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1 - チョコとは無縁

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2024年03月03日

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クリスマス…バレンタイン…

ぼっちで恋人がいない俺にとってこの二つは滅んで欲しい行事。


男友達がほとんどな俺は今、でかい壁に立ち向かっている。

そう、一週間後のあの日…俺にとっては…

最悪なバレンタイン!!!

そう、クラスでも盛り上がっているあのバレンタインだ。

俺には縁がない。本当に縁がない。いや、縁なんかいらんよな。

好きな子もいないし俺に恋する人も0。

さぁどうするこの日を!

男でも女でもいいから本命が欲しいです!



帰りの、男友達の南雲伊藤が俺の席に来た。

もう話す内容はとっくに理解してる。



「よっ、星野はチョコ何個貰うんだろうなぁ?」

えっ、ちょ俺!?

「さっ…さぁな?おっ…俺には無縁だからなぁ…」

おい、でかい声で喋るな南雲。


「いい加減女友達も作れよ星野」伊藤、分かってるから。

いい。話すな。俺のメンタルが消える

「そーだぞ」やめろよ南雲!

「女子とかと関わってもいいことはねーぞ俺」


なんて冗談を交わしているとき、そこに木村が来た。

木村は落ち込んだ顔で話す

「チョコいらんのに…」

「いいよな木村はー」

木村。こいつはバレンタインの日、こいつは机、ロッカー、家のポスト…至るところにチョコレートを届けられている。届く数は約400個ぐらいだとか。

スポーツ万能、天才、顔もいい。本来こいつとは仲良くなれるはずがないと思ったが、好きなゲームが一緒だったので仲良くなった。あんなモテるような顔してんのに、どうして俺なんかと…?と思った。罰ゲームだと勘違いしそうになった。

「おいおい木村ー。星野を追い詰めんなよ~。今こいつマジ悩みしてんだぜー?」


「あー、バレンタインの件??だったらチョコ分けようか?」

「いらねぇ…」

知らん女子からもらったチョコなんか食っても意味がない。それも爪入りだとか髪の毛入りだとか媚薬入りだとかだったらかなりえぐいことになるし。


…いや、媚薬入りはさすがにないか、BLマンガ以外あり得ないよな。



朝の教室は

もうやだ。今日が当日だ。何も考えずに過ごしてたせいだ。

熱気に押し潰されて蒸発してしまいそうだ。

俺を煽りに来るかのように南雲がこっちに来た。

「よっ、モテない人。」

「るっせぇ!!!!! あぁそうだよどうせチョコレート一粒も貰えない身だけどなんか悪いか!!!!???」

「もうやめろ南雲。こいつは今本当に追い詰められてるからな」

「よしよし…落ち着いて星野、深呼吸だ深呼吸。」

うぅ…木村、お前だけは優しいよな。

俺の頭を木村が撫でると、周りの女子たちがキャーキャー声をあげている。どれだけ木村に頭を撫でられたいのだ…。


「ああああああああああああああああああああああああああああああ!男でもいいから本命が欲しい!」

「おいおい星野、それはないだろ~」

「そうかぁ?」

「…」


6限を耐えきった俺、誰かほめてっ!

そう思いながらロッカーを開くと


チョコレートがそこにあった。手紙も添えてある。

「今すぐ屋上に来て欲しい」


えっ、まさかの俺にも彼女ができるのか!?

おいおい、んな訳…


走って屋上に向かった

俺は何も考えられなかった。

楽しみで楽しみで、仕方なかった


息を切らして向かった屋上の先には


ん?


おい、待て、え?待て、おい、ちょ、え、え?

あれ木村じゃねぇか!?

「きっ…きっ…木村…?」

「星野…本当に来てくれたのか…?」

「男でも本命が欲しいって言ったのは事実だが、まさかな…」

「やっぱ気持ち悪いかな…?ほっ…本当に星野が好きなんだよぉ!本当に!」


「…じゃ、付き合うか…?」



あれから、木村と付き合ったことは秘密にして、南雲達と過ごしている。

もちろん、女子たちにはバレた。

屋上で誰かが告白現場を見ていたようだった。


きっと気にすることはないだろう。周りの人達も応援してくれてるから。

恥ずかしいとは一ミリも思ったことはないからな。

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