TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

俺とミノリ(吸血鬼)がアパートに戻るとマナミ(茶髪ショートの獣人《ネコ》)とシオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)が合体した存在が玄関で待ち構えていた。


「ただいまー。ん? なんだ? 俺に何か用か?」


「ナオトさん、これは何ですか?」


「ナオ兄、家出してたの?」


彼女は俺が書いた置き手紙を俺に見せながら詰め寄った。う、うーん、まあ、家出してたな。十分くらい。


「え、えーっと、家出……しました」


「どうして家出したんですか?」


「ナオ兄、家出した理由を聞かせて」


「えーっと、ほ、ほら、俺、お前たちを合体させちゃっただろ?」


「はい」


「そうだね」


「でもさ、それができたからといって確実に元に戻せるわけじゃないんだよ」


「え? もうコツを掴んだのでいつでも元に戻れますよ」


「うんうん」


「そうか……ん!? ちょ、それ、どういうことだ!」


「言葉通りです。ねえ? シオリちゃん」


「うん、そうだよ。ナオ兄、今から元に戻るからちゃんと見ててね」


「あ、ああ」


本当に元に戻れるのだろうか。パ○ドンやジ○ッド、オ○トロスみたいな双頭にならなければいいのだが。


「それでは元に戻ります」


「今から手を三回叩くよー」


「それで元に戻れるのか?」


「はい!」


「うん」


「そ、そうか」


うーん、本当かなー? 俺は期待と不安を胸に抱きながら一人になった二人を見つめた。


「それでは行きます!」


「いーち、にー、さん!!」


「お? おおっ!!」


二人は俺の前で合体解除を成功させた。す、すごい! すごいぞ! 二人とも!!


「す、すごい! ちゃんと元に戻ってる!」


「えへへへ、何回か練習したらできるようになりました」


「意外と簡単だよ。合体する時は手を繋ぐイメージ。解除する時は手を離すイメージをするとうまくいく」


「そうなのか! すごいな! 二人とも!! ん? ということは俺がいちいち二人のシッポを触る必要はないんだな」


「あー、それなんですけど」


「合体と解除は容易にできるけど、シンクロ率を上げるには強い刺激が必要なんだよ」


「えっと、それってまさか……」


「つ、つまり……その」


「普通に合体するより、ナオ兄にシッポを触ってもらうとシンクロ率が上がるから、これからも合体する時はなるべくシッポを触ってほしいってことだよ」


「お、おう、分かった。ん? 待てよ。もしキミコがすでにこの方法を知っていたとしたら……」


「ナオトさん」


「それは本人に訊《き》いた方がいいよ」


「え? そうなのか?」


「はい、そうです」


「そうした方がいいと思うよ」


「そうか。じゃあ、そうしようかな」


「ナオ兄」


「ん? なんだ?」


「私とマナミちゃんが合体した時の名前つけて。お願い」


「え? あー、そうだな。あった方が便利だよな。えっと、じゃあ、マナミの『マ』とシオリの『リ』、ナオトの『ナ』を合わせて『マリナ』だ」


「マリナ……」


「マリナかー」


「ダメ、かな?」


「いいえ! すごくいい名前だと思います!」


「うん、私もそう思う」


「そうか。なら、良かった。じゃあ、ちょっとキミコのところに行ってくるよ」


「はい!」


「はーい」


あたしはキミコ(狐の巫女)がいる方に向かって歩き始めたナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)の後ろ姿を見ながら二人の頭を優しく撫でた。


「あんたたち、なかなかやるじゃない。うじうじモードのナオトは特に扱いが難しいのよ?」


「え、えー? そうなんですかー?」


「そうかな? ミノリちゃんほどじゃないよ」


「そうかしら? あたしもまだまだだと思うけど」


「そうです。あなたはまだまだです」


コユリ(本物の天使)は相変わらず真顔ね。はぁ、いつ見てもこいつが妹だなんて思えないわ。


「何よ、銀髪天使」


「いえ、別に何も。……腹黒吸血鬼」


「ねえ、あんた今、小声であたしの悪口言ったでしょ!」


「おっと、失礼。口が滑りました」


「へえ、そうなんだー。ふーん」


「何ですか? その目は。私は事実を言っているだけですよ?」


「事実? あたしはあんたより腹黒じゃないわよ!」


「そうなのですか?」


「ええ、そうよ!」


「そうですか。では、目の前に全身血だらけのマスターがいたらどうしますか?」


「え? え、えーっと、す、少しだけ血を吸いたいかなー……なーんて」


「なるほど。クズですね」


「あっ! 今のはそのー、そう! 吸血鬼の本能だから仕方ないのよ! だから、血で全身真っ赤に染まってておいしそうとか全然思ってないからね!」


「はいはい」


「もうー! あたしで遊ばないでよー!」


あ、あははは、二人とも相変わらず仲良いんだね。

ミノリ(吸血鬼)ちゃんはコユリ(本物の天使)ちゃん専用のおもちゃみたいな存在……なのかな?

しばらくの間、私とシオリちゃんは二人のやり取りをなんとなく寄り添って見ていました。

二人はよくケンカしてるけど、結構仲はいいと思う。まあ、私個人がそう思ってるだけだけど。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚