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いちご@低浮上中。。。
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教室が少しだけ騒がしい。
「じゃあ、席替えしまーす」
先生の一言で、教室中から歓声と悲鳴が入り混じる。
「頼む……前だけは嫌だ」
「俺は窓側!」
そんな声が飛び交う中、なつは机に突っ伏したまま欠伸をした。
「どうでもいい……」
「お前、夢なさすぎだろ」
隣で笑ういるま。
今は隣同士。
それだけで十分だった。
くじを引くまでは。
「……終わった」
「どうした?」
「一番前」
「ははっ、どんまい」
笑っていたいるまも、自分の番号を見た瞬間に固まる。
「……え」
教室の一番後ろ。
しかも窓際。
なつとは教室の端と端だった。
「最悪じゃん」
「お前が?」
「いや」
いるまは少し困ったように笑う。
「話せなくなるな」
その何気ない一言に、なつの胸が少しだけ締めつけられた。
いつも授業中に目が合って。
消しゴムを貸し借りして。
先生にバレないように小さく笑って。
そんな当たり前が、急になくなる。
「じゃあ移動してー」
机を運ぶ音が教室に響く。
離れていく。
たった数メートルなのに、やけに遠かった。
◇◇◇
授業が始まる。
ふと後ろを見る。
目が合った。
いるまが小さく手を振る。
なつも笑って振り返す。
__それだけ。
前みたいに話せない。
前みたいにふざけられない。
「……寂し」
思わず漏れた独り言は、誰にも聞かれなかった。
◇◇◇
放課後。
「なーつ!」
教室の後ろから聞き慣れた声。
振り返ると、いるまがいつものように駆け寄ってくる。
「やっと話せる」
「授業中も話せただろ」
「先生に怒られる」
「いつも怒られてんじゃん」
二人で笑う。
「やっぱ隣がよかったな」
ぽつりと漏らしたいるまの本音。
「……俺も」
その一言だけで十分だった。
席は離れても。
帰り道は、いつも通り隣だった。
コメント
3件
更新ありがとう! こうゆうの大好きすぎた✊️
あおいです🌷第13話「席替え」、読み終わりました。 たった数メートルの距離なのに、「やけに遠かった」その感覚、すごくわかります。授業中に目が合うだけの小さなやりとりがどれだけ特別だったか、離れて初めて気づく切なさが胸に沁みました…。放課後に駆け寄ってくるいるまくんの「やっと話せる」に、ああ、やっぱりこの二人は大丈夫だなって安心しました。最後の帰り道が「いつも通り隣」だったのが、何よりもの救いです🤍