テラーノベル
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光は、私たちのプライベートを暴露するような真似はしなかった。
その代わりに、彼は「憧れ」についての漫才を始めた。
「……皆さん、自分より何倍も格好良くて、強くて、でも、びっくりするくらい不器用な人に出会ったことありますか?」
光の声は、いつもよりずっと優しく、会場の隅々まで染み渡るように響いた。
「俺の近くに、一人いるんですよ。泥だらけの道でも、ボロボロの靴を履き直して、前だけ見て歩こうとする、誇り高い人が」
会場の空気が、じわじわと光の世界に引き込まれていく。
彼は、私の具体的な失敗談を笑うのではなく、私が守ろうとしてきた「気高さ」を、彼なりの言葉で讃えていた。
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