
星は手が届きそうなほど近かった。
「君はどこへ行くの?」
『…わからない』
正直な答えだった。
ルーカスは笑わなかった。
代わりに、真剣な顔で言った。
「それなら、どこへでも行ける」
その言葉に、ノエルは初めて泣いた。
泣くつもりなんてなかったのに、
溜め込んでいた感情が、波のように溢れた。
ルーカスは何も言わず、
ただ隣に座ってくれた。
その沈黙が、何よりも優しかった。
【恋だと気づく前に】
日が経つほど、2人は一緒にいた。
朝は甲板で風を浴び、
夜は夢の話をした。
ルーカスは言った。
「人生は、選び続けることだと思う」
『怖くない?』
「怖いよ。
でも、何も選ばなかったら、
生きてる意味が薄くなる」
ノエルは、その横顔を見て思った。
(この人とならどんな未来でもいい)
それが恋だと気づいたのは、
もう遅かった。
【沈黙の衝撃】
その夜、船が震えた。
鈍い音。
遠くで誰かが叫ぶ。
空気が一瞬で変わった。
「氷山だ…」
誰かの声が現実を突き刺した。
船は、ゆっくりと、でも確実に、
死に向かっていた。
【選ばれなかった側】
混乱の中、ノエルとルーカスは手を離さなかった。
救命ボート。
数は足りない。
「先に行け」
ルーカスは迷いなく言った。
『嫌!』
ノエルは泣きながら叫んだ。
『一緒じゃなきゃ意味がない!』
ルーカスは初めて声を荒げた。
「生きるんだ!!」
その一言に、すべてが詰まっていた。
彼はノエルを抱きしめ、
小さく囁いた。
「君に会えて、
俺の人生は、ちゃんと意味を持った」
そして、彼女をボートへ押した。
【最後の約束】
ボートが離れる。
暗闇の中、
ルーカスは甲板に立っていた。
最後に口の動きだけが見えた。
__生き続けて。
船が沈む音と、
ノエルの心が壊れる音が重なった。
【それでも生きた】
ノエルは助かった。
それが、何よりも残酷だった。
夜、何度も夢を見た。
氷の海と、彼の笑顔。
それでも、約束が彼女を縛った。
生きることをやめなかった。
【心は沈まない】
何十年後。
年老いたノエルは、静かな海を見つめていた。
手には、
ルーカスがくれた古いペンダント。
『私、生きたよ』
海へ落とす。
それは沈んでいく。
でも、心は沈まなかった。
愛は形を失っても、
想いは時間を越える。
彼女の心は、
あの日の海を、
今も生き続けていた。
Celine Dion_My Heart Will Go On
ノエル・ラロッシュ(Noelle Laroche)
Noelle(ノエル)
誕生、希望、再生
→彼女は
・愛を失う
・それでも生きる
・人生を“もう一度生き直す”
その存在自体が「再生」の象徴
Laroche (ラロッシュ)
岩、揺るがないもの
→外見は儚くても、
心の奥は決して崩れない
愛を失っても、人生を捨てなかった人の名前
ルーカス・ベルナード(Lucas Bernard)
Lucas (ルーカス)
光
→彼は
・彼女の人生に一瞬だけ現れる
・でも、暗闇の中で“生き方”を照らす光
・自分は消えても、光は残す
Bernard (ベルナード)
強い守護神
→実際に彼が選んだのは
「自分の命」ではなく
「彼女の未来」
短く燃えて、永遠を残す名前
2人の名前が重なると
Noelle(再生)xLucas(光)
・彼は彼女の人生の「光」
・彼女はその光を受け取って「生き続ける人」






